春の団体戦2日目
春の団体戦2日目の朝。
メールの着信音が鳴ったので、見てみると、
Dさんからで、部員全員に送られていた。
タイトルは「申し訳ないっす!」
文を読むと、
どうしても就職したい会社の面接が今日あるとのこと。
なので、
今日の3試合目(5R)には何とか間に合うと思いますが、
3R・4Rは出れません、という内容だった。
戦闘力1200台のDさんが出れないとか、
かなりの痛手だな、
でも就活なら仕方ないのかなとか思いつつ。
そして10分後にFさんからも一斉メールが。
内容は、
「どうも、Fです。
Dさんに便乗するわけじゃないんだけど、
実は今日、
好きな声優のファンクラブ限定イベントに当選しててですね。
すみませんが、
もう気分は将棋どころじゃないんすよ(笑)
午前中からファン仲間とオフ会して、
カラオケとかで気分を盛り上げるつもりなんで、
今日は休みでお願いします。」
それを読んだ時に、
Fさんは先輩であるが、
「なんじゃそりゃ!? そんな理由あるのか?
というかそれなら、当選したのはもっと前だろうし、
事前に言っておけばいいのに!!」
とか思っていた。
電車を乗り継ぎ、
2日目の会場である、
バイオ大の最寄りの駅の改札で、ロケット大の面々と合流する。
みんなも口々に、そのことを喋っていた。
「Dさんは仕方ないにしても、Fはダメだよな。」
「自分の道をまっすぐ進むにしたって、事前に言うとかが人の道だよな。」
Aさん「まーでも、Fも言いづらかったんじゃないの。
だから昨日の夜までFなりに悩みに悩んだ結果、
声優の方を優先したんじゃない!?」
部長がフォローするが、
Bさん「部長で、人集めが大変だからかもしれないけど、
部長はFに甘すぎるよ。」
と、言われていた。
そしてバイオ大学の会場に着く。
先週までのオーダー表と戦績を確認すると、
大将 トニー・1年・1152 2-0
副将 B・3年・1562 2-0
三将 A・4年・921 2-0
四将 C・2年・617 0-1
五将 D・4年・1213 2-0
六将 E・1年・746 1-1
七将 F・2年・391 0-2
八将 G・2年・336 1-0
九将 幽霊・3年・100以下
僕も気づいていたけど、
Dさん、Fさん、幽霊部員さんがいないので、
最初から6人。
すなわち不戦敗が1つは確定している状況である。
トニー「最初から、1敗が確定しているなんて、辛いですね。」
Aさん「そう思うかもしれないけど、4部では珍しくもないよ。
先週対戦したカルマ大も人数足りてなかったし、
今週も周りを見ると、
7人に達してない大学がチラホラ見えるし。」
とは言われたが、
勿体ないなという気持ちは拭えなかった。
そんなこんなで、
3R
ロケット大VSメリケン大
ロケット大のオーダーは、
大将 トニー・1年・1152 2-0
副将 B・3年・1562 2-0
三将 A・4年・921 2-0
四将 C・2年・617 0-1
五将 E・1年・746 1-1
六将 G・2年・336 1-0
メリケン大は7人揃っており、不戦敗1つが確定した。
とはいえ、こうなったら来ている6人で4勝するしかない!
と思い、気合いを入れて、対局に臨む。
相手の大将の先手で始まった、大将戦。
7六歩、3四歩の出だしに、2二角成!と来た。
同銀に、4五角と・・・・
これは・・・筋違い角って言うんだったっけ?
ネット将棋では何回か指されたことあるものの、
リアル世界での対局では初めてだった。
やばいやばい、これは、どう対処すればいいんだっけ????
団体戦の緊張感もあり、焦っているうちに、
気がつけば9分も持ち時間が減っている。
まだ5手目なのに、
僕の時間は21分、相手の時間は29分55秒だ。
ここは、考えていても仕方ない。
なーに、序盤でそうそう悪くなることはないだろ!と開き直り、
指し手を進めていく。
しかし、少しした後、
もう逆転不可能と思われるところまで差が広がっていた。
そして、僕は、団体戦初黒星を喫した。
チームとしても、Bさん&Cさん&Eくんの勝ちにとどまり、
メリケン大には3-4で負けた。
チームとしての負けおよび個人でも負けたことについて、
昼食を食べながら、自責の念に苛まれていた。
そんな様子を見た先輩方が、
「トニー君。気持ちを切り替えていこうぜ!」
「トニー君のせいじゃないよ。A部長も負けたんだから。」
と言ってくれたが、
気持ちは吹っきれなかった。
とはいえ、いつまでもこんな気分ではいられない。
だから事前に買っていた栄養ドリンクを飲んで、4R目に臨む。
4R
ロケット大VSメランコリー大
ロケット大のオーダーは、3Rと変わらずで、
大将 トニー・1年・1152 2-1
副将 B・3年・1562 3-0
三将 A・4年・921 2-1
四将 C・2年・617 1-1
五将 E・1年・746 2-1
六将 G・2年・336 1-1
である。
オーダー表交換の時に、
メランコリー大も6人しかいなかった。
トニー「これで3-3だったらどうなるんですか?」
Aさん「基本的にお互いが4勝に達しない場合は、
どちらも負け扱いになるよ。
引き分けにして、ポイントくれとか思いたくもなるけどね。
団体戦で引き分けになるのはしっかり7人揃って、
千日手や持将棋が1局あっての、
3.5-3.5になった時だけだから。」
トニー「ということは勝つには?」
Aさん「6人中4人が勝たなきゃいけないね。」
結局、そうなるんですね。
何はともあれ、僕は勝つのみです!
って再度気合いを入れて、
4R目が始まる!!
戦型は、相三間飛車となるが、
指してて感じたのは、
ち、力が違いすぎる。
結果、為すすべもなく負け。
チームとしても、勝ったのはBさんのみで、6対6だから、
1-5負け。
Bさん「どうだった? 相手強かった?」
トニー「強かったですね。気がついたら負けてました。」
Bさん「あの人、戦闘力は2500近いと思うよ。
去年秋の3部でも全勝賞もらってたし。」
トニー「なんで、そんな人が4部で指してるんですか?」
Bさん「単純に、他のメンバーが強くないのさ。
後は、オーダーの工夫が少ないからかと。
一番強いのを大将にしてたんじゃあ、
当て馬の恰好の餌食だよね。」
トニー「当て馬って何です?」
Bさん「簡単に言うと、
強すぎる相手に対して最初から負け確の
弱い人を当てるという作戦かな。
うちみたいな部員の少ないところは、
そういう戦略すら満足にとれないけど、
部員の多いところは、
そういう作戦で勝ち星を稼げるからね。
というよりエースが大将で出てくるの確定な、
メランコリー大の方針に問題があるけど。
オーダー表の一番上にエースの名前があったら、
大将で出てくるのほぼ確定なわけだし。
他校からすれば、
何を考えてんだろう?この大学は
って思われてるよ。」
へー・・・そんな作戦もあるのか深いなーと思いつつも、
あまり休む間もなく、5R目が始まりそうになる。
オーダー表提出の少し前に、
Dさんから一斉送信のメールが来る。
内容は・・・
すいません、精神的ショックが大きいので、行けません。
というものだった。
というわけで5R目も基本的にオーダーに変化はない。
5R目
ロケット大VSバルサミコス大
ロケット大のオーダーは、
大将 トニー・1年・1152 2-2
副将 B・3年・1562 4-0
三将 A・4年・921 2-2
四将 C・2年・617 1-2
五将 E・1年・746 2-2
六将 G・2年・336 1-2
バルサミコス大は7人であり、既に1敗は確定。
大将戦では指し手が順調に進み、
苦しいながらも1手勝ちだろと思って、
攻め込んだら、攻めが切れた。
そして、相手に詰まされる(汗)
感想戦では、
相手「ここで1回受けてれば、
そちらの勝ちだったと思いますけどね。
そちらに即詰みはないですし、
必至もかからない状況でしたから。」
僕は、終盤での判断ミスを悔やんだ。
チームとしては、
4R同様、
Bさん勝ちのみの1-6負け。
Bさんは今のところ5戦全勝である。
最終日も勝ち続ければ、
全勝賞がもらえる。
トニー「Bさん。凄いですね。
でももう昇級は無理でしょうか。」
Bさん「ありがとう、トニー君。
そして、昇級はもう、ほぼ無理だね。
というか降級の影がちらついてるよ。
最終日の、
ストライク大とメトロポリス大の
最低でもどちらかに勝たないと、
降級する可能性が高いだろうねぇ。」
そう言われて、
ストライク大とメトロポリス大の戦績を黒板で確認する。
どちらも昇級の可能性は、ほぼないが、
降級の影がちらついているという、
ロケット大と似たような成績だった。
カルマ大の降級は、ほぼ確定だが、
残り1つの降級校がどこになるかが混戦模様。
バイオ大の最寄駅で集会をし、
Aさん「よし、みんな。
今日は3連敗と芳しくなかったが、
気を取り直して、
最終日、残留を取りにいこう!!
Fは分からないが、
Dは来るだろうから、
今日よりはマシだと思う。
何とか残留するために、
この1週間はいつもよりも
将棋してくれ!!」
Aさん「そして、最終日後の打ち上げで、
残留を盛大に祝おうぜ!!」
「お、お、お、おおおおおお」
と、ワザとらしく盛り上がって、帰路についた。
今日ばかりは、
布団の中にいる時に、
夜倉先輩のことではなく、
負けた対局のことばかりが浮かんで、寝つけなかった。
今回は、ホモ要素が全くといっていいほどなく、
マジメな大学将棋になってますね(笑)
オーダー表は、
もっと本格的なのを作れよと思われるでしょうが、
何かそこまで本格的にすると、話が広がりすぎるんで、
せいぜいロケット大のメンバーのオーダー表さえあればいいのかなと。
とはいえ、そのオーダー表も、ただ単に書いただけで、
ちょっと分かりずらいんでしょうけどね(^_^;)
とりあえずは頑張って、いろいろ凝りすぎるとつぶれそうなので、
無理のない範囲で、投稿したいと思っています。






