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堕天使の従者  作者: 霧舞
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自作小説。初投稿。時間かけても取り敢えず完結目指します


4月、そんでもって春。

高校に入学した俺は、つい浮かれてか、校舎の3階から海を見ていた。



「よう璃久、早いな」



名前を呼ばれて振り返ると、そこにはこの学校唯一の知り合いであり小学からの友人、織崎拓人がちょうど教室に入ってきたところだ。コイツとの仲は文字通り腐れ縁で、俺の行くとこには必ず出現する。まあ今回はクラスが違ったようだが…。



「おう。なんか早起きしちまってな」


「ほう〜、やっぱり一人暮らし始めると気が引き締まるのかね?」



そうかもな、と答える。拓人の読みは大抵当たる。今回も当たりだ。

高校入学に合わせる形で俺は一人暮らしを始めている。今日はその初日なわけで、新しい空気というかに触れたせいでテンションが妙な上がり方をしたわけだ。


「なぁ、今日部屋見に行ってもいいか?」


「ああ、その代わり汚すなよ?初日に大掃除なんてしたく無いからな」


「分かってるって。いろいろ差し入れ持って行くぜ」


「サンキュー」



そんな会話をしてると他の生徒が一人、また一人と揃い出す。拓人も教室に戻ると言い、ここを後にした。

HRでお約束の自己紹介を終えて、授業を受ける。無論、初日からガンガン飛ばす教師は居るはずも無く、ゆっくりと時間は過ぎていった。



あっという間、と言うわけではないが放課後。俺は拓人が部屋にくる前に部屋の荷物整理をしておこうと思い、一足先に学校を出た。


帰る前に少し海でも見るかと思い堤防を目指すが、堤防にはどうやら先客がいる。銀髪の長い髪の女の子だった。灯台の壁に手を着いて物思いに空と海の境界線を見つめている。

邪魔しては悪いと思ってその場から立ち去ろうとした時だった。

ふと目を空へやり、波の音が強くなったなと視点を海に戻すと、堤防にいたはずの女の子が消えている。



「…は?」



周囲を見るが人影は無く俺しかいない。

途端に頭に嫌な考えが浮かぶ、身体は既に堤防へ向かっていた。



「おいおい…まだ泳ぐには早いだろ!」



少女が立っていた位置から海を見る。ここからでも水面までは結構な高さだ。波はそこまで荒れてはないが、着衣では厳しいだろう。

更に俺は最悪を思わせる物を見る。

沖の方に先程の女の子がいる、しかも手を上げてはもがくように水面を叩いている。


あれはどうみてもこちらに元気よく手を降ってはいないし、何より笑ってない。


「やべぇ!助けないと!」


服を脱いでる暇は無い。靴を脱ぎ捨てて俺は漆黒とも言える海に飛び込んだ。



波の抵抗が思っていたよりも強い。進んでるのか戻ってるのかも分からなくなってくる。それでも一応進んでいたのかようやく女の子の元へ。



「わぷっ…た、助け…」


「おい掴まれ!」



呼びかける。だが沈んでいく状態ではろくに聞き取れていないのか、差し出した手を掴む気配がない。



「チッ、こっちもキツいってのに!」



それでもどうにか手を伸ばして腕を掴むことが出来た。女の子は力尽きたのかぐったりしている。取り敢えず急がないとマジでヤバい。半ば背負う形で岸まで泳ぐ。



「おい!しっかりしろ!」


反応なし。近くに人は居ない。この子の親は何をしてるんだ!?

このまま放置したところで意味はない。仕方無く背負い直し、出来るだけ急いで俺は自分の家に向かった。


なるべく人目に触れないように何とか家まで到着。取り敢えず背中の女の子を寝かせるが、なんせこっちは完全に犯罪者の気分にされているため、落ち着けない。



「取り敢えず着替えるか、ってかこの子も着替えさせないと風邪引く…出来るかぁぁぁぁぁぁ!」



バカか俺は。そんな事をした日にはきっと両手首に鈍く光る銀色アクセサリーが付くじゃねーか。



「ん…」



そんな事を思っていたら女の子が目を覚ます。



「お、気がついたか」


「…ふぇ?」



寝起きだからなのか、半開きの目で部屋をゆっくり見渡す。そして最後に視点は俺に合わせられた。



「誰?、変態さん?」


ひでぇ。その反応は読めてはいたが実際に言われるとこうもグサリとくるとは…。

流石に変態扱いされたくはない、説明を始めた。



「変態じゃないから。君がが海で溺れてたから助けたんだ。気絶してたし、外に放置するわけにもいかなかったしな。起きたら親に連絡をしてもらうつもりだったんだよ」


「なるほど、そして寝かせた時にムラムラきてしまったというわけだね?」


「してないよ!てか起きたなら着替えてくれ、俺はどっか行ってるから。」



一応用意していた服をその場に置き、俺は部屋を出る。サイズが合わないのはこの際仕方無いだろう。風邪引かれるよりはマシだし。


「取り敢えず早いとこ親に来てもら…ん?」



言い終わらぬ内にインターホンが突然鳴りだした。まさかの親か、と思ったがそうではない。瞬時に友人の顔が頭に浮かび上がる。



「ヤバい、拓人だ!今来られたら確実に誤解が…」



あの子に部屋から出るなと言わないとまずい。急いで部屋に戻るがあの子が居ない。同時に近くでガチャリとドアを開ける音がした。


「ん?君は誰?変態さん2号かな?」


「は?何言ってるんだ?というかお前こそ誰だよ?ここは璃久の家だろ?」


「璃久?ああ、あの人の事か…」


「ちょっと待ったぁぁぁぁぁぁ!」



俺は慌てて2人の間に割り込みを入れた。来たはいいが、拓人になんて言えばいいんだ。



「璃久!コイツ誰だ?」



考える暇くらい寄越せと言いたくなる。と、不意にドラマなんかでよく聞くような常套句が浮かんできた。


「あー拓人。えーとだな、誤解を招かない為に言っておくけどさ、この子は俺の親戚みたいなもんで…」


「そなの?私は今日君の顔を見たよ?おまけに気がついたら寝かせられていて、今も服を脱がそうと…」


「アホかぁぁぁぁぁぁ!」


意味ない!今の俺の説明が一瞬で意味のない物に変わったじゃねーか!



「と、取り敢えず邪魔したみたいだな、俺帰るわ…」

「誤解するなよ!こいつとはなんでも無いからな?」

「ああ…わかった。それじゃ、元気でな!」


「元気でな!?それ普通の挨拶じゃないだろ!おい拓人!おーい!!」



拓人は何か悟った顔でいきなり走って行った。

ダメだろコレ!最悪だろコレ!



「こいつとは失礼な…」


こいつ呼ばわりされたのを不快に感じたのか、女の子はため息交じりに呟く。本来ならばまず謝る所だが、生憎今の俺にそんな余裕は無かった。



「何言ってるの!?君のせいで完全に誤解したよアイツ!」


「私は本当の事を言っただけな気がするよ?」


「そりゃそうなんだけどさ!言い方ってもんがあるよ…」


「私に服を脱げって言った。」


「着替えてくれって頼んだだけだよ!」



話が進むにつれ、変態の2文字が早足に近づいてくる気がしてならない。



読んでくれてありがとうございます!次回投稿が全くの未定ですが頑張ります!

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