10.ふたりっきりで♡
「ふ、文夏さん」
待ち合わせ場所の、駅前のからくり時計の前。
スマホを眺めている文夏さんに、佐世さんは声を掛けました。
「お、お待たせしました」
「いや、全然待ってないよ?」
文夏さんは、スマホをバッグに仕舞います。
「うん。佐世ちゃんは今日も可愛いねぇ。<おねぃさん>は嬉しい☆」
「えーとぉ」
佐世さんの後ろにいるふたり。
その存在に、文夏さんは気が付きました。
「ぬ? 誰ちゃん?? 亜夜ちゃんと香夜ちゃんじゃないよね!?」
「わ、私のふたりの妹です」
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「この子が、次女の寒奈汰世です」
ふたりに間に入った佐世さん。
先ずは、右側に立つ人物を紹介しました。
汰世さんが軽く頭を下げるの確認してから、自分の左側に立つ人物を見ます。
「で、こちらが三女の寒奈那世です」
同じ様に、軽く頭を下げる那世さん。
その右で佐世さんは、若干深めに自分も頭を下げました。
「い、いきなりすいません」
「大丈夫。同じ容姿な三つ子ちゃんの、可愛いお揃の姿を見られて満足だから☆」
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「で、汰世ちゃんと那世ちゃんは」
文夏さんは、自分の両脇にふたりを呼びました。
「なんで唐突に、アタシに会い来た訳?」
顔を見合わせるふたり。
先に那世さんが、いそいそとその左側に近づきます。
「最近、文夏さんがぁ…」
汰世さんは後から、右側に向かました。
「─ 良く、アぁとカぁとサぁの会話に出てくるからぁ」
両脇に来たふたりの背中に、文夏さんが手を置きます。
「で、実物を見た感想は?」
「「すてきな、おねぃさま♪」」
「ぬ☆」
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「そろそろ、お店に行かないとだね」
汰世さんと那世さんの肩を抱きながら、文夏さんは呟きました
「ふたりも来る?<おねぃさまのお茶会>」
素早く、佐世さんの様子を確認する汰世さんと那世さん。
姉の感情の闇落ちを阻止すべく、急いで遠慮します。
「タぁ達は、次回にでも誘って下さい」
「僕たち、馬に蹴られる様な無粋な事はしたくないですから」
事情を察した文夏さんは、左右のふたりを見ました。
「ぬ。じゃあ、またの近い内に誘うから♪」
「「はい。楽しみにしてます☆」」
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「じゃあ…」
右手を振って、ふたりを見送った文夏さん。
同じ様に、自分の左隣で右手を振っていた佐世さんに視線を送ります。
「お茶会しようか。<ふたりっきり>で☆」
「はい♡」
「今度は── 直接誘いたいから、電話番号 交換してくれる?」
「喜んで♪」
--- End of the Episode ---




