龍の滝登り
クロムとの3日間に渡るダンジョン攻略経たアルベールは【青空の龍】の本部に呼ばれていた。
「今日は来てくれてありがとう。」
総帥アンソニーが頭を下げる。
「来た。と言うより連行された。が近いけどね~」
ギロッとアンソニーに左手に立つデュークを睨むアルベール。
「まぁまぁまぁ、そんなデュークを責めないでやって来れ。私の指示なんだ。」
「君は、クロムとダンジョン攻略をしたよね?」
「あぁ……」
「本当に申し訳ない。これで納めてくれないか。」再度頭を下げ、分厚い封筒を出させる。
「クロムには私の方からもキツく言っておいた。」
「そこまで気にする事は無いですよ?
それと、今回は受け取りません。」
「切っ掛けはクロムかもしれませんが、彼女の話を聞いて彼女を同行を許可したのは自分なので。」
「それに素材は全部、俺が貰ったわけですし……」
「ありがとう。君の寛大な心に感謝する。」
また、頭を下げるアンソニー。
「それでなんだが、それとは別で君の強さを見込んで依頼をしたいんだ。」
(強さ?……何言ってんだ?このオッサンは。)
「あの、先日もお話したと思うんですけど俺は勇者パーティーを追放された身。」
「強くないですよ?何を期待されてるかわかりませんが?」
「ガハハハハハ。」
「いやー、すまない。種明かしをしよう。
実はね、クロムとの共闘は彼女が私達のロム使用して配信していたんだよ。」
(はっ!! 何やってんの!? あの娘は!!)
「クロムからの話で私達も知ったんだがね、
それで、どうだろう?」
「君の強さを見込んでここに居るデューク率いる第1部隊を90Fまで攻略させて貰えないか?」
「勿論、依頼だから金はだすよ!?
金額は税抜き、86~89の4階層は1階層につき1億5000万。90階は3億でどうだろう?」
「素材は全部、君が持って帰っていいから。」
「恥ずかしい話、アルバスさんが居なくなってから90F以上どころか俺達は85F止まりなんだ。」
デュークが口を開く。
「みんな、アルバスさんと比べちゃって少し自信を失くしてるんだ…………」
「特にクロムはあれでも重圧に苦しんでたんだ。最近はなんか楽しそうだけどな!!」
「私達としては、君という安全装置の様な冒険者に同行して貰う事でデューク達が経験を積める。
有難い話だ。」
アンソニー
「俺は少しでもみんなに自信を取り戻して欲しいだ。頼む。」
手を合わせながら頭を下げるデューク。
(まぁ破格かどうかは知らないが、良い条件だな。)
「よし、その話乗った。」
「ありがとう。」
「俺からも感謝するよ。ありがとうアルベール。」
第1部隊率いるデュークが右手を差し出してきた。
契約書を書き終え、
「なんなら、今から行くか?今日と明日の2日間。」
「大丈夫か?体は。」
驚きながら心配するアンソニー
「そうだよ!3日間、潜りっぱなしだったんだろ?」
身ぶり手振りするデューク
「問題ない。」
そこから顔合わせを終えた。
ジーク・キャラガー 男
格闘家 ディフェンダー
ドレイク・レイク 男
魔術師 後衛アタッカー
モミジ・カエデ 女
回復師
デューク・スターリング 男
付与術師 リーダー
クロム・レストレンジ 女
アルベール教 熱心な信者
少し変わってる女子
【牛飲馬食】
食べれば食べるほど牛や馬のような筋力を得られる。
アビリティのせいで、筋肉質。華奢だが服の下はゴリゴリの細マッチョでヤンデレ気味な娘。
「じゃあ確認だが、これから86,87,88階層を攻略するんだな?」
真剣なデューク
「あぁ…で、明日89,90を攻略する。」
86Fフロアボス 緑牛
「魔力強化!」
「ドレイク特級魔法だ!」
「身体強化!」
デュークが指示を出し、付与術師として抜群の存在感を放っていた。
(こいつ、道中での俺達に対する気配りと良い魔物に対しての対応力、何より戦況が読める。)
(まぁ地味だけど…………プププ)
(付与術師なんて目立つ役職じゃないから仕方ないんだけどね~)
アルベールは思っていた。
1日目も2日目を予定通り進んだ。
90Fフロアボス 白狐
第1部隊の面々が腕を擦りながら嘆く
「うぅ~寒ぃ~」
「確かに寒いな……」
「あぁ寒いな」
「最初から全力で行く!!!!!」
「喜び悦べ!!!!!」
「零式・閻魔骸狂八咫烏」
(えんまがいきょうやたがらす)
「身体制限」
「魔力制限」
「氷属性制限」
デュークは再度、驚いていた。
付与と違い、タイミングが合わなければ発動しないデバフ(能力低下、能力制限)を同じ感覚で白狐に掛けている事に。
自分は出来るか………………
否。
不可能。
(90Fのフロアボスにその感じでデバフかよ……)
(こいつはマジで化け物だ……)
アルバス・サンダースと対面した時ですら、こんな気持ちになった事は無かった。
この場でデュークはアルベールを目指すべき人物に
として心に刻んだ。
白狐を無事倒した翌日、【青空の龍】本部に呼ばれていた。
アルベールはギルドマスターのアンソニーと再び対面していた。
「本当にありがとう。」
「本来、経験は金では買えないからね。」
「いえいえ、こちらこそ良い商売になりました。」
「また、よろしく頼むよ」
「えぇ、また」
アルベールが本部兼屋敷の門を潜り抜けようとした時、後ろから
「おーーい!!」
デュークが走って向かってきた。
「アルベール、ありがとうな。」
「いや~こっちは仕事だから。でも、冒険は楽しかったよ。」
「思っていた以上に全員動けていたし、90F自力討伐も夢じゃないだろ?」
「あぁ、絶対に攻略する。それに俺は1つ新たな目標が出来たからな。」
「そうか…………」
「なぁアルベール、俺はお前に!!!」
(んん……?)
アルベール
「俺は……お前に絶対に追い付く。」
「お前からすれば俺は頼りない底辺冒険者かもしれない。」
「だから、……必ず……追い付く。」
「底辺から登って頂を……頂の景色を見る。」
「その時は!!また、一緒に冒険しようぜ!」
デュークの言葉は覇気が宿っており確かな覚悟が感じられた。
だが、その言葉はアルベールとの冒険で自分が下。
という事を無意識にでも、自覚してしまったから出た言葉だ。
この依頼をアルベールに打診した時のリーダーとしてパーティーメンバーの精神的な部分も考えた頼もしいデュークはここには居ない。
1人の冒険者として、
付与術師として、
格上を間近で感じてしまったがゆえ、自分の事で手がいっぱい状態になっていた。
「フン……あぁ 待ってる。」
「じゃあな……」
アルベールは短く返事を屋敷を出た。
(でもよ………アンタが自信を亡くしてどうすんだよ…………)
アルベールはデュークの精神的な部分を見透かしたが敢えて何も言わずその場を後にした。
その日、【青空の龍】のスポンサー達は臨時メンバーが主に活躍したとは言え、90Fを攻略し世間的にも【青空の龍】の名前が浮上した事を心から喜んだが、それはそれは大きな、とても大切で大事な物を犠牲にした上で成り立っている事を知る由もない。




