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嫌な予感

「クロ、そろそろ帰るか!シロも待っているしな」


「はいであります。こんなにたくさんいるとシロ殿びっくりするでありますな!」


俺達2人はあれから日が夕方まで戦闘を続けて、ようやくシロやプリンと合流する事にした。


合流した時のシロの可愛い事、可愛い事。嬉し過ぎて天国行っちゃうとこでした。


「ごしゅじんさま、おかえり~!!」


俺を見つけて、全力でこっちに駆け寄ってきて抱き付きながらのお出迎えだよ?


吐血物だよ。


物理的にね。マジで死ぬかと思ったわ。


あの勢いトラウマレベルだよ……


あんな笑顔で来られると避けるなんてできる訳もないしね……


あと普通のスライムであるプリンだけど、なんか神々しくなってるんだけど……


俺らと別れた後何があったんだろ。


まぁ、こちらもシロが知らない間の収穫はすごいけどな。魔物をたくさん仲間にしたのと、魔弓のスキルがLV3にレベルアップさせた。さらにはスキルをいくつかゲットしました。ちなみにそのスキルってのは戦闘を繰り返しているうちに形になるんだとさ。すぐにスキルとして使えないのは不便だが、楽しみにしておくとしよう。


でも、それをシロに教えたところあまりにもシロが喜んでくれるもんだから、ついついどや顔をしちゃったよ。


「マスター、キモいであります」


って言われちゃったけどな! でも、2人でいる時にずっとこんな事言われ続けたからか、クロの言葉の暴力にも慣れてきたぜ。ツンデレって思えば可愛いもんよ!


そんなこんながありつつ、3人と1匹?でイーレ村へと帰る事にする。


ちなみに仲間にした魔物は卵のまま孵さずに、クロに預かってもらってる。


1回の戦闘ずつ、卵にして、孵してってなると時間がかかりすぎるからどうにかしてクロえもんって泣きついてみたら


「クロのアイテムボックスに収納しておくでありますよ。入れたままの状態で保存ができるので持って帰ってから孵すであります。それから、さっきのは何でありますか?クロえもん?何か分かりませんが、キモい呼び方をしないでほしいであります」


という感じで、簡単に問題が解決しちゃいましたとさ。魔物倒した時の死体なんかも、後で剥ぎ取る為にアイテムボックスへ収納してたみたい。アイテムボックスは、空間魔法の一種のようで大量に収納できて、なおかつその重さを感じないから超便利。ダンジョンコアの機能の1つとしてクロは使えるらしいが、本来は空間魔法を使える者しか使えない大変貴重なスキルであるらしい。


そんな訳で、俺達は来た時と同じ身軽な格好のまま帰路に着く事ができるのだった。


「ごしゅじんさま、おなかへったね?」


「あぁ、だいぶ運動したからお腹ペコペコだ!シロは晩御飯何が食べたい?」


「ん~……おいしいの!!」


「そうだな、美味しいの食べような!クロは何かあるか?」


「卵が手に入った事でありますし、卵料理……」


「食べないよ!?」


他愛もない話をしているうちに、イーレ村が遠くに見えてきた。


「ごしゅじんさま、なにかまえとちがうよ?」


「ん?何の事だ?」


シロが何か異変を感じ取ったようだか、村が見えてきたって言ってもまだそこまで視認できる距離じゃないぞ?


「なんかね?むらにいなかったこわい人がいっぱいきててね?みんなにおこってるの。みんなこわがってる」


「シロにはここから何が起こっているのか見えているのか?」


「みえないけど、わかるの!!」


見えないけど、分かる?どういう事だ?


「シロ殿は天使でありますから、悪意や善意を感じ取る事ができるのでありましょう。シロ殿ほどではありませんが、クロも感じ取る事ができるでありますよ。」


「そうなのか?俺には分からないけど、便利そうだな。どんな風に感じるんだ?」


「えっとねぇ、ん~……なんていったらいいかわかんない……」


「あくまで感覚でありますので、説明するのは難しいのでありますよ」


「そうなのか、気にしなくていいからなシロ。とりあえず村のみんなに何かあったって事だから、早く帰ろう!心配だからな」


こうして、村のみんなに何が起こっているか不安になりながらイーレ村へと早足で帰る事になった。


「嫌な感じでありますな……」


村の入り口に着くと、明らかに雰囲気が違っていた。村の中央の広場で大きな声でチンピラのように喚いてる輩がいるのだ。そのせいで、村人達は怯えているようだ。


年貢の取り立てか?とりあえず物陰に隠れて様子を見るかな。気持ち的にはすぐにでも助けに入りたいが、状況が分からないとしょうがないからな。


広場に近付くにつれ、村人と話をしている奴らが見えてきて、喚いてる内容も聞こえるようになってきた。村人に対して、冒険者のような装備を固めた10人くらいの集団が詰め寄ってる感じに喚き散らしている。後ろに1人だけ良い服を着た金持ちと、その人物を挟むように護衛が着いている。この護衛は身長が2メートルを超えそうな大男と、対象的に背が低い男なのだが、雰囲気が集団の奴らとは全然違う。そして、あれは奴隷か?汚い布切れを着た痩せ細った子供が5人鎖に繋がれ、後ろで震えている。


「おい、この村にダンジョンができたって話はもうこっちの街まで情報入ってるんだよ!どこにあるのかさっさと教えろって言ってんだ!」


「確かにダンジョンマスター様が来て下さったんだけんど、何やらダンジョンを作る為には準備が必要だっつって、村から出て行っちまっずら。また戻ってきて下さるとは思うけんど、いつになるかは分からないずら」


「あん?本当か?ウソだったらぶっ殺すぞてめぇ!!」


「ひぃっ、ウソなんかついてないずら。そこの碑石にも書いてあるように、ダンジョンができてたなら村人みんなをダンジョンに匿ってもらってるずら」


「ちっ、ラシェール様どういたしますか?どうやら本当にダンジョンマスターは今この村にいなさそうですが」


「おい、そこの村人。麿はちょっとここに来るまでに疲れたのじゃ。疲れが取れるまでは待っていてやるからどっか休める場所に案内せい」


「は、はいずら。宿に案内させてもらうずら」


そう言って、村の宿屋に向かって集団を引き連れて歩いて行く。 それを物陰に隠れて見ていると、今まで怯えて家に逃げ込んでいた村人達が次々と顔を出し始めたので顔見知りでもある協会のニコラスさんに話を聞く事にする。


「あ、マオさん!ご無事だったんですね」


「あの~、さっきの連中は一体何なんですか?ダンジョンを探しているような感じでしたけど」


「あの自分の事を麿って呼ぶ、護衛に挟まれた人物はデュノアの領主でして、どこからか真王さんの話を聞きつけたみたいなんですよ」


「どうして街の領主がわざわざこの村にできたダンジョンまでやって来たんですか?」


「簡単に言うと、儲け話を聞きつけたからそれをかっさらいに来たという感じでしょうか」


「なるほど、分かりやすいですね。俺を街へ連れ帰り、ダンジョンを経営して一儲け。もしくは、俺を連れ帰れなくてもダンジョンを攻略する事によって何かをゲットできるかもってとこですかね」


「はい、恐らくは。しかし、真王さんは今日ダンジョンを作ったばかりでまだ何の準備もできていないでしょう?今村長や村人達で必死に時間稼ぎをしていますので、真王さんは一旦お逃げ下さい」


「ニコラスさん、それはできません。村のみんなは助けて欲しくて俺を呼んだんですよね?それなのに俺だけが助けられるなんてできるはずがないでしょう!!それに、俺が逃げたらあの冒険者達に最悪殺されてしまうかもしれない……そんなの良い訳がないだろ!!」


「しかし、他に手が……真王さんは今からであの連中を追い払える手があるのですか?」


「正直分かりません。だけど、絶対やってやる。できることを限界までやって、それでも無理なら俺が道連れにしてでも倒します。幸い、俺は異世界の住人で死ねばあちらに帰れるようですからね」


「マスター、そんな事は絶対にさせないであります。私達みんなでやればどうにかできるであります」


「ごしゅじんさまとはなれるなんていや~!!まだおはなししたいことたっくさんあるもん」


「きゅー!!」


泣かせるような事言ってくれるぜ……

プリンまで寄ってきて、そうはさせないとばかりに鳴いてるし……


「あぁ、みんなでこれから楽しいダンジョンを作るんだから、こんな所で躓いてらんないな!ニコラスさん、できるだけの事をやりますので、そのまま時間を稼いで貰えますか?」


「はい、できるだけやってみます。恐らく、領主の性格からして3時間くらいが限界と思っていて下さい。どうかご武運を……」


タイムリミットは3時間、俺達は決意を持ってダンジョンへと向かうのだった。



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