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静かな雨は図書室で  作者: greed green/見鳥望
四章 授かりもの
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(3)

帰宅後、彼の名刺に書かれた連絡先に電話を掛けた所、前に会った公園で直接話をする事になり、鏡夜はすっかり暗くなった公園へと向かった。


先に来ていた岬は、挨拶代りに軽く右手を上げた。


「ひょっとして、家近いの?」


「ああ。歩いて30分。」


「近くはないと思うけどな。」


「そうか。で、話って?俺に連絡するぐらいだから、そういう事なんだろうが。」


「うん。実は、頼みたい事があって。」


そして鏡夜は岬に涼音の事、布施の事を一通り話した。

鏡夜が話す間、岬は何も言わず時折相槌を打つように首を動かすのみだった。


「その悪霊を引っ叩いて、安心して涼音ちゃんに成仏してもらおうって寸法か。」


会ったこともない女性に向かってちゃん付けとは。

鏡夜はその表現に少しむっとした。


「そう。でもどうやってヤツを探し出していいか分からない。いるかどうかの確証もないんだけど。」


「それで悪霊の事ならおまかせってんで俺に連絡したと。」


「そういう事。」


「分かった。お前の恋の行方に興味はないが、悪霊ってんなら放ってはおけないな。」


「恋してるだなんて一言も言ってないじゃないか!でも、って事は引き受けてくれるの?」


岬はにやりと笑った。

「いいぜ。正式に引き受けた。ただし、一つ条件がある。」


「条件?」


「悪霊払いはボランティアじゃねえ。れっきとした仕事だ。お前が依頼人なら俺は報酬をもらう。」


「お金って事?」


「そうだ、と言いたい所だが、到底お前みたいなガキがすんなり払える値段じゃない。そこで、お前に出来る事をしてもらう。」


なんだか、猛烈に嫌な予感がする。

岬が鏡夜の両肩にぽんっと手を置いた。


「悪霊一体の浄化。それが条件だ。」


勘弁してくれっていうのが本音だった。

でもこれも、涼音の為だ。


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