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追放された男、最狂にて  作者: 新仁友成
第一部 第4章 再会
30/48

登龍門

白龍目掛けて女性像、骸達が動き出す。

アルベールはルシェラ、シルフィードと冒険時の様に後衛サポーターとして後方に構える。


バンッ!

ドンッ!


女性像は白龍に魔法を放つ。

が白龍は翼でガードし女性像に炎を放つ。


ドンッッ!

女性像が壁に叩きのめされた。


スパッ!

骸達も攻撃を繰り出す。

スパッ!


(この倍率なら問題ないな。)


ガウゥゥゥ!!

白龍は口から黒炎を放つ。


そこに、赤鎧戦の様な慢心は無い。

異常事態でも、冷静に頭が回る。恐怖も無い。


グウォォォ

白龍の体全身を青白い光が包む。


(こいつ、身体強化したのか!?……)


ヴオォ!!

白龍は右側かり左側に炎を放つ。

さらに、翼の風圧で骸達を吹き飛ばす。


それでも、客観的にアルベールの方が優勢。

白龍は女性像の攻撃を交わしながら或いは翼や体のあらゆる部位で流しながら骸達に追われていた。



ガウゥゥゥ!!

吠える白龍。

口から黒炎を女性像目掛けて吐き出す。

交わして氷属性の魔法を放つ。

飛んで交わす白龍。

(チッ!先ずは翼だな)


骸達が「連鎖施錠」(チェーンロック)を発動する。

交わしながら黒炎を放つ白龍。

女性像が放つ雷属性の魔法が翼を掠め、「連鎖施錠」に引っ掛かる。

そのまま、地面に引きずり降ろす。


ロムのコメント

・いっけー

・アルベール強すぎwwwww

・異常事態すら通常業務な異常ww

・白龍が可哀想ww




が、白龍は引きずられながら青色の魔力が口に集まる。



辺り一面を見渡すアルベール。

(黒炎が消えてない。まっまさか!!…こいつ魔力因子を………)


「大きな盾!!」(ビッグシールド)


ブハァァァァァァ

白龍は青く真紅な炎を引きずられながら地面に放つ。





魔力因子。

魔法を放った後に出来る小さな結晶の様な物。

肉眼では見る事が出来ない。

勿論、魔力因子にも属性がある。

火属性の魔法を放てば火属性の魔力因子が出来る。

空気中の魔力因子の属性と自分が放つ属性が同じであれば威力も上がる。

だから、魔物との戦いは後半になるにつれて自然と魔法の威力が上がる。

だが、それは魔物も同じ。

だから、高ランカーの冒険者達はオリジナルで自分に有利な魔力因子を生成する為の魔法を戦いの序盤で発動する。

白龍の黒炎の様に。


黒炎によって辺り一面に火属性の魔力因子が生成された状態での灼熱ブレス。

全てを無にする。絶望のブレス。


女性像も骸達も魔法陣が出現し退陣した。

アルベールも柄シャツ、タイトな黒パンツも所々、燃え背中に入ってる天女の刺青がチラチラ見えている。

火傷した肌の色も痛々しい程、真っ赤になっていた。



局面をひっくり返された。

まるで勇者の様に。

慢心も無ければ今まで冷静に対処していた。

後は、時間の問題だ。誰もが思っていた矢先の事。


アルベールは黒炎の存在意義に気付くのが遅かった。単純な攻撃だと思っていた。…だが、誘導を兼ねた火属性の魔力因子を増やし白龍が放つ炎のブレスの威力を上げる為の物だと。


将棋の様に戦いの終盤まで計算されたまるで高ランカーの冒険者みたいな戦闘方法。




「ハァハァハァハァ……随分、人間様みたいな戦いすんだなトカゲ野郎が……ハァハァハァハァ」

(早く火傷を治さないと)


女性像、骸達は退陣してから次の発動まで15分。

つまり、これから15分間アルベールは1人で対応しなければならない。


ロムのコメント

・これ、倒せるの?

・わからん

・派手タンで無理ならみんな無理www

・その呼び名止めろ!

・確かに。この後に及んで尊敬出来ないとは



アルベールは女性像、骸達が退陣した事により戻り地面に落ちてあるネックレスを収納バックにしまい首斬大鎌を拾い構えた。


「第2ラウンドと行こうかっ!!」


身体強化のバフ一式を自身に掛けて白龍に立ち向かう。

白龍の左前脚の殴りによる攻撃。

鎌で受ける。

「オラッ!」

白龍の打撃の重さに少し後退してしまう、そこを右前脚の殴りが襲う。

カンッ!

「クッ!」

何とかガードするも、白龍の反時計回りからの尻尾による凪ぎ払いが当たる。

「ぐはっ…」

凄まじい威力により岩まで吹っ飛ばされてしまう。

バンッ!

(…くそ…………)


直ぐに大きな口を開いて突進してくる白龍。

自分の左側に避けるアルベール。

振り向き様に白龍は口から炎を放つ。

「やべっ!」

炎が右手を掠り少し火傷する。

炎の煙で視界が鈍りそこに、白龍が時計回りに回転し尻尾で凪ぎ払う。

(はぇぇな《早いな》…くそ)

尻尾の先端が火傷のせいで感覚が少し麻痺していた右手に当たり首斬大鎌を離してしまう。

カンッカラッカッカッカッ

吹き飛ばされた首斬大鎌が地面に落ちる音がする。

白龍との距離を取るアルベール。






火傷が治る。

(さぁ~て、行くかな。そろそろお披露目と行こうか。)


アルベールは白龍に駆け足で迫りながら、腰の剣を抜きながら「龍門登りし斬り刻め!!!」


「鎌斬龍っ!!!」(かまきり)

アルベールが持っていた剣が峰の部分に小さい刃が無数にあり、ノコギリ状になっている鎌の形状に変化した。


「オラァァァ!!」

白龍の左前脚に攻撃。


カキンッ!!

(やっぱ、堅いな。この倍率じゃ流石に通らないか)

「なら、削ってやるよ!!」

ギギギギギ


左前脚から後ろに削るアルベール。

白龍が時計回りに尻尾を凪ぎ払う。

ブォーン!

「チッ!」

間一髪の所で交わし白龍の懐に入り右後脚の付け根辺りから胸まで削る。

ギギギギギギギギギギ

「ヒャハハハハハ」

白龍の右前脚からの殴り、峰の部分で合わせカウンターが炸裂し反動でよろける白龍。

その隙に、ジャンプし鎌の峰の部分を白龍の胸に押し当てて上から下に重力を利用して削る。

ギギギギギギギギギギ

グガァァァァ!!!

「ヒャハハハハハ!!」

白龍が吠える。アルベールも吼える。

「もっとお前の寿命を削ってやるよ!!」




グウォォォ

白龍の体全身を青白い光が包む。


(また、身体強化か…)


身体強化した白龍は翼を動かし風圧によりアルベールの視界を妨げる。

(み、みえねぇ《見えない》…)

正面から炎のブレスがアルベール目掛けて放たれる。

左側に交わすも口を大きく開けた白龍がアルベールを襲う。

(全部、誘導かよ…コイツ…マジで…人間みたいな戦い方だな)

「クッ!」

鎌斬龍を白龍の口に埋め込む形でガードするも、勢いそのまま岩に叩きのめされるアルベール。

バンッ!

(いてーな!このヤロウ!!!)

白龍の口に青色の魔力が集まる。

(おいおい、ちょっと待てちょっと待て!!)


バンッ!

何かが白龍の右側に命中し難を逃れたアルベール。

(何だ?……)


(ふぅー、でも助かった…)




sideルシェラ

動けない。

鋭く光る青い眼光を目の当たりにしてからルシェラ達5人は動けなかった。


◇◇◇◇◇◇◇◇

「おいっ!!シャーレ!」


「…はいっ!」


「転移石を使え、余ってるだろ!?転移出来るまでシールドを張れ!!!俺があの白いのと戦う!!」

◇◇◇◇◇◇◇◇

勢い良く、普段なら同い年のアルベールに対して絶対しないであろう返事をしたシャーレも意識を取り戻しただけで頭が回ってる訳ではない。


この場に居る女性陣全員が目の前に居る恐怖に縛られ頭が回らない、或いは意識が無い。

非力な生物の小さな小さな防衛本能なのかもしれない。

赤鎧という異常事態に直面したシルフィードすらも身体中をブルブル震わせて白龍の大きさ、眼光、雰囲気に飲まれ恐怖に支配されている。

動きたくても動けない。


赤鎧との対比はシルフィードが全て物語っていた。




白龍が地面に引き降ろされる白龍の口に青い魔力が溜まる。

見ただけで凄い攻撃がこれから来るのだとわかる。



意識はあるが、頭が回らない。

でも、何かしないと!と感じたシャーレが咄嗟に大声で叫ぶ。

「来ますっ!」


「赤ワインの円、展開!」

(ワインレッド・サークル)


「赤ワインの盾!」

(ワインレッド・シールド)

シャーレのアビリティ【安心地帯】によるシャーレのオリジナル魔法により白龍が放つ青い真紅なブレスから5人は守られる。




(あ…あ……うっ動けない…体が固まってる…)


(これが……冒険者なんだ…)

ルシェラはアルベールと白龍の戦いを見て感じていた。


(目の前に…居るのに…………)

アルベールを助けたい。

いや、助けられる程の実力ではない。

自分でもわかっている。

過去、何度も何度も傷付いたアルベールを目の当たりにしてきた。

物理的にも精神的にも傷付いた彼を助けたかった、いや一緒に戦いたかった。

でも、物理的にも精神的な心の部分でもアルベールとは距離があり彼女の想いとは裏腹に現実は過ぎていった。


でも、今は目の前に居る。

助けたい。

一緒に戦いたい。

そんな、愛しい愛しい四六時中、愛でてたい彼が目の前に居る。

でも、恐怖で足がすくみ腰は引け、おまけに全身がフブルブル震えている。


また、想いとは裏腹な現実。

(うぅ……アル君……何で?…………私は…こんなに弱いの?…………アル君……うぅ…)

自然と涙が溢れる。


(アル君……うっ動け!…私の体っ!…)


(なっ何で?…言う事聞かないの?……)


ルシェラもアルベールの戦闘はロムを通して知っている。

白龍の青い真紅な炎により、女性像も骸も退陣した。それがどう言う事か。

赤鎧との一戦でアルベールが無事帰還するとその日の夜にロムを視聴した。

アルベールが無事とわかった上で視聴すると最後の最後は女性像、骸を召喚したアルベールの圧勝だった。


でも、今は1人で白龍と戦っている。


(アル君が…アル君が…アル君が…アル君が…アル君が…アル君が…アル君が…アル君が…アル君が…アル君が…アル君が…アル君が…アル君が…アル君が…アル君が…アル君が…アル君が…アル君が…)


ルシェラの右足が動く。

微かに前に一歩踏み出す。その歩幅は足踏みと同等の様な小さな小さな小さな一歩だ。

でも、踏み出した。

脳ミソにアイツは危険だ!今すぐ逃げろ!と洗脳されてるかのように焼き付けられている先入観を無視したのか?打ち破ったのか?アルベールの事に意識を集中させ白龍の事は蓋をし現実逃避をしたのか?

それはわからないが心を動かして体を動かした。


足踏み程度の歩幅と揶揄されようと馬鹿にされようとアルベールを助けたい。一緒に戦いたい。その想いだけで自分の心を焚き付けて体を動かした。

それが、どんなに素晴らしい事か。


ロムはアルベールと白龍の戦いを配信しており、ルシェラ達の姿は捉えてない。

偉大な1人の女性が、人間が今ここに人知れず誕生したのだ。


右足、左足、右足、左足

その繰り返し。

歩幅は小さい。

心を動かして振り絞った小さな小さな勇気が覚悟に変わり彼女を動かす。


「ルッ…ルシェラさんっ!そっちは危険です!」

サクラが叫ぶ。

「そそそそっそうだ!転移石を使いましょう!」

シャーレが口を開く。

パンッ!

両手で両方の頬を力いっぱい叩いたルシェラ。

「私は戦う!!シャーレちゃん達は転移石を使って脱出して。死んでもシャーレちゃん達を恨まないから。自分が好きで、望んで行くわけだから。」


「…」


「シャーレちゃん!」


「はっはい!」


「最後に身体強化のバフ貰える?」


「本当に…行くん…ですか?」


「うん。もう決めたから。やっと。やっと。目の前で支えられる時が来たの!!助けられるかはわからない。でも、何もしないより私は彼の側に居たいのっ!!!!!今、みんなと逃げてアル君が……もし帰って来なかったら、私は絶対後悔する。自分次第でようやく彼の側に居れる時が来たのっ!!」

顔の表情からは腹を決めたであろうルシェラが決意を言葉にする。


「ウチも行くっ!!ウチにもバフちょうだい!」

シルフィードの顔からも覚悟が伝わる。

シルフィードはシルフィードなりに自分と向き合いそう恐怖を乗り越えたのだろう。


そこには、勇ましい戦士の目をした女性が2人居た。


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