再会の戦場
「ねぇねぇ聞いてよ!シルフィー!」
「何?」
「昼間ね、アル君浮気してたんだよっ!!」
「いや、してないから。マジで!!」
「だって、ソフィアさんと2人きりだったじゃん!」
「まぁ、それは事のなり行きで……」
ギロッと睨むシルフィード。
「アルッ!!」
「いや、だからしてないって。ってか暇だったから読書しに図書館に行ってたのっ!!ちょっと待ってて!!」
アルベールは借りてきた【勇者の冒険】、【時の大賢者】という本を出した。
【勇者の冒険】
伝説の勇者パーティーの物語!!
・アーノルド・サンダース
・ミシェル・レーマン
・ギルハート・ロックンハート
・アルベール・レイシア
・セスク・セバージェス
前人未到の430Fを攻略した!!
【時の大賢者】
アレクサンダー・ワトキンスの生涯。
全てはこの男から始まった!
「これっ!!懐かしいな♪」
シルフィードが【勇者の冒険】を見ながら言う。
「知ってるの?」
アルベール。
「あぁ子供の時によく読んでたよ!!」
シルフィード。
「私も知ってる。でも、実在したのかな?」
ルシェラ。
「430Fって……まぁ、おとぎ話みたいなもんじゃね?」
シルフィード。
「そのセスクって人、子供だったんだよね!?」
ルシェラ。
「そうそう。天才でしょ!?やっぱり神話でもどの時代でも天才っているんだなー」
シルフィード。
「そっちは?」
ルシェラ。
「あぁ、これは今は亡きアレクサンダー王国の名前の由来になった大賢者だよ。この人が居たから今があるって言われてる人~。」
アルベールが説明をする。
「へぇー、アルも歴史とか好きなん?」
「好きというか、まぁ定期的に読んでたりする。」
◇◇◇◇◇◇◇◇
「今日はね、カレーだよっ!!」
「やったー!!」
「よし、ウチは米を研ぐ!」
「じゃあ、俺は……ルーを入れるっ!」
「アルよ…それは、ありなの?」
「…」
(まぁ無しだわな…………)
◇◇◇◇◇◇◇◇
「今日も美味しいね♪」
モグモグしながら幸せそうなアルベール。
「だなっ♪」
シルフィード。
「ねぇねぇ、アル君!サクラちゃん達覚えてる?」
「サクラ?……サクラって俺と同い年の?」
「そうそう。」
「それが、どうしたの?」
「サクラちゃん達が冒険者として行き詰まってるみたいで、何とか力を貸してあげられないかな~って。」
「ルシェラさんが言うなら……」
「でも、手を貸すって言ったって何すんだ?」
シルフィード。
「時間を合わせて、一緒にダンジョンを攻略するの。サクラちゃん達からも誰か冒険者を紹介して欲しいって言われてるんだけど女の子3人のパーティーだから、変な人紹介できないでしょ~。」
「確かにな!よしっ!ウチも人肌脱ぐぞ!!」
「2人はほどほどの方が良いと思うよ!?」
アルベール。
「「何で?」」
「サクラ達がビックリするから。」
「明日さ、ギルドで顔合わせ出来る?」
ルシェラ。
「俺は構わないよ。」
「ウチも問題なーし!!」
サクラ、ジズ、シャーレの3人はアルベールとノルンと同い年。
冒険者になって直ぐに頭角を出したアルベールとノルン。それとは対照的に周りからすれば遅いかも知れないが自分達のペースを崩さず彼女達は彼女達なりの道を歩いていた。ただ、新人女冒険者3人では直ぐに限界が来た。その時に受付嬢ルシェラの計らいでアルベールとノルンの2人を指導者として紹介して貰った。
そこからは、冒険者ギルドで度々、顔を会わせば会話に花を咲かせていたがアルベールが、冒険者ギルドへの担当から外れた事により、顔を会わせなくなっていた。
◇◇◇◇◇◇◇◇
「あっ!来た来た!おーい!こっちこっち。」
冒険者ギルド内で先に着いたアルベール達3人はロビーの丸テーブルに腰かけていた。
「あっルシェラさん!!」
サクラが元気に声を上げる。
「おはよっす!」
「おはようございます。」
ジズ、シャーレが続いて挨拶をする。
「おはよう。」
「おはよう。」
「おはようさん。」
「アルッ!久しぶりじゃん!!元気してた?もう私達、心配したんだからねっ!!」
サクラがアルベールに絡みだす。
「元気は元気だな。ただまぁ輝きは追放されたけどな(笑)」
「でもさ、あれはヒデーもんだよ!!流石に頭来たぜっ!!」
ジズ。
「確かにアルを追放だなんて黄金の輝きは勿体無い事しましたね。」
シャーレ。
「おぉー、やっぱりお前らもわかるんか?このアルの凄さが!?ウチは初めて会った時、ビビッってわかった。こいつは本物だってな♪」
「いやいや。シルフィーよ。過去の栄光と過ちは消えないぜっ!!」
アルベール。
「あっ!!良い忘れてた。」
サクラ。
「「「おめでとうございます。」」」
サクラ達3人が手をパチパチ叩いて祝福している。
「ありがとう。」
「ありがとう。」
「ありがと。」
「でも、アルがまさかな……ルシェラさんを射止めるとは」
ジズ
「でもさ、でもさ、ルシェラさんも本当に良かったですよ!!私達は陰ながら応援してましたよ。」
サクラ。
「えっ!?気付いてたの?」
ルシェラ。
「そりゃあもう、最初はノルン君と同じ感じでしたけど徐々にアル以外は眼中に無いって感じが伝わりました。」
シャーレ。
ポーと急に顔が赤くなるルシェラ。
「バレバレじゃん!!」
顔が赤いルシェラをからかうシルフィード。
「もうっ!!」
ルシェラ。
「でさ、サクラ達は今どの階層なの?」
「私達はね、53Fを攻略したばかりのBランク!」
サクラ。
「これから先に進むに連れて今の私達だと火力不足だという話になりまして…」
シャーレ
「だから、人を増やすって決めたんだけど中々、見付からなくてよ…」
ジズ
「焦らずでいんじゃない?私はそれより、命をもっと大切にして欲しいな~」
ルシェラ。
「う~ん。それ言われると返す言葉が見当たらない……」
サクラ。
「そうなんですよね…せめて後衛アタッカーが来てくれればなんですけどね…」
シャーレ
「でも折角、冒険者になったわけだし上を目指したいんだよっ!!」
「確かにな、でも、攻略したって死んだらお仕舞いなわけだし。別にサクラ達の事を言うわけじゃないけど地に足はつけといた方がいいよ。まぁ、取り敢えず70F辺りを目安でいいか?」
「「「うん。」」」
「一応予定はルシェラさんに合わせて貰って良い?まだ、受付嬢としてギルドで働いてるから。でも、サクラ達も無理に合わせなくて大丈夫だから。」
「わかった。」
サクラ。
「じゃあ、今から行く?」
「御願いします。」
シャーレ。
「よろしく頼みます。」
ジズ
「お願いします。」
サクラ。
「ルシェラさん達の装備カッコいい!!」
サクラがキラキラした目で口を開く。
「これが例の…?」
ジズもキラキラした目でルシェラに問いかける。
「うん。シルフィーが作ってくれたんだっ!!」
そう言ってルシェラは全身の装備を披露するべく1回転する。
ルシェラだけじゃなく、シルフィードの装備、武器は赤鎧の素材をシルフィードが加工して作ったもの。
「ルシェラさんの武器はそれー?」
サクラ。
「うん。私は格闘家だからね。」
そう言って手に装着したシルフィード作のパワーグローブを見せた。
「アルは剣にしたのか?」
シルフィードがアルベールの腰の剣を見て聞いてきた。
これは、アルフレッド工房でクロムの武器と一緒に作った新しい武器だ。
「剣というか……何て言うか…鎌だと収納バックに入れないとだから、こないだの戦いで武器は収納バックに入れると取り出す時間に殺られるって思ったからさ。」
「でも、予備の剣持ってただろ?」
「そこは、まぁ折角だし後は、サプライズ!(笑)」
「なんじゃそりゃ。」
普段アルベールは首斬大鎌を収納バックに入れて生活しており、ダンジョンに潜る際に取り出している。
◇◇◇◇◇◇◇◇
「オラァァァ」
ドンッ!
「ハァァァァ」
バンッ!
(すっ凄い……これがルシェラさん!?)
(シルフィーさんも凄すぎだろ!!)
(2人も凄い……)
階層が低い道中とは言え、次々に魔物を倒していく様を見てサクラ達3人は度肝を抜かれた。
目の前には55Fフロアボス。
「よしっ!ルシェラ!行くぜっ!」
「うんっ!」
「オラリァァァァァ」
「アル君♥️アル君♥️アル君♥️アル君♥️アル君♥️アル君♥️アル君♥️アル君♥️アル君♥️アル君♥️アル君♥️アル君♥️アル君♥️アル君♥️アル君♥️アル君♥️アル君♥️アル君♥️アル君♥️アル君♥️アル君♥️アル君♥️アル君♥️アル君♥️っ!!!!!!」
シルフィードの重たい一撃とルシェラの愛の連撃。
(凄い!!これが、愛の力っ!!)
(いやいや…………)
(凄いです。)
ロムのコメント
・イケイケ行けww
・ここまで来ると魔物が可哀想
・付与魔法以外使ってないwwww
・ただの暴力なんよwww
・受付嬢ってみんなこの強さなん?
・アルベールは何してんだよ!!!!!!
・あいつは尻に引かれてるwwwww
◇◇◇◇◇◇◇◇
3人でダンジョンに潜った初日の事。
バンッ!
「ねぇねぇ、アル君っ!!」
「何?ルシェラさん。」
「魔物を殴る時、アル君って叫んで良い?なんか力が漲るんだよね~。」
「まぁ、いいよ。」
(どうせ、止めても無駄だしね。)
◇◇◇◇◇◇◇◇
58Fフロアボス戦。
「アル君♥️アル君♥️アル君♥️アル君♥️アル君♥️アル君♥️アル君♥️アル君♥️アル君♥️アル君♥️アル君♥️アル君♥️アル君♥️アル君♥️アル君♥️アル君♥️アル君♥️アル君♥️アル君♥️アル君♥️アル君♥️アル君♥️アル君♥️アル君♥️っ!!」
バンッ!バンッ!バンッ!バンッ!バンッ!バンッ!バンッ!バンッ!バンッ!バンッ!バンッ!バンッ!バンッ!バンッ!バンッ!
バンッ!バンッ!バンッ!バンッ!バンッ!バンッ!バンッ!バンッ!バンッ!バンッ!バンッ!バンッ!バンッ!バンッ!バンッ!
ルシェラは魔法を使ってない。
使っているのはアルベールが自身に掛けた身体強化のみ。勿論、重ね掛けはしている。
ただ、それだけ。そこに華はない。ないのだ。
あるのは、アルに対しての愛だけ。
元々、魔力量の乏しかったルシェラにアルベールは魔法が撃てなる変わりに攻撃力が格段に上がる呪具を着けさせ身体能力強化に全降りさせ脳筋打撃化け物(殺戮武人)が誕生した。
現状だけ見ると、この魔改造は功を奏したのだろう。
◇◇◇◇◇◇◇◇
61F フロアボス
「私達も行くよっ!!」
サクラ。
「おうっ!!」
ジズ。
「えぇ。」
シャーレ。
「ウォーターカッター!」
サクラ。
「サンダーカッター!!」
ジズ。
アルベールの付与術もあり3人もサクサク魔物を倒していた。
「やったー!!やっぱりアルの強化魔法は凄いやー!!」
天真爛漫に喜ぶサクラ。
「あぁ、凄いな。」
ジズ。
魔物の近くでアルベールの強化魔法に素直に喜ぶサクラ達2人。
そんな2人を後衛サポーターとしてアルベール達と遠目で見ていたシャーレの表情は暗くなる。
「魔法の威力が明らかに違うね。私もこんな強化魔法を使えれば…」
少し落ち込むシャーレ。
「シャーレなら、いつか出来るよ。それにシャーレには取って置きがあるじゃん!」
フォローに入るアルベール。
「うん…」
シャーレ。
「シャーレちゃん。落ち込まないで、そもそもアル君が桁違いなだけで他のSランク付与術師だって真似できないんだから。」
ルシェラ。
「…はい。」
シャーレ。
「シャーレ、テバフは?」
アルベール。
「少しなら…でも、タイミングが難しくて…」
「なら、俺でよかったら教えるよ?そこを極めれば他の付与術師との差別化にもなるだろうし。」
「いいの?」
「いいよ。俺で良ければ。少しずつコツを掴んで行こう。」
◇◇◇◇◇◇◇◇
6人はルシェラの予定に会わせながらダンジョンを攻略し、遂に目標の70Fまで到達した。
「ねぇねぇ、アル、70Fのフロアボスって黄色い蟹だよね?」
サクラが質問する。
「あぁ、雷属性のな。」
アルベールが答える。
「甲羅が堅いか?」
ジズ。
「5人なら大丈夫でしょ!今までのロム観な(笑)」
「よしっ!今日もぶっ叩くぞ!!」
シルフィード。
「オラリァァァァァ!」
「サンダーカッター!!」
「ウォーターカッター!」
「アル君♥️アル君♥️アル君♥️アル君♥️アル君♥️アル君♥️アル君♥️アル君♥️アル君♥️っ!!」
道中の魔物を何の問題もなく倒していく。
(何か嫌な予感がする…魔物が少なすぎる。)
アルベールは道中の魔物の数と何かに怯えてる表情を見逃さなかった。
◇◇◇◇◇◇◇◇
70F フロアボス
黄蟹。
雷属性を扱う蟹だ。
ガリィガリィ
ゴリィゴリィ
(何かが黄蟹を食べてる…?白い巨大な何かが…翼か?……チッまた、異常事態かよ…)
アルベールは以外にも冷静だった。
(龍か。白い4つ足と、翼?が生えてる龍…だよな?)
鋭く青い眼光が2つアルベール達の方に向いた。
グガァァァァガァァァァ!!!!!!!
大きな咆哮と共に、空高く飛ぶ白い龍。
「踊り狂え。喜び悦べ!!!!!」
「【残骸骨・骸】【零式・閻魔骸狂八咫烏】」
魔法陣から骸と女性像が出現した。
白龍は口元付近は青く地面に近付くにつれ美しく真紅な炎を放ってきた。
ブハァァァァァァ
「来るぞっ!!」
アルベールが必死に叫ぶが女性陣5人は余りの恐怖に
完全に飲まれている。アルベールの声が届かない。
(……完全に飲まれている……)
「魔力強化!!」(マジックアップ)
「大きな盾!!」(ビッグシールド)
アルベールと骸達が魔法で出来た盾を作り出し5人を守りながら攻撃を防ぐ。
(なんだよ、この威力。灼熱すぎだろ!!)
白龍は炎を放ち終わり地面に降りた。
「シャーレ!!」
「……」
「シャーレ!!!」
「……」
「おいっ!!シャーレ!」
「…はいっ!」
「転移石を使え、余ってるだろ!?転移出来るまでシールドを張れ!!!俺があの白いのと戦う!!」
ロムのコメント
・何だよ!あれっ!!!
・ヤバくねwww
・画面越しに伝わる恐怖
・実際、ヤバい




