1.何人?
「なあ?」
授業の3時間目後の休み時間
2階の教室の窓から、外を眺めていた藍雨が呟いた。
「<五つ子>って、何人いると思う??」
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「それは、難問だな」
自分の席の椅子から、上生が立ち上がる。
「はい。こっち向いてみまちょう」
言葉遣いに違和感を感じながらも、藍雨は指示に従い振り返った。
手を伸ばした上生は、その左手首を掴んで持ち上げた。
「これは、誰のお手々でちゅか?」
「お、俺の…」
「じゃあ、お指を開いてみまちょう」
「─」
「そのお指は、いくつありまちゅか?」
「── いつつ」
「<五つ子>の<五>は、そう言う意味なんでちゅよ??」
「───」
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「藍雨が言ってるのは、そう言うことじゃないのでは?」
陸木は、藍雨が移動して空席になった窓に近づく。
そこから見える渡り廊下では、<五つ子>のひとりがクラスメイトとじゃれていた。
「こいつが言ってるのは、<五つ子>を目にする頻度の話だろ?」
自分の手首を掴む上生の手を振り払いながら藍雨は、陸木に大きく頷いた。
「さすが陸木。判ってくれて嬉しい!」
再び外を眺めようと、窓まで移動する。
上生は、右手の人差し指を自分の額に当てた。
「そんな君達に、極秘情報を披露しよう」
自分の言葉で振り返った藍雨と陸木に、上生は意味ありげに口を開く。
「あの五つ子は最近、オーディションで新規メンバーを増やしたらしい」
「「…は!?」」
「現状、3組15人存在する。頻繁に目撃する理由はそれだ。」
「「……」」
お互い、目で呆れを共有する藍雨と陸木。
再び外を眺めるべく、窓に体を向けた。
その背中に、上生が呟く。
「冗談の通じない輩め」




