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追放された男、最狂にて  作者: 新仁友成
第一部 第1章 勧誘
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素材を売りにギルドへ

(あ~あ、追放だってよ……取り敢えずは宿暮らしだから持ち金を作るか)


アルベールが冒険者ギルドに入ると

受付嬢の長い金髪を縛って仕事をしていたルシェラが話し掛けてきた。

「あら、アル君!久しぶりじゃない。最近は特に顔見せなくなったもんね~」


【黄金の輝き】も貴族からの資金援助はされており深層素材は自分達→スポンサー→ギルドで売却の順で捌いていた。基本的にスポンサーにはノルンとティラが対応し、ギルドにはネルとキャロルが対応していた。


「ルシェラさん…久しぶり。今日は素材を売りに来たんだけど…」


(アル君、何か元気ないわね。いつもの「ルッシェラさ~ん!今日もセクシーだね~!」ってテンションじゃない。)


「えぇ、大丈夫よ。素材は結構あるの?」


「どうだろ?まぁまぁかな?」


「おいっ!アルッ!」


大柄な金髪短髪のギルドマスター

ウォーテル・ラシュフォードが声を掛けてきた。


「やぁギルドマスター、久しぶりだな。」


何もない普通の返答。

だが、ウォーテルは瞬時にアルベールの異変に気付く。


ギルドマスター ウォーテルとアルベール、ノルンは衆知の仲。

7歳の時に王都に流れ着いた孤児アルベール、ノルンの2人に冒険者としての許可証が発行される10歳まで自信の伝手を使い生活の面倒をみていた。

数年前に廃業した【レイズ工房】では鍛冶士見習い、冒険者ギルド内のグループ店舗【ジョイフル】では魔導具師見習いとして生活の基盤を築き上げた。

身寄りの無い2人からすればウォーテルは親同然。


ウォーテルから「ギルド内ではギルドマスターと呼べっ!!」とアルベールは何度も注意を受けたが

恥ずかしさからか、「うるせぇ!糞ジジイ!」と言い返した。


皮肉にもアルベールの不運で始めて「ギルドマスター」と言われた。

本来嬉しいはずなのに、ウォーテルの心情は

(何かとんでもないことが起きてるんじゃないか…)

と、心配しか無かった。



「取り敢えず奥に来い。」


「あぁ…」


「ギルマス!私、お茶準備しますね!」


「頼むっ!!」


◇◇◇◇◇◇◇◇


奥の部屋に入りアルベールに対面する形でウォーテルが座る。ルシェラもお茶を出し終えてアルベールから見てウォーテルの右側に立っている。


「ノルンなら命に別状はねぇんだろ?」


「らしいな。アイツは強いから、そんな簡単に死なねぇだろ…」


(この話題じゃねぇーな…? 何だろう?

もっと違う何かがコイツに起きたんだろう?)


「あぁ…そうだ……その」


「どうした?」


「俺さ黄金の輝きを追放された…」


「「えっ!!」」


ウォーテル、ルシェラの2人は驚きすぎて固まる


「だから、今日素材を売りに来たんだ…これからは次の家を見つけるまで宿暮らし…だからさ…」


(そういう事か……前にノルンが心配していた事が最悪な形で露呈したか……あの女ども…)


「……そうか……」


(慰めるか?あえて強い言葉を吐くか?

出て来ない。口が動かない。)


「じゃあ、素材を置きに行くわ…」


2人はアルベールの逞しくも何処か寂しげな背中を見送るしか出来なかった。

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