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双子と三つ子の五つ子な日々♪  作者: 紀之介
8.にあわナイ

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9.宜しい♡


「えーと」


 学校の正門前。


 前を歩く人物の背中を、亜夜さんは右手の人差し指で突付きました。


「那世ちゃん?」


「??」


 立ち止まった振り返った那世さんに、亜夜さんの顔が最接近します。


「お願いがあるんだけど」


----------

 

「お゛」


 亜夜さんの勢いに押された那世さんは、半歩ほど後退しました。


「─ お願いって、何?」


「この前、アーさんが着せられた服を貸して欲しいの」


「借りて、どうするの!?」


「着る。服って、そう言うものじゃん?」


「でもぉ…『着たくない!』って言ってたよね??」


----------


「那世ちゃんと…」


 上がった亜夜さんの右手が、校門方向をさし示します。


「ショッピングセンターで、会ったんだよね?」


 頷く那世さん。


 先に動いた亜夜さんに続いて、自分も歩き始めました。


「もしかして、周平ちゃんの件?」


「…年上の大学生を、<ちゃん付け>で呼ぶのはどうだろう??」


「でも亜夜っちが、そう呼んでるし♪」


「<周平ちゃん>を、『周平ちゃん』と呼ぶのは、アーさんの特権なの!」


「─ はいはい」


----------


「その時にぃ」


 横に並んだ那世さんに、亜夜さんが顔を近づけます。


「…あの服、着てたんだよね?」


「<亜夜っちの周平ちゃん>に会った時? うん、着てた」


「……昨日、その<アーさんの周平ちゃん>から電話があった」


「なんて?」


「………物凄く、可愛かったってさ」


「まあ、<亜夜っちの周平ちゃん>ってさぁ」


 那世さんは、ニマニマしながら立ち止まりました。


「見る目はあるかもだよね。あの場でも、僕にそう言ってくれたし☆」


----------


「─ とりあえず」


 亜夜さんは、右手を伸ばしました。


「校内に入らない?」


 差し出された指に、那世さんが左手の指を絡ませます。


「じゃあ亜夜っち、着てって言われたんだ?」


 結果的に那世さんを引っ張る形で歩き出した亜夜さんは、微妙に顔を顰めました。


「それは、言われなかった」


「僕が『亜夜っちは着るの嫌がってる』って、教えたからかもだね」


 校門をくぐって数歩の場所で、亜夜さんは立ち止まりました。


「それはそれで、なんか悔しい」


「?」


「周平ちゃんの押しが強ければ── 『仕方ないなぁ』で、服を着る理由になるじゃん」


「…着たくない服なんだよね?」


「でも、那世ちゃんは言われたんでしょ? 周平ちゃんから『可愛い』って。」


「自分も言って欲しい訳だ。さすが恋する乙女だねぇ」


----------


「それで、貸してなんだ」


 校舎の時計を確認した那世さん。


 心持ち早足で、玄関に向かって歩き始めます。


「どっしよっかな」


 後に続いて動き出した亜夜さんは、軽く唇を噛みました。


「じゃあ…同じ服をネットで探すかぁ……」


「うそうそ、貸すって」


 振り返った那世さんが、亜夜さんにハグします。


「ここで貸さない程、僕は極悪人じゃないからね☆」


----------


<後日談>


「どう、周平ちゃん☆」


「亜夜ねーちゃん。か・わ・い・い♪」


「宜しい♡」



--- End of the Episode ---

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