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出陣

やっべぇ、いきなりピンチになってる!?


冒険者の1人が叫んだと思うと、マッドラットの大群が逃げ出してしまった。

叫んだ冒険者は切れてしまっているのか、逃げるマッドラットの大群を仲間の冒険者を置いてきぼりにして1人で追いかけている。


「クロ……これどう思う?やっぱり俺の判断ミス?」


「そうでありますね。でもまぁあれがあるので、今からでもまだ間に合うと思うでありますよ? ……あとは何を言いたいか分かるでありますな?」


どす黒いオーラを身に纏いながらニコッと笑うクロ。


「は、はい!しゅぐに次の作戦に移ります!」


クロさんが怖くて噛んだ訳じゃないんだからね!


「噛んだであります……しゅぐにとか……」


そこ笑うな!!


「まずは、あれが見破られないかどうかだな。映像で様子をもう少し見てみよう」


そう言って、みんなで冒険者達の様子を映しているテレビへ目をやる。


テレビに映り出された映像は、相変わらず怯えたマッドラットの大群が逃げ出し、それを切れた冒険者が叫びながら追い掛ける構図のままだった。


置いていかれた他の冒険者達は、立ち止まったままこれからどうするかを話し合っているようだ。


「この人怖いクマ……」


クマ達は、この1人でマッドラットの大群を追い掛けている冒険者に怯えいるようだ。この子達を助ける前に何かあったのかね?


まぁ、今のこの鬼のような形相で叫びながらマッドラットの大群を追い掛ける様子を見れば誰でも怖いとは思うけどね?


「マスター、そろそろこのフロアの終わりに近づいているであります」


「例の仕掛けに気付くかどうかだな」


「仕掛けってなにクマ?」


「あぁ、もうちょいで見えてくるから映ったら教えてあげるよ」


そう言ってると、すぐにマッドラットの大群と冒険者がそのポイントに近づいてきた。


そのポイントは細い一本道だった道が前方と右方の2つに枝分かれしていて、前方は道の途中から大きな穴が空いており、下には鋭利な刃物がぎっしりと配置されており、落ちたら大変な事になるだろう。


しかし、走りながらでも足場がなくなっているのが分かるので、前方へそのまま向かって落ちるって事はないだろう。


そして、もう一方の右方の道はというと


「あ、ネズミさんも怖い人も右に曲がっていくクマ!」


あぁ、ちょうど右方に行ったみたいだな。


右方はというと、実はこちらが外れなんだよね。


ガタン


マッドラットの大群と冒険者が右方に曲がると、すぐに変化が現れる。


なんと、後ろの道が塞がれて戻れなくなっているのだ。しかも、出た場所はスタート位置っていうね!


ただ、逃げるのに必死なマッドラットの大群と切れている冒険者はその変化に何1つ気付かず2周目走っていってるけどね……


マッドラットは右方に誘導した形になるから良いけど、冒険者気付けよ!!スタートまで戻ってきたんだぜ?


「マスター、あの冒険者マッドラットしか見えていないでありますな。仕掛けなんて見向きもしなかったであります」


「あぁ……してやったりのはずなのに、このやるせない感じは何なんだろうな……」


「あれ?今の最初に入ってきたところクマ?」


俺とクロが微妙な感じになっていると、クマは冒険者が入口まで戻ってきた事に気付いたようだ。


「あぁ、ホントは入口まで戻ってきたっていう絶望感を与えるドッキリだったんだけどな……」


気付いて貰えないなんて誰が思うよ……


「あれ、じゃあ次の階にいく階段はどこニャ?まだ階段がなかったと思うニャ」


ミケのその疑問に、みんながそーいえばって感じで口々に疑問の声を出し私、気になりますと言わんばかりにこちらを見てくる。


し、仕方ないな。俺が説明してやんよ。


「実はあの穴に階段への道が隠されているのであるのでありますよ!」


クロさん!?俺が考えたんだから、それ俺に説明させてよ!?


「え、ちょっとだけ映った時には階段どころか落ちたら危なそうにしか見えなかったですよ?」


あぁ、みんなクロに説明求めだした……せっかくの見せ場を奪われた……


「まぁ見た目はそうでありますな。しかし実は、きょーかがらす?っていうマスターの世界の透明な物質降が刃物の上に置いており降りられるポイントがあるのであります。そしてそのまま後ろ、つまり上からどは見えない死角へ振り向くとなんと階段があるのでありますよ」


「……これ……普通見つけれないよ……」


ネムが呆れた表情でこちらを見つめてくる。


えぇ!?

見せ場奪われた上に、こーいう時だけこっちに飛び火してきちゃうのか!?

ちょっとクロさんひどいよー。仕方ないから答えるけどさぁ。


「ははっ、今回は急に来られちゃったから時間が必要だったから時間稼ぎの仕掛けが必要だったんだよ」


「すごいクマ!ご主人様すごいクマ!」


よし、クマは良い子だな。頭を撫でてやろう。


「えへへ~、嬉しいクマ」


「さて、とりあえず時間はもうしばらく稼げそうだから次の作戦を考えるとしよう」


現状の戦力だと、たぶんシロが1番強いんだろうなぁ。


あれ、そーいえばさっきからシロの声が聞こえないな。


「シロの姿が見えないけど、どこ行った?」


「シロ殿ならネズミさんをたすけるんだーってダンジョンの方へ走って行ったでありますよ」


「そうか、ありがとう。頭を撫でてやろうか?」


「子供扱いしないでほしいであります」


頭に手をやろうとしたら、手で払われてしまった。素直じゃないなぁ、このツンデレめ!


って、なにぃぃ!!

ダンジョンの方へ走って行った?

しかも、マッドラットを助けるとかあの切れまくってる冒険者と戦う気満々じゃないか!!


「なんでそれを先に言わないんだ、クロ!シロを1人で行かせるとか危ないだろ!?」


怒りのあまりにクロへと詰め寄ると、何故か溜息をつかれる。


「はぁ……マスターは全然分かってないのでありますね……」


「あ?俺が何を分かってないんだ?」


「シロ殿の強さの事でありますよ!いいから黙って映像を見てみるであります!!」


そう言って、テレビの前へ無理やり連れて来られる。

テレビの映像には、マッドラットの大群とそれを追いかける切れた冒険者が相変わらず映り出されていたが、ついに変化が訪れる。


そう、シロが現れたのだ。


「こら、ネズミさんをいじめるな!!!」


「なんじゃお前、ぶっ殺すぞ!!お前もこの俺様の邪魔すんつもりか!?」


マッドラットの大群と切れた冒険者の間に入り、冒険者へと警告のように叫ぶシロ。


またもや自分を邪魔する者が現れた事で、さらに切れてしまった冒険者。


このダンジョンに冒険者が入って始めての戦いらしい戦いが開始されようとしていた。


「ちょっ、クロ!シロに応援を出した方が良いんじゃないか?他の冒険者が助けに入ったりするかもしれんだろ?それに、俺はシロが死ぬなんて事になったら耐えられないぞ?」


戦いが始まろうとしているのを見て、居ても立っても居られずにクロにそう提案をしてみるが、クロの反応は変わらなかった。


「良いから、座って見ているであります。あ、もちろん正座でありますよ?」


むしろさっきより悪化してるんですけど!?


「返事がないでありますよ?」


「は、はい!すぐに!」


クロさんこえぇよ!


半ば脅されつつ、正座でシロの戦いを見守る事に。

あぁ、シロ頑張ってくれよ……

危なくなったら絶対逃げろよ……


「心配しすぎであります。マスターはシロ殿やクロの戦いぶりしか見てないから、シロ殿がこの世界ではどれくらいの強さか知らなくて仕方ないかもしれないでありますが、今回の戦いでしっかりと確認してほしいであります」


「えっ、シロってそんなに強いの?スキルレベルとか俺とそんなに変わらないのに?」


「見てたら分かるでありますよ。さぁ、始まるでありますよ」


少し睨み合いが続いていたが、冒険者の方が先に動き出したようだ。

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