作戦会議
俺達は早速ダンジョンへと帰り、ホームにて作戦会議を開始する事にした。
「とりあえず、まずは戦力を増やす事だな。卵を孵す作業からしようか」
「そうでありますな。生まれてきたモンスターによってダンジョンをそのモンスターに合わせて改装とかしてもいいでありますし」
「なかまふえるの?わーい、うれしいな」
「卵を孵しながら他にどんな事ができるか考えよう」
という事で、クロに卵を全部出してもらい、卵を孵していくのだが数がとにかく多い。正直途中で何倒して何を倒してないか分からなくなったからダブってたりするのだろうが、50くらいのいろんな種類の卵がある。
こうやって改めてみると、色々な卵があるな。大きさや模様など卵1つ1つに特徴がある。こいつ卵から生まれてなさそうだなって魔物もちょくちょくいたから不思議だな。
あと疑問に思ってたのだが……
「なぁクロ、卵を孵すって何したらいいの?プリンの時は見てたらすぐに生まれたけど。やっぱり温めた方がいいの?」
「本当は名前をつけてマスターの魔力を与えるのが1番良いでありますが、この数でそれをやっていては時間がかかりすぎるのと、どれがどの魔物とか覚えてないから名前を着ける事もできないでありましょう。なので、まずは魔力を卵全体に与えて生まれるきっかけを与えましょう。名前は生まれてからでも問題ないであります」
「あれ?魔力を与えるとかプリンの時にはしてなかったよな?」
「名前を着けるという事自体が、魔力を与えているという事になるのでありますよ。言葉には魔力が宿ると言うでありましょう?」
「そうなのか、魔力を与えるってどうすればいいの?魔法を射つのはイメージできるようになったけど、卵に与えるってのがよく分からんな」
「そんなに難しく考える必要はないのでありますよ。卵に手を向けて、産まれろ~って念を送るようにしたらいいであります」
言われた通りに卵に手を向けて、念を送ってみる。
魔弓の時と同じく何回も何回も口に出して念を送ってみる。
しかし、魔弓の時と違い変化が何もないんだけど大丈夫か?魔弓なら変化すぐ出たのにな。
「マスター、もう大丈夫でありますよ?本来の方々と違う為に変化はないのですが、卵に魔力を与えるのは成功しているであります。ほらっ、あの卵は動いてるでありますよ」
そう言われ卵へまた目をやると、卵に変化が出てきていた。少しずつ、少しずつではあるが、卵が揺れ動いてきているのだ。そして、カリカリと卵を中から破ろうとする音が鳴り始め、中から光を発する物まで出てきた。
「あ!ごしゅじんさまあの卵光ってるよ!あれも!」
次々と卵が連鎖反応のように光輝いていき、部屋全体を眩しいくらいに光が包む。そして一気に卵が割れ、魔物達の赤ちゃん達が産まれてきた。
そう、魔物の赤ちゃん達がだ。
最初に産まれてきたのがスライムのプリンであったのも影響あって、そんな簡単な事に思い至らなかった。プリンはただ小さいスライムとしか思わなかったからな。個体差で大きさが違うのかなと思っていた。
しかし、卵から産まれてくるのはやはり魔物だろうが赤ちゃんだった。様々な種類の赤ちゃん達が産まれてきた。そして、赤ちゃんは泣くのが仕事だ。それが50匹……後は分かるな?
日本なんかでは赤ちゃんの泣き声は騒音か?などといった話が出ていたそうだか、50匹の赤ちゃんとなると誰が聞いても騒音と答えるだろうよ。工事現場なんて比じゃないね。プリンみたいなのが50匹だったらこんな事にはなってなかったんだろうけど、なんかドラゴンみたいなトカゲがいるんですけど……
そいつは他の魔物達と比べて群を抜いて大きかった。というかでかすぎない?俺が倒したのあんなに大きくなかったんけど。
元々俺が倒したのは大型犬位の大きさだったはずなんだが、今産まれたばかりのこいつはすでに牛位の大きさなんだけど。さすがに個体差って事はないよな……
まぁ、大きい分には戦力になるからいいけどな。
将来的に、だがな……
戦力が増えるどころか、むしろ手がかかる赤ちゃんが50匹も……
頭が痛い……物理的にもね……
どうするか考えたいが、泣き声がうるさくて考える余裕がないし、相手の事が聞こえなくて話し合う事もできない……あれ?これ詰んじゃった?
うんうんと、頭を悩ませていると突然泣き声がピタリと止んだ。
「ダンジョンコアの必殺技……アイテムボックス!!」
「えっ??」
周りを見回すと、あんだけうるさくしていた50匹もの魔物の赤ちゃんが一匹もいなくなっていた。
「うるさくて話し合う事もできないので収納しちゃったであります♪」
てへっと舌を出しながらウインクしてくるクロ。
可愛らしいけど、なんか怖いわ。
「収納しちゃったってお前……あのままじゃ何にもできなかっただろうからありがたいけど、収納された魔物達は大丈夫なのか?卵は動かないからまだ大丈夫だろうけど、産まれてきた魔物は動くだろ?というか、アイテムとして収納できちゃうのかよ……」
「できたんだから、それで良いのでありますよ。深く考えちゃだめでありますよ?卵が無事産まれたんだから、産まれてから収納しても問題なしであります」
「あぁ、もういいよ!考えるだけ無駄だし。それより、戦力の宛にしていた魔物達があれじゃ話にならねぇ。どうする?」
「倒した魔物の種類に関しては、カタログから召喚をする事ができるようになったのであります。それを戦力にするでありますか?」
「そもそもポイントはあとどれくらいあるんだ?それに、俺が倒せた魔物なんだから、数を多くしないとあいつらにすぐやられてしまうんじゃないか?特に金持ちを挟んで守っていた2人に関しちゃかなり強いと思うぞ」
「どうやらダンジョンの上に村があるのが幸いし村人から魔力をいただけていたようでありまして、あれから新たに100ポイント貯まっております。元々貯めてあった500に足して現在合計600ポイント貯まっているであります。あの2人はシロ殿やクロが相手するという手もありますが?」
「シロみんなをまもるよ!!」
シロはむんっと手に力を入れて力みながらそう宣言してくる。
何してもシロは可愛いな、おい。
「いや、それはできるなら最後まで避けておきたい。とりあえずカタログで追加できる罠とか確認するか……」
カタログを手に取り、パラパラっと流し読みをしてみる。
「ん?これは……」
俺はそこで面白い物を見つけてしまった。
「クロ、ダンジョンって冒険者が入っている状態でも色々変える事はできるのか?」
「条件付きでできるといった感じであります。例えばダンジョンの内装に関しては冒険者がいるフロアはできないでありますが、それ以外のフロアならば可能であります。じゃないと、次のフロアに行く階段を動かす事をし続ければポイントがなくならない限り攻略不可能になってしまうでありますからな。また、冒険者のいるフロアでも、魔物を召喚するといった事であれば可能であります」
俺はクロの答えをうんうんと聞きながら、次の質問をする。
「これが1番重要なのだが、階段の場所って今から変えられるか?具体的にはこうしたいのだが」
ゴニョゴニョと、クロへ問いかける。
「そ、それはすごい作戦でありますな……可能は可能でありますがセコいといいますか、ずる賢いと言いますか……」
「シロにもおしえてよ、ごしゅじんさま!!」
「シロにはな、この作戦を授けよう」
シロにもゴニョゴニョっと伝えてやる。
「うん、わかった。でもあのこわいひとたちがさいごのへやまできたらわたしがやっちゃうからね?」
「できれはそうはなりたくないけど、もしそうなった時は任せるな。では、2人共準備するぞ」
「「おー」」
こうして無事に作戦会議が終わり、準備を開始する事にした。