3人で
「おはよう!シルフィー!」
「シルフィー!おはよう。」
アルベールとルシェラが2人でアルフレッド工房を訪れたのを見てシルフィードはニヤニヤしながら、
「今日はどうした?」と聞く、シルフィード。
「シルフィー!!」
「今度はシルフィーの番だよっ!!」
ルシェラが元気に言う。
みるみる顔が赤くなるシルフィード。
「お母さん、お久し振りです!!」
「あら、久しぶりね!ルシェラちゃん。」
ルシェラは気をつかい、シルフィードの父、母、兄家族、姉と共に遠くから見守る事にした。
「もっもう、わかってると思うけどウチはアル!アンタの事が好き!」
「これからアンタとずっと一緒に居たい。」
「ウチはルシェラみたいに、女子みたいな事は出来ないけど、ウチをお嫁さんにしてくださいっ!」
「シルフィー!」
ビクッ
シルフィードが肩を震わせた。
「俺も好きだよ。大好きだよ。」
「それに、俺からしたらシルフィーもルシェラみたいに、可愛いよ?」
「ただ、何と言うか…種類は違うかもだけど、シルフィーも充分すぎるくらい可愛いよ」
顔が真っ赤なシルフィード。
2人は優しく抱き合い、
チュッ
また重なった。
「続きは、夜だな!」
シルフィード
「だなっ!楽しみにしてるからな♪」
アルベール
「そういう事は言わなくていい!!」
ペシッ
軽くアルベールの肩にパンチをするシルフィード。
「えぇー。シルフィーから言ったんじゃん!!」
シルフィードが無事、アルベールとの話を終えた事をルシェラに伝えに行った時に母とルシェラが話をしており、そこに父アルシュが現れた。
「俺達はシルフィードが幸せならそれでいい。」
シルフィードの父にしてアルフレッド工房の現オーナー、アルシュ・アルフレッドが口を開いた。
「えぇ、そうね。」
「それに、今をときめくスーパースターの第2婦人だなんて、いいじゃない♪」
シルフィードの母も喜んだ。
「で、それでだが今日は俺達は外で食べて外に泊まるからここを好きに使いなさい。」
「ルシェラちゃんもよければ?」
「いいんですか?」
「勿論だ。」
アルシュ
「フフフフ」
母
「最後にアルベール!本当に良いんだな?」
「返品は出来ないぞ!
死ぬまで愛してあげてくれ!」
「ルシェラちゃんと一緒に。」
「はい。」
◇◇◇◇◇◇◇◇
その後、3人は買い物に行き夕食を囲んだ。
夕食はお鍋と餃子。
アルベールたってのリクエストだ。
3人で作って食べようと。
料理をほぼした事の無いシルフィードは少しだけ、怪訝な顔を覗かせた。
だが、その表情を見逃さなかったアルベールが
「強制じゃないから、本当に無理なら居てくれるだけで俺は嬉しいから。」と穏やかな口調で言いシルフィードの心に逃げ場を作った。
買い物中のアルベールの後ろ姿を見ながら
「なぁ、ルシェラ?」
「何?」
「アルって優しいよな?」
「フフフフ、今さら?(笑)」
「でも、わかるよ~。さっきのでしょ!?」
「うん。上手く説明出来ないけど、心が温かくなるな♪」
「ねー♪ 」
「なぁ、アルの昔ってどんなんだ?」
「今と変わらないよ。思いやりがあってさ、自分がこれだ!って思ったら誰に何を言われても貫き通す強さがあって。でも、その割りに繊細で傷つきやすい。」
「…」
「私ね、アル君を見てると思うんだー。たぶん、強い人って強さと同時に弱さも持ってるんじゃないかって!」
「そうだな。」
◇◇◇◇◇◇◇◇
買い物を終えた3人は今、餃子を作っていた。
「ムッムズい…やっぱウチには向いてないな…」
シルフィード。
「ルシェラさんみたいにならないよね!?」
アルベール。
「コツがあるんだよ。」
ルシェラ。
「こうで?こう?」
アルベール。
「あっ!具が多いんじゃない?」
ルシェラ
「ハハハ、欲張った(笑)」
アルベール。
「アル…ごめんね。ウチの汚いや……」
シルフィード。
「いやいや、俺のも見てよ!これハハハ(笑)ルシェラさんが上手すぎるだよ!?」
アルベール。
「そう?でも嬉しい♪」
ルシェラ。
「でもさ、シルフィー。みんなで作ると楽しくない?」
アルベール。
「うん。それは間違いない。」
シルフィード。
この日、工房で起きた攻防に声を高らかにして笑顔な人もいれば、終始微笑みかけた人に別れたがどちらもその心は、幸せだったのだろう。
「やっぱり!美味しいね♪」
みんなで作った鍋と餃子を食べながらアルベールが口を開く。
「「うん。」」
2人が同調する。
「でも、ウチの…」
自分が作った餃子を見ながら俯くシルフィード。
パクッ
シルフィードが見つめていた。餃子を横からアルベールが口に運ぶ。
モグモグ
「あっ!ごめ~ん!!」
「シルフィーも狙ってた?さっきの?」
モグモグ モグモグ
「美味しそうだったから俺、狙ってたんだよね~」
「あっずるーい!私も狙ってたのに!」
ルシェラが口を開く。
「じゃあこれ、貰いッ!」
パクッ
「あー、それ俺狙ってたのに…………」
「アル君だって私の獲物横取りしたじゃん!!」
シルフィードが作った餃子を2人がフォローするかの様に取り合っていた。
(みんな、ありがとう。)
シルフィードは口に出さず心の中だけで止めた。恥ずかしさは無い。でも、言ったらこの場の雰囲気が変わりそうだった。
だから、今は言わない。そう決めた。
楽しい楽しい夕食の時間はまだまだ続いていた。
「ねぇアル…また、一緒に冒険しない?」
少し遠慮がちなシルフィード。
「ん?あぁ別に構わないよ。
何?また素材集め?」
「あーいや、その…アルとの冒険が…楽しかったのっ!!だから、また一緒に冒険したいな~って」
「そっか。そっか。さっきも言ったけど俺は別に構わないよ。しかも、ソロだしシルフィーの予定と何の素材が欲しいかを決めてまた行こう!」
「うん。」
「…ねぇ、私も連れてって言ったら迷惑かな?」
重たそうな口を開くルシェラ。
「えっ!?全然っ全然っ、迷惑なんかじゃないよ!
ねぇ、シルフィー?」
「うん。ウチは嬉しいよっ!」
「ありがとう。自分でお願いしたけど2人と違って低層しかいけないけど……」
「なら、低層から3人で攻略しようよ。」
アルベールの提案に
「賛成っ!」
シルフィードも声を上げた。
「でも、あの、糞ジジイがギルマスとはいて、いきなりギルドは辞められないよね?」
「うん。引き継ぎとかあるし…」
「なら、ウチも実家が工房だからダンジョンに行く予定はルシェラに合わすのはどう?」
「俺はそれでいいよ。」
「ありがとう。ギルマスには明日、話をしてみるね。」
◇◇◇◇◇◇◇◇
夕食の片付けを終えた3人は風呂の準備をしていた。
「ねぇ、3人で入らない?」
「節約にもなるし、記念にさー」
口を開くルシェラ。
「…」
無言のシルフィード。
「俺は、良いけどシルフィーはどう?」
「う、うぅ…」
恥ずかしいそうに顔を赤くするシルフィード。
「もう、シルフィー!しっかりしなよっ!」
「私も付いてるから!」
背中を押すルシェラ。
「…うん。…」
そのまま、ルシェラに手を引っ張られ脱衣所に向かったシルフィードの顔は常時真っ赤っかだった。
「…アル……変化な?ウチ……女らしくないからさ…」
「綺麗だよ。シルフィー。」
そのままシルフィードを優しく抱き締め頭を撫でた。
「あっ!もうー。何2人で抜け駆けしてるのよっ!」
先に体を洗っていたルシェラが頬を膨らませて抗議した。
「ほら、ルシェラさんも。おいで」
「うん。」
3人で優しく抱き合い風呂を後にし、そのまま歯を磨き寝る準備をしていた。
「最初は2人の思い出だから私、リビングに居るから満足したら呼んでね♪」
ルシェラが上機嫌に口を開く。
「わかったよー。」
「…うん…」
「アル…ウチ、初めてだから…」
「俺も似たような者だよ。」
「優しくして…」
「うん。痛かったら、言って。」
ギュー
アルベールはシルフィードをキツく抱き締め、
「シルフィー、何処か痛む?」
「今は、平気…最初は痛かったけど……」
「今はね、なんか心がポカポカする」
「俺も。」
「アル…」
「シルフィー」
チュッ
「ずっと一緒に居てね?」
「うん。ウチは……いや、ウチ達はアルの側から離れないし、離さないから!!」
「そろそろ、ルシェラさんを呼ぼうか?」
「そうだね♪」
「ルシェ~ラさ~ん♪」
「アル君っ!!」
「何か着てよっ!もうっ!」
「じゃあ、3人でしよっか!?」
「「うん。」」
アルベールの問いに笑顔の2人。
3人は川の字になり、アルベールの右手の腕枕にルシェラ、左手の腕枕にシルフィードを抱えて3人は寒さを凌ぐ子供の様にギューと身を寄せあっていた。
「ねぇ、アル。住む家はどうする?」
「家か~」
「当分は私が住んでる家に3人で住もうよ!」
「ウチは良いけどルシェラはいいの?」
「私は大丈夫だよ。部屋はまぁ1人暮らし用だからそこまで広く無いけど…」
幼馴染のルシェラとシルフィード。
当然の様にルシェラの実家もここから近い。
ではなぜ、ルシェラは1人暮らしをしているのか?
それは、この時の為だ。
さらに、タイミング良く敷金15万礼金無しの物件が現れ両親には花嫁修業という大義名分を掲げ移り住んだ。
「だったら、家買わね?
少し大きな家を買って3人で住もうよ!」
「でも、家って高いよ。土地から買わないとだから…」
ルシェラが口を開く。
「ウチ、そんなにお金無いわ……」
「私も…」
「お金は俺が出すから大丈夫だよ!!」
「深層素材を売ったからむしろ、余ってるくらいだからルシェラさんには悪いけど良い物件を見付けて欲しいんだけど…」
「うん。探すのはいんだけど、ちなみに予算はいくら位?」
「う~ん。5億から8億の間位かな~。」
「ごっ5億!」
驚くシルフィード。
「すっ凄いね!!アル君……」
「まぁ冒険者だし、だからお金の事は心配しないで。後で返すとかも無し。そういうのは受付してませんから。(笑)」
「「うん…」」
2人は少し納得がいかない顔をしながら頷いた。
「明日、3人でギルドに行こうよ!」
「「うん♪♪」」
朝の出勤中にギルドマスター ウォーテルに偶然会った。
「お前ら、こんな早くに3人でどうした?」
「よっ!!糞ジジイ!」
「おはようございます。」
「おはよっす!」
「ルシェラさんを送り届けたついでに、家を買おうと思ってさ。」
「お前が家を!?そうか、そうか。」
「取り敢えず、中に入れまだ営業時間まで1時間近くあるから、俺の部屋でいいだろ?」
「俺は構わねぇよ。」
「ウチも。」
シルフィードと共にギルドマスター室に呼ばれたアルベールは事のなり行きを話した。
「フンッ。全部が丸く良い方向に行ったか…」
ニコッと笑って独り言の様に呟いたウォーテル。
「で、家だったな…」
「まぁ、営業時間になったらルシェラに紹介して貰え。そのまま、3人で内見行ってこいよ!」
「あー悪いな。」
冒険者ギルド。
冒険者のみが集まり一般人には無縁そうな場所ではあるが冒険者ギルドグループは居酒屋【至福亭】から冒険者雑貨を取り扱う大型モール【ジョイフル】など幅広く運営している。
その中に、都内全部では無いが不動産も取り扱っている。
「最初はここだね♪」
ルシェラが案内する。
「へー。でかいな!!」
シルフィードが驚く。
「いきなり、この感じかー」
「ここっていくら?」
「土地込みで5億3000万だって。」
「えっ!?そんな値段で買えるの?」
「そんな値段って…アル君…」
「アルの値段の感覚はぶっ壊れてるから…」
「取り敢えず、次を紹介して貰える?ルシェラさん。」
「うん。」
「次はここだね♪」
「また、凄いのが…」
少し引いてるアルベール。
「ルシェラ!ここの値段は?」
「5億5000万だねー。」
この繰り返しで5件ほど内見した3人。
5億3000万
5億5000万
5億6000万
5億8000万
5億2000万
「どうする?アル君。」
首を傾げながら聞いてくるルシェラ。
「俺は最初か3番目が良いかな。2人はどう?」
「う~ん。全部広いし良いよね…」
ルシェラ。
「なら、1番目と3番目で悩めばいんじゃない?」
シルフィード。
「広さは…同じくらいだったよね?」
アルベール。
「うん。同じくらい。」
「なら、1番目でどう?ギルドとアルフレッド工房とちょうど、中間地点だし…」
「うん。アル君がそういうならそうする!」
「ウチも!!」
家を決めた3人は途中で寄り道をしながら冒険者ギルドに帰って来た。
「おっ帰って来たか!!」
ギルドマスター ウォーテルが声を上げる。
「よっ!! これ差し入れ。」
袋の中にはアルベールがさっき立ち寄ったカフェで買ったコーヒーやフラッペとスコーンその他パンなどが入っていた。
「おう、悪いな!」
「で!?決まったか?」
「あぁ、ここにするよ。」
「ここか、良いじゃねぇか!!まぁこの予算なら全部が家と言うか豪邸だしな。」
「で、悪いんだけど裏で話せるか?」
アルベールが口を開く。
「あぁ、いいぜ。」
「ルシェラさんも同席して良いか?」
「問題ない。」
その後、4人はギルドマスター室に入り3人と1人の構図で椅子に腰掛けた。
「で、何か他に用があるんだろ?」
ウォーテル。
「あぁ、ルシェラさんも冒険者として活動する事になったから、ここ辞めていいか?」
「いきなりだな!ったく……」
「ルシェラ有給使ってなかったよな?」
「はい。」
「なら、有給を消化して月を跨ぐだろ?」
「で、そこからバイトとしてナナミに引き継ぎをしてくれないか?」
「はい。」
「アルベールも鍛治士の嬢ちゃんもそれでいいか?」
「あぁ、俺はいいよ。」
「ウチも。」
「じゃあ、家の契約をまとめていいか?」
ウォーテル。
「あぁ」
「これで、終わりか?」
アルベール。
「あぁ今日から住んで良いぞ!
ルシェラ、鍵を持ってきてくれ。」
「はい。」
時間は14:30
「じゃあ、ルシェラさん迎えに来るから!」
「ウチも♪」
「うん。」




