5.連行?
「えーとぉ、桔葉さん?」
校舎内の廊下。
私に腕を引かれて、数歩後を歩く那世が立ち止まる。
「この状態は何?」
軽くつんのめる私。
振り返って、那世の顔を見る。
「あんたを、職員室に連行するの」
「僕、逃げたりはしないから!」
那世は、私にホールドされた自分の腕を振ってアピールした。
「だから── こうやって、僕の左手首を掴んで引っ張るのは止めて?」
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「気のせいかもしれないけど…」
私の左隣りを歩く、那世が呟く。
「なんか桔葉って、僕と汰世っちの扱いが違わない?」
「まあ。気のせいじゃないかな」
那世は、私の顔を覗き込んだ。
「…どうして?」
「汰世ちゃんの方が── あんたより可愛いじゃん」
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「─ 容姿の話?」
那世の足が止まる。
「それなら、僕と佐世っちって全く同じだよね??」
少し先で、私も立ち止まった。
「キャラの問題」
「ああ。馬鹿な子ほど可愛いってやつだ☆」
何故か、ドヤ顔な那世。
頭にノイズが走った私は、<つかつか>と音がしそうな勢いで踵を返した。
「天誅。」
「あー グーで殴ったぁ」
「なんちゃって鉄拳制裁でしょ? だから痛くない!」
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「汰世ちゃんの事、馬鹿とか言うけど」
体の向きを変える私。
再び廊下を歩き出す。
「この前の試験…汰世ちゃんは軒並み上位の点数だったのに……」
敢えて私は、左に追いついた那世を見ずに言った。
「誰かさんは全部が全部、赤点じゃないだけの点数だった記憶があるのだけど?」
「…う」
「まあ、頭の良し悪しはともかく、少なくとも那世は性格が良くないかな」
「ぼ、僕のどこが!?」
「他人を馬鹿呼ばわりする人の性格の、どこが良いと?」
「う゛」
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「汰世ちゃんの、どこがあんたより可愛いのか──」
隣を黙って歩く那世。
その姿を、私は横目で見る。
「なんなら今から、じっくりと説明しようか?」
「─」
「先ずは…どこか落ち着ける場所に移動して……」
「── 僕が色々と悪かったです。だから素直にまっすぐ、職員室まで連行してください。。。」
--- End of the Episode ---




