7.写真!
「うーん」
ベットに座っている那世さんは、右手をあげました。
立てた人差し指で、空中に円を描く動作をしてみます。
「その場でクルッと回ってみて?」
指示に従った動きをする亜夜さんの顔が、微妙に歪みました。
(那世ちゃんは─ 何度アーさんを回らせたら── 気が済む訳?)
「うーん」
またまた、腕組みをする那世さん。
唸る姿を見下ろしながら、亜夜さんは思います。
(…実は、沙世ちゃんと汰世ちゃんが嫌がるのって この<しつこさ>が原因?)
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「こうやって、じっくり眺めるとぉ」
何度も「その場でクルッと回ってみて?」を繰り返した後。
那世さんは、満足そうに口を緩めました。
「僕の選択は、間違ってない気がする。この服、可愛いじゃん☆」
体力を使わされた亜夜さんの口から、荒くなる寸前の息が漏れます。
「あ、 那世ちゃんには…に、似合うと思う……」
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「じゃあ亜夜っち…」
いつの間にか那世さんは、スマホを手にしていました。
「はい。可愛いお顔して☆」
亜夜さんが顔をしかめます。
「那世ちゃん。何をするつもり?」
「着られた状態のおべべを、写真に撮る♪」
「アーさん、自分が不本意な服を着てる姿を写真に残して欲しくないんだけど?」
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「アーさんが帰ってから、自分で着て──」
亜夜さんは、指を姿見に向けました。
「それに写った、那世ちゃんの姿を撮影すればいいじゃん」
「姿見自撮り写真だと、どうやってもスマホが映り込むしぃ」
ベットから、那世さんが立ち上がります。
「せっかく撮るなら、キチンとした写真が良き♪」
「じゃ、じゃあ…アーさんが撮影してあげよう」
「─ そのために、今から着替えるの面倒だよね?」
自分の顔の前で、両手を合わせる那世さん。
<お願い>のジェスチャーのまま、半歩踏み出します。
「ね、亜夜っち? おーねーがーいー」
「でも、写真に残るのは、アーさんじゃん」
「だ・い・じょ・う・ぶ。だって僕達は、見た目は同一人物だし☆」
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「はい。亜夜っち」
スマホを構えた那世さんは、7回目のポーズ要求をしました。
「可愛いお顔して☆」
─ カシャ ─
最後のシャッター音を発したスマホが、ベットに座る那世さんの右脇に置かれます。
それを確認した亜夜さんは、体から力を抜きました。
「那世ちゃん?」
「何??」
「この服を着て、外出するつもり???」
「当然。だって、こんなに可愛い服だし」
「アーさん的には…自分がこう言う感じの服を着たと……世間に思われたくないんだけど………」
「でも、着て歩くのは僕だから♪」
自分の座っている場所の左隣を、那世さんが手で叩きます。
気付いた亜夜さんは、ベットに腰を下ろしました。
「見分けられな人には、着てるのが アーさんか那世ちゃんか判らないよね?」
「大丈夫。大概の人は『お。<五つ子の誰か>が、可愛い服着てる!」って思うだけだって」
「、、、」




