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双子と三つ子の五つ子な日々♪  作者: 紀之介
3.ね、え、さ、ま?!

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17/22

4.酷すぎです──


「…えーとぉ」


 本格的なカフェよりは学生のわたくし達の財布に若干は優しい、セルフサービスな店。


 汰世姉様は、カウンター上部に掲げられたメニュー表を見上げて悩みます。


「……何にしようかなぁ」


 いつものお店なので、定番のメニューが決まっているわたくしと那世姉様。


 だからふたりは直ぐに注文出来るのですが、汰世姉様の選択待ちです。


「………うーん」


 普段から決められない人な汰世姉様。


 それが「ナぁのおごりだから、いつもは頼まないのを♪」で、更に決められない姉様に。


 気のせいか、お店の方や周りの目が気になります。


 那世姉様はさっきの出来事の手前、長考を注意し辛い様です。


 なので、わたくしが替わって意見するしかありません。


「汰世姉様── 流石に悩み過ぎです」


----------


「…香夜っちはすごいよね」


 3人の飲み物の入ったカップを載せた白いトレイ。


 それを那世姉様は、いつもの席のテーブルにおろしました。


「僕たち4人の見分け、完璧でしょ?」


 汰世姉様が、自分の分に腕を伸ばします。


「コツとかあるなら教えて? カぁ」


 わたくしも、自分の分を手に取りました。


「できちゃうからできちゃうだけなので…コツとかはないと思います」


「「、、、」」


----------


「ほ、ほら!」


 ジト目を向ける、姉様がた。


 わたくしは、必死で言い訳します。


「う、うちは双子ですから。自分以外の同じ顔は、必ず亜夜姉様ですし!」


 那世姉様は自分の口から、カップから伸びるストローを遠ざけました。


「でも。よその三つ子な、うちの同じ顔の見分けも付けられてるじゃん」


 正面席の汰世姉様が、体を乗り出しました。


「そう! それはどうやってるの?」 


 順番にゆっくり、姉様がたの顔を見る時間でわたくしは考えます。


 しかし、出てくる答えはやはり同じでした。


「できちゃうから── できちゃう?」


 再びわたくしを、ジト目で見る姉様がた


「「…さすが、天才は違うねぇ」」


----------


─ ズズ ─


 わたくしは、ふたりと目が合わない様に視線を落としました。


 そのうえで、ひたすらカップから出たストローを吸います。


─ ズズズ ─


 不条理が過ぎる、姉様がたの追求。


 いくらなんでも、酷すぎです。


 流石に、不機嫌になるわたくし。


 思わず、それを態度で示してしまいます。


----------


「うん。僕達が悪かった」


 呟く、那世姉様。


「ほら。汰世っちも反省してるから」


 泣き出す数歩手前な声が、わたくしの耳に届きます。


「カぁ、ごめんね?」


 こんなところで汰世姉様に号泣されたら大騒ぎです。


 急いでわたくし、顔をあげました。


「だ、大丈夫ですから。だから汰世姉様、泣かないでくださいね?」


----------


「お詫びに…」


 すっかり泣く目でなくなった汰世姉様。


 自分のカップのストローをわたくしの方に向けます。


「これ、一口あげる。美味しいよ?」


 汰世姉様の美味しいは、わたくしにはそうでない。


 蘇る、過去の幾つかの経験。


 ありがたい申し出を、わたくしは辞退しました。


「わたくし、自分の分を飲むだけで精一杯です。それは汰世姉様がお飲みください☆」


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