5.お・ね・が・い☆
「この服、高かったんだよ?」
那世さんは半歩踏み出しました。
右手を伸ばして、亜夜さんの右の手首を掴みます。
「それを、<タンスの肥やし>にするのは嫌なの!」
亜夜さんは、手首を掴まれた右腕を上げました。
人差し指を伸ばして、自分の顔に向けます。
「で、この服をアーさんが着ると どうなる訳!?」
自分の指を、亜夜さんの手首から離す那世さん。
さらに半歩踏み出して、自分の体を亜夜さんに近づけます。
「僕達の容姿って…何故か、コピー人間並みにそっくりじゃん?」
「うん、知ってる。当事者だから」
「つまり…それって、亜夜っちがその服を着た姿は、僕が着た姿とほぼ同じって事に、なるよね??」
「まあ── そうなるかな」
「鏡だとじっくり見られない後ろ姿も確認できるし、なんなら その服で動く姿も見られるちゃう☆」
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「つまり那世ちゃんは──」
豪快に、自分のパーソナルスペースを侵害された形の亜夜さん。
少しでも空間を再確保しようと、軽く体を引きました。
「今からアーさんに、立体な鏡像をさせる訳?」
「まあ動いて貰うし、ファッションショーもどきかもだね」
自分の顎を、向かい合う亜夜さんの右肩に乗せる亜夜さん。
頬を密着させながら、左耳に口を近づけます。
「ねえ亜夜っち。お・ね・が・い☆」
「…」
「僕、自分ががこの服を着た感じを、客観的に最終確認したいの♪」
「…はいはい」




