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作戦開始

「ハハハ!あの頭の燃え方、映画みたいだな。泥水で火を消そうとしたから、またどろどろになっちゃったしな」


「ぷぷぷ。マスターはえげつない事を考えるでありますなぁ」


「あのおじちゃん、あたまのまんなかツルツルになってる!」


「ぶふぉっ、ホントだ!ハゲてるじゃないか」


ここまで罠に上手いこと引っ掛かってくれるとは思いませんでしたね。まるで、コメディ映画のようだ。


ひとしきりその様子を見て笑っていると、冒険者が何やら相談を始め、領主が怒鳴り散らしている。


あっ、しょぼーんとした。


すると、隊列に変化があった。


「ごしゅじんさま!ちっちゃいこがまえとうしろにいったよ?あれだとわなにかかってあぶないよ!」


「あんな痩せ細った子供の奴隷を連れて来ていたってのは罠避けの為だったのかよ」


「ごしゅじんさま!あんなほそいこたちじゃ、わなでしんじゃうよ……」


「死んだらポイントが多く貰えるので、それはそれで助かるであります。奴隷だからそこまで多くはないでありますが」


シロが目をうるうるさせて心配そうに言うのとは対象的に、クロは現実的な反応をしている。


「クロ、あの奴隷達を回収するぞ。あと、下の階の準備はどうなってる?」


「回収でありますか?ポイントになってもらうって選択肢はないでありますか?その方が今後楽になりそうでありますが。下の階は順調でありますね。いくつかは使っても大丈夫であります」


ふむ、準備は着々と進んでいるようだな。奴隷を助けるのはダンジョンコアであるクロには理解しにくいのかな?しっかりと説明してやるか。


「まぁクロが言う通り、あの奴隷の子供達が罠に掛かって死んだりするようなら、その方が今後楽にはなるだろう。そのポイントでダンジョンを色々弄れる訳だからな。だがしかし!しかしだよ?奴隷とはいえ、あんな小さい子供達が死ぬところを見たくなんかないだろ?それに、今がギリギリだからとはいえ、元々敵も味方も殺さないダンジョン作ろうってんだぜ?あんな小さい子達の犠牲でそうなっても嬉しくないだろ!それなら、回収してダンジョンの運営を手伝って貰えるようにしようぜ。人員も足りてないんだからさ」


思わず熱弁しちゃったぜ。それに、あの奴隷達薄みんな汚れてるけどここは異世界だ。原石がいるかもしれん。超可愛い奴隷とか異世界物でよくあるもんな。


「ごしゅじんさまはやっぱりかみさまだよ!しろごしゅじんさまのことだいすき!!」


奴隷達を助けると言ったのが相当嬉しかったのか、そう言って俺に抱きついてくるシロ。


可愛すぎるやろ!!嬉しすぎて、エセ関西弁も出てまうで!


「マスター、言ってる事は素晴らしいと思うのであります。しかし、マスターのことだから邪な考えがありそうであります……」


怖いわこの子、マジで心読めるのか?

それに、シロとのこの反応の差!シロちゃんマジ天使!

まぁ、ホントに天使なんですけど。

そう考えると、クロのこの反応は悪魔っ子だからか?


「また失礼な事を考えているでありますな?」


「そ、そんなことないヨ?」


じと目をこっちに向けてくるクロ。


なんだろう悪い事に反応するし、勘が働くっていう感じなのだろうか。


「と、とりあえず先にあの奴隷達を回収するぞ!例の落とし穴があるのは確かこの近くだったよな?」


「なんか誤魔化された気がするであります。確かに近くではありますが、どう回収するのでありますか?失敗すると下の階に早く招いてしまうだけでありますが」


まぁ普通に考えて、冒険者に気付かれずに列の前後に配置されている奴隷達だけを一気に回収って無理そうだもんな。


だが、我に策ありだ。ニヤリと笑みを浮かべながら返事をする。


「マッドラット達をそろそろ行かせるぞ!数で圧倒して奴隷達を気にする余裕をなくさせ、そのどさくさに紛れて下の階へ奴隷達を連れてくるんだ。もうそれができるくらいの数は集まっただろ?あと、ポイントも教えてくれ!」


クロにカタログで今冒険者がいる下の階の様子と、ポイントの確認をお願いすると、予想以上の報告が返ってくる。


「マスター!マッドラットの数が大変な事になっているであります!これ以上放っておくと下の階に影響が出そうなので急いで出勤させるべきであります!ポイントでありますが、ただいま1500を越えたところであります!そろそろ使うでありますか?」


このままじゃ下の階に影響が出るって凄まじいな……さすが1匹の強さはスライム並みの強さなのに、国が危険視するモンスターなだけあるわ。カタログに載ってるモンスターの説明によると、以下のようだ。


マッドラット

別名:穴掘り鼠

1匹1匹の強さはスライム程度でかなり弱い部類に入るが、繁殖力が凄まじく、群れで暮らす魔物である。1匹見つけると、1000匹はいると思えと言われる位の繁殖力がある。山などに穴を掘り巣を作る習性があるのだが、数が凄い勢いで殖えるので山が巣穴だらけで危険な事になる為、国が危険視している。


時間も魔物もあんまりなかったからちょうど良いかなって思って育てたけど、ここまで凄いとは思わなかったよ!完全に舐めてました、ごめんなさい!

だが、こっちにも被害が出る前に出せるなら大丈夫か!


「よし、マッドラット部隊出動だ!上の階に出せるだけ出して、数で圧倒させるんだ!ポイントは下の階の拡張と魔物の繁殖力を上げて完全にモンスター牧場にしようと思ってたんだけど、マッドラットが残ってたら危険そうかな……?」


「はいであります。ならマッドラットを全部上の階に上げるであります。回収後も上の階で冒険者の対応に当たらせて、モンスター牧場とやらに戻らせなければたぶん大丈夫であります」


「よし、ならそれでいこう!」


俺の合図と共に、クロがマッドラットへ指示を出し下の階にいたマッドラットが冒険者の階へと押し寄せる。


ドドド……っと遠くから大きい音が近づいてくる為、警戒していた冒険者達だったが、マッドラットの大群が前から襲い掛かってきて大混乱に陥った。だがこれは仕方ないと思う。

だって数が1万越えてるんだぜ?テレビで蝗の集団とか見た事あるけど、それ並みに気持ち悪いって思ったよ。それが目の前からこっちに向かってくるんだから大混乱もするだろう。


もうね、これ恐怖でしかないわ……

冒険者視点でこれを見ていたのな、ら確実にトラウマになってただろうなぁ……

奴隷の子達はトラウマになってないかな?後ろの列にいる子達はよく見えないからマシかもしれないけど、最前列にいる子とか泣き叫んでるからな……

しかも、通路は大人2人が列になるので精一杯の細い通路だから武器も思いっきり振れないしな。ただ、指揮官らしい冒険者が我に返るのが結構早くて、的確な指示を出したおかげで今全力で泥水があった部屋へ通路を逆戻りしている。あの部屋ならまだ通路よりも対処はしやすいだろうからな。


だが、我先にと逃げる冒険者達から奴隷達を回収するのは容易だった。


下の階のモンスター牧場へ奴隷達をマッドラット達が連れてきたのだが、奴隷達はみんな気を失っていた。映像を見る限りお漏らしている子もいるから、やっぱり怖かったんだろうなぁ。


奴隷達を眺めていると、聞き慣れたシステム音と共に文字が視界に思い浮かんでくる。


奴隷×5を入手した。

所持品に追加します。


それと同時に、映像に映っていた奴隷達が消えた。


「えっ!?奴隷の子達アイテム扱いされてる!?消えたって事は収納されてんの!?」


「奴隷を奪取したでありますが。アイテム扱いされるとはクロも予想しなかったであります。でも、ここまで連れてくるのが省けたので良しとするであります。マスター、ここに出していいでありますか?」


「ちょい待ち、お風呂用意するからシロとクロ2人で奴隷達をお風呂に入れてあげてくれ」


「ごしゅじんさま、おふろってなーに?」


あれ、この国はお風呂知らないってパターンか!?

これは合法的に女の子とお風呂に入るチャンスなのか!?


「マスター、やらしい事を考えてるでありますね?クロはお風呂の知識がありますので、クロがみんなをお風呂に入れるであります。シロ殿にお手伝いを頼むであります」


「うん、しろにまかせて!」


期待はすぐに打ち砕かれ、クロ達の背中を見つめる事しかできなかった……


次回は、ダンジョン防衛中なのにお風呂回!?

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