1.とりあえずなお出掛け
(さて)
わたくしは、味奈家の双子の次女。
名前は、味奈香夜と申します。
(駅前に来てはみましたが──)
今は、休日の昼下り
家にひとりでいても仕方がないから、とりあえずなお出掛け中です。
(…これからどうしましょう)
当然、目的地も何をするかも未定。
なので、<思案なぶらぶら>をしています。
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(あ。)
あてもない、ぶらぶらの最中。
前方にわたくしは、見覚えのある顔を発見します。
(あれは、三つ子の姉様方☆)
嬉しくなって上がるテンション。
急いで合流すべく、わたくしは小走りになったのでした。
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「「…」」
駆け寄ったわたくしに、沈黙するふたり。
(わたくしが、亜夜姉様か香夜なのかを判断しかねてる?)
こんな事は、良くある事です。
先に自分から、名前を名乗れば直ぐに解決します。
それを、わたくしが実行しようとした刹那。
那世姉様が口を開きます。
「えーとぉ」
「香夜です。那世姉様」
「…香夜っちかぁ」
様子を伺っていた汰世姉様も顔を緩ませました。
「うん。カぁだね♪」
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「ところで…」
三つ子の姉様方なのに、眼の前にいるのはふたり。
もうひとりの居場所を、わたくしは尋ねます。
「─ 佐世姉様は?」
ふたつ並んだ同じ顔の唇は、同じ様に尖りました。
「「可愛い妹達を置いて、友人とお出かけ」」
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「「…」」
目で会話をする姉様方。
汰世姉様の脇腹が、隣の那世姉様に肘で突付かれます。
「……アぁは??」
何故、わたくしの隣に亜夜姉様がいないのか?
おふたりの疑問は当然です。
だって、わたくしだってそう思ってますから。
頭に再び湧く、理解しがたいモヤモヤ。
わたくしの口調はさぞかし、ささくれだっていた事でしょう。
「亜夜姉様は、わたくしを置いて お友達とお出かけです」
お互いの表情を探る3人。
思わず声を合わせます。
「「「可愛い妹より、友人を取るなんてあり得ない!」」」




