表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/60

詰問

この生殺し状態を一刻も早く脱出したいのと、領主ちゃんも放置する訳にはいかないので、プリンへ抱きつき泣かんばかりに喜んでいるシロをまず宥めて、見るも無惨な姿で放置されている(クロ達の軽くぼかした説明しか聞いてないのでどんな状態か詳しくは知らない)領主ちゃんに冒険者から奪った服を着させた。


そして領主ちゃんが服を着させられた事でようやく、目を塞ぐ必要のなくなったクロが俺から離れてくれた。


両手でに抱きついていたミケとスミスにも、側にいるのは良いが抱きつくのは今は辞めて貰うようにお願いすると、渋々ながらも了解してくれた。


クマだけは退くのを嫌がったので、仕方なくそのままにしているが、まぁ足に座ってるだしまだ良しとしよう。


とにかくこれでやっと女の子の柔らかい体を押し当てられているのにこっちからは全く動く事すらできないという生殺し状態から脱出に成功したのだ!


もちろん、名残惜しい気持ちはある。


というか、正直めちゃくちゃ名残惜しいよ。


女の子に抱きつかれるのが嫌な男なんて、普通はいないからね!

いたとしたらホモくらいだね。


だけど、このままじゃ理性を保ったままでいられそうにないからね。これは仕方ない事なんだと、こんなに可愛い女の子達に囲まれている状態ならまたチャンスは来るんだと自分に言い聞かせる事で脱出に成功した訳だよ。


そして、冒険者達の様子が映っているテレビを見る事ができるようになった俺は、気になっていた事を確認する。


「うわっ、ほんとにでっかくなってるな」


そう、それはプリンの大きさだ。


プリンが正気に戻った時にシロがぽつりと言っていたので、どうしても気になっていたのだ。


スライムの幼体であるプリンの元々の大きさは、子犬と同じくらいの大きさだった。


しかし、テレビに映るプリンの姿はシロと同じくらいの大きさになっていた。

つまり、人間の幼女と同じくらいの大きさにまで大きく育っていたのだ。


水をぶっかけた事で単純に水分が多くなって大きくなったとかそんなんだったりして。


とりあえず、こういう分からない事はクロに聞くのが一番だ。


「クロ、何が原因でプリンが大きくなったのか分かるか?」


「そうでありますなぁ……これは水をかけられた事と、あのプリンのスキルが関係していると思うのであります」


おぉ、水をかけられた事も関係しているのかよ。


「プリンのスキルっていうと、吸収の事か?そのスキルが体を大きくなったのとどうして関係があるんだ?」


「まず、吸収のスキルというのは対象の相手からスキルやら能力を得る事のできるスキルであり、大変珍しいレアスキルなのであります。ただしスキルを発動する為には条件があり、どんな相手からでも簡単に吸収できるという訳ではないのであります。吸収のスキルを発動する条件というのは、そのスキルを得た個人によって違いがあり、プリンの場合詳しい事は分かりませんが恐らく暴走している間に条件を満たし、あの領主から何らかの力を吸収したのではないかと予想できるのであります」


なるほど、暴走している間に相手から何らかの力を吸収してプリン自体が成長したって事だね。


吸収のスキルとかひょっとして俺達の中で1番チートな性能かもしれないな。


吸収のスキルを理解すると、クロが続きを話してくれる。


「そして、スライムという種族はその体のほとんどが水分でできており、水分を増やしてやるとそのまま体も大きくなるのでありますが、すぐに余分な水分を排出し元の大きさに戻ってしまうのであります。なぜなら、そのスライムの強さにより維持できる大きさという物が決まっているからなのであります。なので、本来はスライムは徐々に強くなると同時に体も大きく成長する事がでかるようになっていくのでありますが、今回プリンは吸収のスキルによって急激に成長したところに水をぶっかけられたので、体を大きく成長させる事ができたのではないかと予想できるのであります」


「分かりやすい説明をありがとう。これで性格がもっと良ければ言う事ないのになぁ」


「あ?何か言ったでありますか?駄マスター」


「申し訳ありません、調子に乗りました」


こぇぇぇわ!

クロさん恐いから!

大事な事だから2回言いましたけど、駄マスターってひどくね……

思わず、すごい勢いで土下座してしまったし。


よし、とりあえず場の空気も落ち着き、プリンが大きくなった理由ってのも分かったし、気を取り直して質問を再開するか。


ちょっとアクシデントが起きてやり過ぎてしまったって事を悟られないようにしないとな。


「さて、どうだね冒険者の諸君。大人しく話す気にはなったかね?もし、まだ足りないようなら……」


「も、もう十分でおじゃる。何でも話すから、もうあれは辞めてほしいのでおじゃる……」


可哀想なくらいに震え上がり、涙ぐみながらこちらにもうスライムは辞めてと訴えてくる領主ちゃん。


あれ、なんか可愛く感じてきたな。

白塗りが取れた顔はシロやクロほどではないにしても、結構整った顔をしてるしな。


「変態マスター、変な事を考えずにちゃんと返事をしてほしいであります。返事がなくておどおどしてしまっているのであります。」


心の声読みすぎだから!

他の子は何の事か分からずに首を捻っているから、分かりやすい顔をしてたとかじゃないはずなのにな。


まぁ、返事はしないと怪しまれるし、早くしとくか。


「こちらの質問にちゃんと答えてくれるなら、すぐに解放してやるさ。では、改めて先程の質問をするが、この村にダンジョンができたという情報はどうやって得た?」


何でも答えるというのは本当らしく、おどおどしながらではあるが、質問に答える領主ちゃん。


よっぽどキツかったんだろうなぁ。


「麿はダンジョンマスターが召喚されたと聞かされただけなので詳しくは分からないのでおじゃる。執事が何か言っていたと思うのでおじゃるが、寝起きで理由までは覚えていないのでおじゃる……」


我が儘な領主だと確かに誰かに任せっきりにしていそうだし、嘘は言ってなさそうかな。寝起きでっていう理由がリアルだし。


なので、他の冒険者に聞いてみる事にする。


「他の冒険者で知っている者はおらんのか?」


「お、俺達はただの雇われの冒険者だから、何も知らないし聞かされてないんだ。頼む、早く解放してくれよ」


1人の冒険者が口火を切ると、口々に他の冒険者が俺も何も知らないと話し出した。


もうこの質問は無駄だろう。凸凹兄弟は何かを知っているかもしれんが、だんまりを決め込んでいるし、先に違う質問をしていく事にしよう。


「まぁ良いだろう。では、何が目的でダンジョンの中まで来たのだ?だいたいの予測はできておるがな」


この質問は答えにくいらしく、領主ちゃんは歯切れが悪いながらも話していく。


「そ、それは……ダンジョンマスターを召喚してイーレ村だけで儲け話を独占するのが許せなかったからでおじゃる……だから、ここを攻略して、我が街にて新たにダンジョンを作らせようと……いや、作って貰おうと思っていたのでおじゃる……」


イーレ村は搾り取られていたせいで、俺を召喚するまで追い込まれていたっていうのに、搾っていた側はあいつらだけ儲け話ズルいってか。


まさに子悪党っていうような発想だなぁ。


それにしても、神様もダンジョンを利用して稼げとは言ってたけど、この世界ではダンジョンがあると近くの街や村は儲かるって発想なんだな。


「良かろう。では次に、お前達冒険者の中で1人いなくなっている奴がいる。どのようにしてかこのダンジョンから脱出をしたらしいのだが、その冒険者についてお前達の知っている情報を話せ」


俺の言葉を聞き、冒険者達はキョロキョロと回りの顔を確認していき、思った事をそのまま口に出す、


「ほ、ホントだ。1人足りねぇぞ!?」


「確かにそうだな。でも、誰がいないんだ?俺の知っている奴は全員いるが……」


「あ、鼻唄の奴がいねぇぞ!?お前らあいつの事覚えてないかのか?」


「俺にヒールをかけてくれた奴がいない!氷魔法も使っていたっけど、まさかそれ以外に魔法が使えて1人で逃げたってのか!?」


冒険者達の話を聞く限り、いなくなった冒険者は自分の存在を覚えられないようにしていたのか、直接やり取りをした者しかいなくなった冒険者の事を覚えている者はいないようだ。


そして、全員に共通しているのはその場にいる全員が、1人いなくなっていた事を言われるまで分からなかったという事だ。


領主ちゃんはいなくなった冒険者の事なんて全く覚えていないようだが脱出したと聞いて怒っていた。


先程だんまりしていた凸凹兄弟は、この事に関しては驚き2人でこそこそと何かを話している。


ここに来た理由には何かを隠しているが、いなくなった冒険者には関与していないって事かな?


まぁそれなら放置しても良いのかなぁ……


この村やダンジョンが関係してくるならまた懲りずにやってくるかもしれんしな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ