2.見分け。
「さっきは、ごめんね?」
那世姉様は、申し訳なさそうにわたくしの顔を見ました。
「…直ぐに、誰だか判らずに」
こう見えても、わたくしは長年双子をやっています。
そう。もう、かれこれ15年以上は。
だから出会った瞬間、相手がわたくしか亜夜姉様のどちらか判らず戸惑うことなんか良くある事なのです。
謝られるとむしろ、こちらが申し訳なさを感じます。
「そんな事、気にしないでください。那世姉様☆」
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「カぁはー」
汰世姉様は、自分の腕をわたくしの左腕に絡めました。
「…自分から名前を言ってくれるから好き♡」
その様子を見ながら、那世姉様がぼそっと呟きます。
「そうだね。じゃないと汰世っちは、佐世っちとの区別も怪しいもの」
「ナぁ?」
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「香夜っち。僕は、亜夜っち香夜っちのどちらだろうと迷っただけなんだよ?」
少し離れた場所に立ち止まっていた那世姉様。
「見た瞬間に、双子さんのどちらかだと言う事は判ってたから!」
腕を組んで、汰世姉様を見ます。
「流石に同じ顔だからって、もしかしたら佐世っちかもとかは思わなかったもんね!!」
「ナぁ!?」
「着てる服が違うから、判りそうなものだけど?」
「と、咄嗟だから、そこまで気が回らなかっただけでしょ!?」
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「そもそも汰世っちは──」
那世姉様は数歩進んで、わたくし達に近づきました。
「同じ三つ子なのに、僕と佐世っちの見分けが付かないじゃん」
向かい合った位置まで進み、汰世姉様の顔を伺います。
「僕は常々、『次女としてそれはどうなの?』とか思ってるけどね」
「ナ゛ぁ゛」
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「そんな事言ったら…パパだってそうじゃん……」
汰世姉様は、唇を尖らしました。
「み、見た目がそっくりだから── 仕方ないよね?」
腕を組んでいるわたくしの顔を見る汰世姉様。
「だ、だって…ふたりの顔、全く同じなんだよ??」
わたくしが頷いたのを確認した視線が、那世姉様の方に移動します。
「それに、ナぁが言ってるのは見た瞬間の話だよね!?」
腕を絡めたわたくしを引きずる形で、汰世姉様が那世姉様に詰め寄りました。
「タぁは、言葉とか動作で見分けてるの。それの何処が問題な訳!? 」
今にも大泣き寸前な涙目の汰世姉様に、那世姉様が謝ります。
「うん、僕が悪かった。だから ここで号泣するのは止めて?」




