5.代理のお願い
翌日の放課後。
学校の中庭の<いつものあそこ>。
下校時間を知らせる放送が校内に流れます。
「ナぁ、もう時間だって」
「じゃあ、僕たちも帰らないとだね」
ベンチから立ち上がり、じゃれ合いながら歩き出す汰世さんと那世さん。
それに続こうとする佐世さんの両脇に、亜夜さんと香夜さんが立ちます。
「ちょっと待って、佐世ちゃん」
「わたくし達、姉様にお願いがあるんです」
香夜さんは、佐世さんの左腕に自分の右腕を絡めました。
「この前会った、文夏お姉様。覚えてますか?」
頷く佐世さんの右腕に、亜夜さんが自分の左腕を絡めます。
「そのふーちゃんから…昨日電話があってね……」
亜夜さんは、事情の説明を始めました。
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「─ という訳なんだけど」
中庭の出口に立ち止まり、何故か動こうとしない こちらの様子を伺う汰世さんと那世さん。
そのふたりに向かって、亜夜さんは右手を振りました。
「アーさん達。もうその日は、どうしても外せない用があるんだよねぇ」
ふたりに気付いた香夜さんも、同じ様に左手を振ります。
「…そうなんです」
「だから残念ながら私達は、ふーちゃんの相手がしてあげられないの」
「……そこで、姉様に代理をお願いしたいなーって」
「ふーちゃんとのお茶会──」
「………わたくし達の代わりに、行っていただけないでしょうか?」
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「まあ── 佐世ちゃんの体が空いてればなんだけど?」
亜夜さんは、佐世さんに絡めていた左腕を解きました。
「いずれ埋め合わせはするから? ね!?」
右腕が自由になった佐世さん。
中庭の出口で、相変わらずこちらの様子を伺う汰世さんと那世さんに右手を振ります。
「文香さんとのお茶ですかぁ」
「うん」
「明日はまあ…暇と言えば暇なんですけど……」
「じゃあ♪」
「─ 大丈夫なんですか?そのお茶会に、私が代わりに行って?」
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「だって文夏さん…」
中庭の出口に向かって、歩き出す佐世さん。
右隣に並んで歩く、亜夜さんの顔を見ます。
「─ おふたりに会いたいんじゃ?」
「それはそうだけど…ふたりは行けないって伝えられないし?」
佐世さんの左隣で、香夜さんは呟きました。
「無問題ですよ姉様。文夏お姉様は、最終的な利益が確保できれば大丈夫な人ですから」
「最終的な利益?」
「それは休日に、自分のお茶の相手をしてくれる<可愛い子>がいる事です♪」
香夜さんの言葉に、亜夜さんが頷きます。
「うん。それが<アタシの双子ちゃん>の私達と同じ容姿の佐世ちゃんなら、ふーちゃんは納得してくれる筈☆」
「まあ…それなら……」




