8.ショッピングセンターで?!
(亜夜ねーちゃん?)
ショッピングセンターの3階のフロア。
佐志周世くんは、少し先にいる女の子に目を止めました。
(… こっちの方に来る用事があるなら、教えてくれれば良いのにぃ)
下りのエスカレータの降り口。
彼女の足は、そこに向かっている様に見えます。
(そう言えば亜夜ねーちゃん、五つ子さん なんだっけ? じゃあ── あの子が、ねーちゃんじゃない可能性もあるのかぁ)
自分も下りのエスカレータの乗るために、周世くんは早足になりました、
(─ 確認してみよ)
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「仏説、摩訶般若波羅蜜多心経」
(ショッピングセンターで、お経?)
「行深、般若波羅蜜多時」
(え?! 何か真後から聞こえない!?)
「観自在菩薩」
(ど…どうしてぇ……怖いぃ………)
「えーとぉ。君って、もしかして亜夜ねーちゃんじゃない、五つ子な人かな?」
「─ ほぇ?!」
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「君が、寒奈那世さんかぁ」
ショッピングセンターの2階のフロア。
周世くんは、ベンチのコーナーを指さしました。
「驚かせて申し訳ない」
頷く那世さん。
ベンチに向かって歩き出します。
「さっきの、お経ですよね?」
「合言葉なんだ」
途中で腰を下ろす動作を止めた那世さんは、周世くんを見上げました。
「…はい?!」
「亜夜ねーちゃんから、見分けに自信がない時には 唱えろって言われてる」
「……」
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「で、どうですか?」
那世さんが、ベンチの右隣に座る顔に視線を送ります。
「あなたが、本当は一目惚れしただろう女の子に会った感想は?
「─ え?!」
「可哀相な僕は…当人が預かり知らないところ何かフラれてるし……」
立ち上がった周平くんは、那世さんに向かって頭を下げました。
「ごめん。申し訳ない」
「嘘ですって。もう気にはしてないから、安心して下さい♪」
「、、、」
「ただ、これからもチクチク蒸し返すかも ですが☆」
「まあ── それは甘受するよ」
那世さんは、右の手の平で空いたベンチを叩きました。
「い、意地悪し過ぎました。座って下さい! ごめんなさいです!!」
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「「・・・」」
3人ほど天使が通り過ぎる沈黙。
周平くんは、それを破る様にベンチに腰を降ろします。
「…話を変えても良い?」
「ど、どうぞ??」
「その服、可愛いね」
「ありがとうです☆」
「─ 亜夜ねーちゃんにも、着て欲しいかも」
「自分には似合わないって言ってたから…無理かなぁ」
「え?! そうなの!?」




