2.何でこの方向から?
(折角だから、あの本の続きでも読みましょうか)
ベンチに腰掛け、バッグから文庫本を取り出す香夜さん。
(紙の本だと「お、すごい!」な感じで見られてる気がするのに…)
栞が挟まれたページを開きながら思います。
(スマホで電子書籍だと「はいはい、猫も杓子もスマホ。でゲーム?」な視線を受けてる気がするのは、被害妄想でしょうか……)
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「やっとみつけたぁ」
ベンチに座って文庫本に入り込んでいた香夜さん。
声を掛けた、自分達の同じ制服で眼鏡な人物に顔を上げます。
(亜夜姉様?! でも、何でこの方向から?)
素早く、通路上の案内を確認。
トイレの位置はやはり逆方向です。
(…もしかして、亜夜姉様じゃない??)
香夜さんは、思わず腰を浮かしました。
(うそ?! 亜夜姉様のそっくりさん!?)
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「タぁがはぐれたの、気がついてたよね?」
香夜さんに、亜夜さんに瓜二つな顔が近づきます。
「こんなところで本を読んでる暇があったら、ちゃんと探しに来てよ!」
「…」
「て言うか、いつの間にか読書する人になったの??」
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「あの── どちら様でしょうか?」
<こちらの言葉を待つモード>に変わった相手に、香夜さんは訪ねました。
その言葉で、亜夜さんのそっくりさんの顔が涙目寸前の表情に変わります。
「酷い。なんで今日は、そんなに意地悪をする訳!?」




