9.お願い!
「ねぇ…」
休日前夜のリビング。
座ったソファから、無音にしたテレビにボーっと視線を送っていた那世さんが呟きます。
「─ 汰世っちさん?」
「なにぃ? ナぁさん」
「どんな人だと思う??」
尋ねられた汰世さんは、眺めていたスマホから目を上げました。
「もしかして、文夏さんの事???」
「うん。最近あの3人の話に良く出てくるから、気になっちゃって」
「そうだね。一度タぁも、見てみたいかも」
暫くの沈黙。
それを、那世さんが破ります。
「見に行っちゃおうか」
「え?!」
「あした、佐世っちの後を付けちゃう?」
「バレたら、怒られない??」
「当然、バレない様にするし!」
「でも── バレない様に準備して、バレない様に後を付けられる???」
またまた訪れる沈黙。
今回も、那世さんがそれを破ります。
「じゃあ…いっそ……」
「?」
「ちゃんと紹介してもらおう。佐世っちに!」
「─ え?!」
----------
「佐世っちさーん」
那世さんは、ドアをノックしました。
「お部屋に、入っても良い?」
明日のお茶会の準備に余念がない佐世さんは、上の空で返事をします。
「…どうぞ」
許可を得た那世さんは、ドアを開けました。
「僕たち、お姉様にお願いがあるの」
「……え?!」
----------
「ね?」
ベットに座る佐世さんに、那世さんが手を合わせます。
「お願い!」
汰世さんも、隣で同じ様に手を合わせました。
「明日、タぁたちも、一緒に連れて行って!?」
ふたりは、唖然とする佐世さんに口を開く隙を与えない様に言葉を畳み掛けます。
「僕たちは、待ち合わせ場所までしか行かない!」
「タぁたちは、文夏さんに紹介だけしてもらったら直ぐに帰るし!!」
「絶対に僕も汰世っちも──」
「サぁの邪魔しないって誓うから!!!」
----------
「ナぁ」
佐世さんを渋々頷かせた後。
廊下に出て直ぐに、汰世さんは呟きました。
「明日、文夏さんを紹介して貰ったら、本当にすぐに帰ろうね?」
少し先にいた那世さんが振り返ります。
「そうだねぇ。仮にお茶会に誘われても、断らないとだわ」
「うん」
「さっきの佐世っちの感じだと、<ふたりきり>を邪魔なんかしたら
「多分、タぁもナぁも物凄く恨まれる。」




