2.さんにんで
「あ♪」
午後のショッピングセンター。
通路を歩いていた那世さんは、前方に見かけた見知ったふたつの背中声を掛けました。
「お・ふ・た・り・さん☆」
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「お♪」
立ち止まった亜夜さんが、小走りで近づいてくる人物に振り返ります。
「那世ちゃんだ」
同じ様に体の向きを変えた香夜さん。
ふたりが振り返るの際に解けた腕を、再度組み直します。
「こんにちは。那世姉様☆」
「もしかしてぇ」
那世さんは右手の人差し指は、目前で組み直されたふたりの腕に向けられました。
「…デート中を邪魔しちゃった?」
自分の頭を亜夜さんの左肩に付けながら。香夜さんは唇を緩めました。
「そんな事、ありませんよ??」
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「その…服って……」
ふと、違和感が頭に走った那世さん。
その正体を確認すべく、数歩後ずさります。
「なんか、僕のとお揃いじゃない?」
目があった亜夜さんは、ウインクを返しました。
「だね☆」
「…何で? それ、いつも貸してる服だよね?? 今、僕が着てるじゃん??? 」
「そりゃ、自分用のを買ったもん。だって、あまりに周平ちゃんの評判が良いし☆☆」
「……その上、香夜っちも同じ服着てるし」
自分を見た那世さんに、香夜さんも真似のウインクをしてみせます。
「はい。わたくしも買っちゃいました♪」
「………亜夜っちが、良く着てるから?」
「ですね♪♪」
「本当の理由は── 入れ替わって周平ちゃんを騙すためだったりして」
「さあ、どうでしょう♪♪♪」
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「か、よ、ちゃ、ん?」
亜夜さんは、隣の双子の妹の左頬を右手の人差し指で突付きました。
「さっきは、『冗談ですよ』っていったよね!?」
組んでいた腕を解き、体の向きを変える香夜さん。
真似をして、双子の姉の左頬に右手の人差し指を当てます。
「でも、偶然で出会っちゃったら それは不幸な事故ですよ?」
「…は?!」
「仮に<そんな偶然>があった場合、わたくしと亜夜姉様の見分けが付くかどうか確かめる権利ぐらい、双子の妹には ありますよね??」
「……香夜ちゃん」
「因みにわたくし、合言葉の件も存じてます♪」
「…むぅ」
「安心して下さい亜夜姉様、これも<ほんの冗談>ですから♪♪」
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「…香夜っち」
那世さんさんは、香夜さんの腕を引きました。
口を近づけて、その耳に囁きます。
「……やきもち?」
「そうですけど、何か??」
「………認めちゃうんだぁ」
「亜夜姉様の妹には認められる、当然の権利です☆」
「…………」
「うふ☆☆」




