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追放された男、最狂にて  作者: 新仁友成
第一部 第2章 滝登り
16/44

side ノルン 泣き顔

目を覚まして治療院を退院した。


目を覚まして直ぐティラ、ネル、キャロル3人の顔を見た。

記憶が曖昧だったから聞いた。

94Fは失敗したと……


でも、誰も怪我はしていないと聞いて安心した。

深層の失敗は死だ。

五体満足で帰ってこれただけでも喜ばないと♪



午後に何の異常もないからと退院の許可がでたから屋敷に帰る事を女性陣に伝えたら喜んでくれた。


でも、そこにアルは居なかった。


(もしかして、怒ってるかな……?いや、怒ってるに違いない。アルだけは94F攻略に反対だったし…………帰ったら謝ろう。)




【黄金の輝き】本部兼屋敷に帰って来た。


(何か妙だ……)


(さっきからアルの気配を感じない……)


急いでアルの部屋を訪れたら空だった。

(ちり)1つ無い。


視界に映ったネルに問いただした。

「ネル!アルは!?アルは何処!?」


「アルなら抜けたわよ!!」



「えっ!…………」


「…………」


「何で……??」



「どうしたの?2人とも。ネル、今日はこの後、顔合わせがあるって言ったでしょう?」


「あぁ、今日だったっけ?」


「顔合わせ…………」

「君達は何を言ってるんだ?」


「アルの代わりの新しいディフェンダーよ!

これで、連携を高めて次こそは94F攻略よ!」

能天気な自称、天才系女子ネルが大口を叩く。


「えぇ、そうね。」

眼鏡をクイッとキャロルが軽口を叩く。




「……追放……したのか?」

「アルを…………アルの事を……」

今まで見た事も無い、感じた事も無いノルンの圧にビビる2人。


「……」




「アルベールの事を追放したのかと聞いてるんだよ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」




「……う、ん……」

ネル


キャロルはビビり過ぎてコクンと頷くしか出来ない。



「ティラ!!!ティラ!!!!!」


屋敷内を大声で探すノルン。

ノルンの後ろを歩くネル、キャロル



「どうしたの?ノルン。」

ティラが不思議そうに反応した。





「ア、アルが居ないんだ……」

フゥー フゥー 怒りを抑えながら

「屋敷の何処を探してもアルベールが居ないんだ。」




「…………。」




フゥー フゥー 怒りを抑える。

「詳しく聞かせて貰えないか?」




丸いテーブルを4人で座り顔合わせの時間まで、

何があったかを詳しく聞いた。

彼女達の気持ちを考えれば理解は出来なくもない。

が、したくもない。

同意なんてまったく出来ない。



フゥーフゥーフゥーフゥー

「先ずはネル!キャロル!」


「僕はあれほど言ってきたはずだ!!」


「アルは上級魔法以上を使えないんじゃ無い。身に付けた呪具で使えないだけだと。」


フゥーフゥーフゥーフゥー

「ネルが加入する前後は空前の魔術師ブームが来て魔術師を探すのに困らなかった。でも逆にAランク以上の剣士を探すのに困っていたんだ。これは僕達だけじゃない。」


「だから、僕も、アルも前衛として後衛を探してたんだよ。探すのに困らなかったからね?」


フゥーフゥー

「ここまでは……いいかい……?」



コクン

コクン

コクン



「そもそも僕達の魔法の威力だかじゃ90F以上なんて攻略出来ない。」


「これも、再三に渡り言ってきたよね?

このパーティーの心臓且つ頭はアルだって……」


「アルが開発したオリジナル付与魔法の中に一瞬だけ100倍に近い火力を上げる魔法があるんだよ!」


フゥーフゥーフゥーフゥー

「これも言ってきたがキャロルは全力で否定したよね?そんなの常識では考えられないって。」


「でも、アルは出来るんだよ…………」


「それに、アルの名誉の為に言うがアルが探索後にスポンサーやギルド対応しないのは我が儘なんかじゃない。」


「深層攻略出来るように呪具や魔導具を作ってたんだぞ!!!!!!!」

押さえきれない怒りが口調を強くする。


「……」

「……」

「……」


「ティラ…………」


「君は知ってたはずだよね…………」


「全部……」






ティラ・スタンスミスは知っていた。

何度も言うが彼女は知っていた。

いや、正確には見えていた。


魔法を放った後に、空気中に飛び散る魔力因子を肉眼で拝める事が出来る彼女は聖霊も直視出来る。


聖霊は魔力因子から生まれたり、それを食べたりする。


だから彼女は聖霊から力を貸して貰える。

彼女のアビリティ【聖霊共有】がそれを可能にする。でも、それは本来見たくない物も見えてしまう。


そう、呪具を身に付けたアルベールの周りに居る、沢山の死霊を。


だが、彼女が決定的にアルベールを許せなくなったのは想い人、ノルンが事有ることにアルベールを称賛していたからだ。


(私も見て。私も見て。私も見て。私も見て。)


抑えられない嫉妬という感情。


ノルンは純粋にアルベールを称えたが、ネルやキャロル達に対して一種の牽制でもあった。

こうなる予兆?みたい物を常に感じながら活動していたからだ……。



だが、ネルはまだしもティラはパーティーに不可欠。彼女の性格や人間性を一旦外して魔術師として考えると超一流なのだ。

聖霊からの援護、つまり聖霊の加護に選らばらた後衛アタッカー。


元々、弧児で金稼ぎとして冒険者を始めたアルベールとノルン。

パーティーを

クランを

大きくし大金を得るには彼女が必要不可欠だった。





二者択一。

ノルンに落ち度は無い。

彼も鈍感ではない。

彼女3人が自分に想いを寄せている事くらい知っていた。

でも、誰とも男女の関係には至ってない。

アルベールの事を性的な目ではみていない。

純粋に女性が好き。だから彼女達の好意は嬉しかった。

でも、自分と彼女達が関係を結べばアルベールのパーティー内の立場は瞬く間に悪くなる。



だから、彼は友と女。

どちらを愛すか?

その選択で友を選んだはず…………


だったが、


本質的な部分では選びきれなかったのだろう。

その膿が破裂しただけ。






ノルンだけ顔合わせを体調不良で欠席した。

顔合わせの場所は本来、屋敷で行う予定だったが変更して貰い近くのカフェで行っていた。




1人きりの本部兼屋敷。




「あぁぁぁぁぁぁーーー」



「うぅ……うゎゎゎゎあぁぁぁぁ」



「アル………………」


「……ごめんよ………………」


「……守って……上がられなくて。」


「あぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁ」



「うぅ…………」



「うぅ……うゎゎゎゎあぁぁぁぁ」



「あぁぁぁぁぁぁ」




金髪の端正な顔立ちの青年は顔をクチャクチャにして人目を憚らず目、鼻、口から沢山の水を流して、感情を露にした。




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