3.よにんで
「えーとぉ…」
背後からの声に、亜夜さんは振り返りました。
「おお。佐世ちゃんだぁ☆」
「─ こんなところで3人で揃って、一体 何があったんですか?」
「アーさんたちがここでワチャワチャしてるのは、ほんの偶然☆☆」
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「…」
亜夜さんの左右に立つ人物の服を確認した紗世さん。
その顔に、複雑な表情が浮かびます。
「……那世さん?」
「何、佐世っち??」
「………それと、香夜さん???」
「はい。姉様」
「…………どうしてふたりの服が、亜夜さんと同じなんですか」
紗世さんの言葉に、那世さんが頬を膨らませます。
「失礼しちゃうなぁ。亜夜っちの服が僕の真似って言うのが、正解だからね」
いつの間にか紗世さんに近づいていた香夜さんは、自分の右腕を紗世さんの左腕に絡めました。
「わたくしの服が同じなのは、敢えてお揃いを買ったからです。姉様☆」
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「…ねえ」
那世さんは、目前で腕を絡めるふたりの服を見比べました。
「……なんか、佐世っちも僕達と同じ服を着てない?」
前方のふたりと隣の人物の姿を、香夜さんが見比べます。
「嬉しい。佐世姉様も、わたくしたちとお揃いなんですね☆」
不思議そうな顔で、亜夜さんは小首を傾げました。
「何で佐世ちゃんも、同じ服着てるの?」
「それは── つい先、このショッピングセンターのお店で買ったからです」
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「ぬ゛」
紗世さんの正面に移動する那世さん。
腕を絡めていた香夜さんが離れるや否や、右手の人差し指で相手の左肩を突付き始めました。
「僕には以前、自分には似合わないから着ない服だって言ってたよね?」
唇を噛んだ佐世さんが、目前の人物の肩を突付き返します。
「那世さんが着てる姿を見た時は、確かにそう思ったんです!」
「む゛」
「でも、亜夜さんが着てる姿を見たら、『もしかしたら何か自分にも似合うかも』に変わったです。これって、仕方ない事ですよね!?!」
「亜夜っちと佐世っちと僕は、全く同じ容姿なんだけど?」
「三つ子の姉妹の姉で、当事者だから知ってますが??」
「じゃあ、なんで同じ服を着てる姿を見た感想が 僕と亜夜っちで違う訳???」
「そんな事、私にも判りません!」
無言になるふたり。
それでも、お互いの肩の突付きあいは続きました。
不毛な争いを止めるべく、亜夜さんがふたりに割って入ります。
「愚問だよ、那世ちゃん」
「?」
「全ては、<アーさん力>のせーいーー」
「…は?!」
「凄くない? 香夜ちゃんと佐世ちゃんのふたりに、同じ服を買わせるこの力♪」
「……」




