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双子と三つ子の五つ子な日々♪  作者: 紀之介
6.<あの子>の名前は?

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2.錯覚?


「さっきの、あの<五つ子>の話の続きだが──」


 昼休み。


 焼きそばパンを食べ終わった藍雨は、その袋を丸めた。


「…5人しかいないとは思えないほど、学内のあちこちで目にしないか?」


 一口飲んだ烏龍茶のペットボトルを、上生が机上に置く。


「マジレスするなら、それは学内に存在する<五つ子>の個体数が多いからの錯覚だな」


「?」


「例えば、お前を含めた 普通の生徒の学内における個体数は<1>だ。が、あの<五つ子>の個体数は<5>。つまり、通常の生徒の5倍だ。 当然、目撃率も5倍になる」


「…いや。<五つ子>は……同じ人間が5人いる訳じゃないだろ?」


「それは、個体識別が出来る場合だ」


 机に置かれた、自分の弁当箱のおかずの残りを確認する上生。


  手を伸ばして箸で取ったのは、最後に残った卵焼き。


 それを口に運ぶと、ゆっくり咀嚼してから飲み込んだ。


「個別に見分けのつかないお前は、別の<五つ子>に出会っていても『また<五つ子>?』『ここにも<五つ子>?』と 同じ人物扱いで認識してる筈だ」


「じゃあ── お前は見分けが付くのか? あの<五つ子>の」


「当然付かない。が、別に困ってないぞ??」


「、、、」


----------


(でも、僕は出来るんだよなぁ。五つ子の見分け)


藍雨と上生のやり取りを耳にだけには入れながら、陸木は手にしたペットボトルの口を見ていた。


(まあ…判るのは……<あの子>だけなんだけど………)


----------


(また、五つ子だ)


 陸木も最初は、そう思うだけだった。


 なにせ、皆同じ顔で背格好。


 誰を見ても、それぐらいしか思えなかった。


 が、ある日 ふと気が付く。


(なんかひとりだけ、違って見えるないか?)


 それを確信したのは、3人でいる五つ子を見た時だ。


 じゃれ合っているので、立ち位置は頻繁に入れ替わる。


 なのに、<あの子>だけは どこにいるのか直ぐに判った。


(無意識にずっと目で追っているひとりを── そう錯覚してる?)


 ふと思いついて、一旦ワザと目を逸らしてみたりもした。


 3人はじゃれ合って、一時も同じ場所にはいない。


(これでも…<あの子>が見分けられれば……)


 再び、五つ子を見る陸木。


(やっぱり、<あの子>だけは見分けがついてる!)


 その動きを目で追いながら、陸木は考える。


(<あの子>は他の子と何が違うんだろう。雰囲気? 所作?? オーラ???)


 とにかく理由は良く判らないが、陸木には ひとりだけが違って見えるのだ。


----------


 事あるごとに<気になるから目で追う>を繰り返した結果。


 いつしか<あの子>は、陸木の特別な存在になった。

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