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異世界召喚

記憶の整理をしてみたが、結局自分の部屋からこの暗い場所へ来たのか原因が未だによく分からない。


一体何がどうなってるんだ?


確かネットゲームをしていたはずなのだが、まさか漫画やゲームじゃあるまいしゲームの世界に引き込まれたとか、タイムスリップや異世界に召喚されたとでもいうのだろうか。


そんな風に俺が混乱していると、目の前にいる神父風のオッサンが話しかけてきた。


「おぉ、今回も無事召喚に成功したようですな。こちらに到着したばかりで混乱しているとは思いますが、事情を説明させていただきますのでこちらへ来ていただけますかな? 」


見た目は明らかに日本人ではなかったので、英語を話す事などできない俺は警戒していたが、神父風のオッサンが話す言葉は意外にも日本語だった。


それもカタコトではなく流暢に話している。

偶々日本に留学でもして、日本語ペラペラなのかな?


それはさておき、とりあえずこの状況を説明してくれるというので大人しく着いていくことにする。


「よろしくお願いします」


「暗いので足元に気をつけてくださいね」


そう言うと、オッサンは扉の方へと歩いていく。

 薄暗い部屋の扉をオッサンが開けると通路があり、その通路も薄暗く、所々に置いてある蝋燭が足元を照らしているだけだ。

地下に作ってあった部屋なのか、奥のほうに階段に光が差しているのが見える。神父風のオッサンに誘導され、俺、村人風の男達4名の順で通路を歩く。


  …………ってか今更だけど、この人さっき召喚に成功したって言わなかったか! ?

まさか漫画みたいに勇者として召喚されたのだろうか?

そして、魔王を倒してくれとかお願いされるのだろうか?

平凡な大学生な俺にそんな事できる訳ないよ!?

でも、こーいう異世界に呼ばれる展開って、チートと呼ばれる能力に目覚めて大活躍!!

的な感じのお話やゲームがお決まりだよね??


という事は俺もなんらかの能力がすでに目覚めている可能性ありか!?

あ、でもネットゲームをしようとしていた訳だし、ゲームの中に入り込むパターンか!?


それなら、ゲーム次第では魔法やスキルが使えるのか!?


普通ならばもっと混乱していてもおかしくないんだろうが、オタク趣味を嗜む俺は混乱よりも自分が漫画の主人公になったような展開に、ワクワクした気持ちも湧き上がってきた。


おら、ワクワクしてきたぞ。


「さぁ、そろそろ到着ですぞ」


期待と不安を膨らませていると、すぐに上へと登る階段へと到着した。

 

階段を登ると、そこは寂れた協会の様な建物の中だった。

欠けた窓から明るいお日様の光が差し込んでくる。

先程までは暗かったので分からなかったが、太陽の位置を考えると今はお昼くらいだろうか。


「さぁ、何もないところですがお座りください」


「あ、どうも」


「申し遅れました、私はこの協会の神父をしておりますニコラスと申します」

 

「ご丁寧にどうも、俺は紙出真王です。大学生、あ、分からないかな」


俺が名前を名乗ると村人達が何やら集まり、村人同士でざわざわと相談し出した。


ん?俺自己紹介しただけなんだけど、何かおかしな事を言ったかな?


もしかして、日本人の名前が珍しいとかな?


少し心配になったので、村人達が何を話しているのか耳を澄まして聞いてみる。


「村長、今あの方が自分の事を神と言わなかったけ! ?」


「魔王とも聞こえたずら」


「いやいやいや、神様のかみじゃないし、ま・お・うじゃなくてま・お・ね! うはいらないから」


はっ!?

全く検討違いの事を話していたので思わず突っ込んでしまったぞ。

失礼かもと突っ込んだ後でビクビクしたが、村人は特に気にした様子もなくそのまま会話を続けてくれた。


「分かったずら、まおーさん」


「はいそこ、伸ばさない」

   

「下の名前でいきなり呼ぶとか失礼だっぺ。おらはかみ様と呼んでいいだか? 」


 「あと一文字なのになぜ略すの!『で』まで呼んでよ。頼むからさ」


さっきからツッコんでばっかりじゃないか。

まさか、自己紹介だけでここまで苦戦するなんて思わなかったぜ。


そして村人全員キャラ濃いよ! 


「なんじゃと、神様が召喚されたっちゅうんか」


「村長反応いまさらかよ。もうこれわざとだよね、ツッコませるためにボケてきてるでしょ」


「失礼な。まだまだ呆けとらんわ」


「ここで異文化の壁発生かよ」


「まぁまぁ、落ち着いてくださいまおさん」

    

ツッコミ疲れてきたところで、神父がやっと間に入ってくれた。

この人いい人だな、今までオッサンとか思っててごめんよニコラスさん。


「このままだと日が暮れそうなので、簡単に経緯をお話しますね」

   

 ・ この村の名前はイーレという名前で、周りを山に囲まれた田舎の村である。自然と寄り添いあって今まで生活を行っていた。


 ・ 少し離れたところに大きな街があり、そこに領主が住んでおり、年貢を納めていた。


 ・ つい最近領主が代替わりしたのだが、その新しい領主が嫌がらせのように年貢を引き上げてきた。


 ・ その年貢を支払う為に、自分らの食料を犠牲にしたせいで子供や老人などの体の弱い者が倒れ始めた。


 ・ その状況を打破する為に、藁にも縋るつもりで俺を召喚した。


神父であるニコラスさんの話をまとめると以上だ。


 まず思ったのは勇者とはほど遠そうだということ。

 俺のワクワクを返せ!

   

 「経緯は以上になります。そして、召喚された人には、そこの碑石に触れていただくことになっております」


 「その碑石に触るとどうなるんですか」


 「この村では初めての召喚でしたので、詳しくは分かりませんが、何かを伝えてくれるそうです」  

 

 ふむ、スキルでも覚えれるのかな。


 そんなことを考えながらとりあえず碑石に触れてみる。


   


   


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