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追放された男、最狂にて  作者: 新仁友成
第一部 第4章 再会
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快晴と豪雨

ルシェラはあれから週2で受付嬢、週2で冒険者活動に勤しんでいた。

シルフィードもルシェラがギルドに出勤する時に実家のアルフレッド工房に行き鍛治士として腕を磨いていた。


ルシェラも、シルフィードも居ない広い屋敷に孤独を感じたアルベールの足は図書館に向かっていた。


「やぁ、アル。」

【太道の虎】第3部隊所属のソフィアから声を掛けられた。

図書館内の世界史についての本を探し読んでると、

トンットンッ

後ろから肩を叩かれた。

「あぁ、ソフィアか。」


「何~。その、ガッカリした感じ~」


「いや、そういう訳じゃないけど…」


「ちょっと話さない?」


「まぁ~別に構わないけど……」


「ここ、私語禁止だしさ。」




◇◇◇◇◇◇◇◇

近くのオープンカフェに行きアルベールはカフェラテ、ソフィアはアールグレイティーを購入した上で外の席に座った。


「そう言えば、観たよ!赤い魔物との激闘っ!」


「あぁ、あれね。ビックリしたよ。本当に…」


「やっぱり、私の目に狂いはなかった。今の言葉もだけど、私はねずっと黄金の輝きの柱はアルだって思ってたもん!!」


「ハハハ……それは、買い被りすぎだから。」


「だって90F以上で異常事態が起きて、無事に帰って来たわけでしょ? で、ビックリしたって?何その、感想ー。普通はもっとあると思うんだけどな~。」

コップのストローで氷をかき混ぜながらソフィアはアルベールの表情を見ながら言葉を発する。


「いや、まぁ…忘れたと言うか……ハハハ」

(今日は何か鋭いと言うか…困るな~本当に…)



「おーい!」


ギルドで受付嬢の仕事をしているはずのルシェラが声を掛けてきた。

「ルッルシェラさんっ!!」


「何、アル君、早速浮気ですか~?」


「ちっ違うよ…ソフィアとちょっと話をしていただけ…………」


「ルシェラさんこんにちは。お久し振りです。」


「ソフィアさん、お久し振りです。」


「あぁ、アルとは偶然図書館で会ったのでこないだの赤鎧とかの話を聞きたくて私から誘ったんだ。」


「ふ~ん…」

(この人はどっちだ?アル君を何として見ているの?傷つけよう。とは思ってないはず。わからない。わからない。)


「あの…その…2人の関係は?」


「婚約したんだよ。」

アルベールが口を開く。


「ねー♥️」


「えっ!」


「後、赤鎧との戦いに居たと思うけど赤い髪の娘とも婚約をしたんだ…」


「えっ!?2人と?」


「…まぁ…そうなるね…」


「赤い髪の娘はシルフィードって言うんですけど、彼女とは幼馴染なんです。」


「そうなんですね……」


「私は元々、アル君の事が好きでシルフィードもアル君と冒険してから気になっちゃったみたいで……それで、この形になりました。」


「そうですか……」


「ってか、ルシェラさんこんな所でサボってて平気?」


「サボってないよっ!!愛するダーリンがあっちこっち浮気するから見回りしないとっ!!」


「だから、してないよ!!」


「…」


「もう、家帰ったらシルフィードに報告するからね!!」


「話を大きくしないでよ……もう……」



楽しそうな2人の会話を聞きながらソフィアは心の奥底がモヤモヤしだして

「おっお邪魔みたいだから、私はかっ帰ります!じゃあ、また。」

足早にその場を後にした。



sideソフィア

「うぅ……うぅ…」


ソフィアは自室の枕を濡らしていた。


「うぅ…うぅ………」


「あっ……あっ……うぅ」


どうやって帰って来たのか?

帰路の記憶が無いままベッドにダイブし、泣き崩れていた。


(私……アルの事が…………好きだったんだ。)



昼間の会話がソフィアの頭を支配する。

2人の会話を聞いてる時に胸がモヤモヤして同時にチクチクして、何とかその場を離れるしかなかった。

それが、彼女が出来る自分の心を守る最低限の最大の自衛だった。





元々、アルベールの事が好きではなかった。いや、得意ではなかった。

ソフィアもアルベールの噂が耳に入り、実際にアルベールを見た第一印象は噂通りの軽薄な男性。

それ以上でも以下でも無い。


それから、図書館で度々見かけた。

真面目に本を読んでいた。

何冊も何冊も。

いつ見かけても、派手な柄シャツは相変わらずだが、日によっては閉館まで静かに本を読んでいた。


自分の第一印象や噂とは違った姿を目の当たりにしたソフィアはそこから気にはなっていた。


そして、タイミングを見計らいソフィアから声を掛けた。

トンットンッ

「こんにちは。いつも、何を読んでるの?」


「えっ!?……これ…と、これ。」

アルベールは手に持っていた歴史と錬金術の本を見せた。



アルベールとソフィアの2人はいつしか、図書館で顔を会わせば、近くのカフェでお茶をするのが当たり前になっていた。


アルベールと接することで彼の人となりがなんとなくわかってきた。

普段の軽薄な言動は仮面。

本当の彼は優しくて実は繊細なんだと感じた。



そんな中、アルベール達【黄金の輝き】のロムを視聴し、アルベールが1人の冒険者として素晴らしい事に気づいた。

合同討伐ではロムを通して感じた物が本当かどうか、精査の意味も兼ねて近くで魔物の討伐に勤しんでいた。


(彼は、何者なんだ?前衛でありながら、付与術まで行っていた。)

多くの人は彼に見た目以外では見向きもしない。

だが、何人かは彼の冒険者としての真価に気付いていた。

彼女もその1人だった。

だが、この気持ちが自分の恋心に蓋をする事とは、この時の彼女は知る由もない。


実際、彼女は【太道の虎】第3部隊リーダーのレインを始めメンバーには何度もアルベールが影でどれだけ【黄金の輝き】に貢献し、彼がパーティーの心臓かと訴えてきた。


ソフィアは度々アルベールを第3部隊に勧誘しようとした。メンバーからは、「また始まったよ。」と呆れられレインやジャックからは付与術師、ディフェンダーなら自分が居るだろ!と言われた。


ただ、ソフィアは毎回、納得はしなかった。

いや、出来なかった。

アルベールが前衛を望なら自分が後衛を主に動けば良い。其だけの話。

ポジションの問題など、彼女の頭の中には1ミリも無かった。

特に、規則正しく皆の手本でもあるリーダーのレインとは性格的にもアルベールとは合わないと感じていた。

それでもアルベールは第3部隊には必要だ!

アルベールが心臓なんだ!

アルベールは凄いんだ!

彼女の最終的な主張は結局の所、アルベールを冒険者としてしか評価してこなかった。


そこに、女としての感情が抜け落ちていた。





先日の赤鎧との一戦もたまたま休日だったソフィアは最初から最後まで釘付けだった。


「……ア……ル。」

(神様。御願いします。どうか、どうか、アルを助けて)


何度も何度も祈りながら視聴していた彼女は客観的にアルベールに対する強烈な愛を持っている。

そう感じる人が多い中、当の本人は無意識に蓋をした。



「……うぅ……うぅ…」


「あぁぁぁぁぁ…」


「アル………」


「あぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁ!!!!!」





自分の恋心にもう少し早く気付いていれば…


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