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この世界の美しいは間違っている  作者: ゆう
第二章 アルディス公爵領 ――真の美が集う場所へ

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第1話 帰還 ――新しい世界の扉

四人の少女は、学院で“自分として生きる覚悟”を得た。


そして第二章――

 その覚悟が“新しい国づくり”へと変わる。


公爵領へ帰還する一行を待っていたのは、

 迫害された才女たちの行列。


レオンの思想が王国全体へ波及する最初の瞬間である。


第二章 アルディス公爵領 ――真の美が集う場所へ


第1話 帰還 ――新しい世界の扉


 学院の門が、静かに開いた。


 春風が頬を撫でる。

 どこまでも澄んだ空の下、

 レオン・アルディスは四人の少女と共に歩み出た。


 リリアナ・ミラリア。

 マリア・グレイス。

 カトリーナ・ベイル。

 ソフィア・リンド。


 学院では噂の中心となった“四人”。

 だが今、彼女たちは胸を張って歩いていた。

 誰もがレオンの“婚約者”として、堂々と。


 門の外で待っていたのは、

 アルディス公爵家の紋章を掲げる大型馬車と、

 女騎士たちによる護衛部隊だった。


「レオン様、

 領地ではすでに帰還祭の準備が整っております。」


 侍従長の言葉に、レオンは軽く頷いた。


「ご苦労。

 ……皆、行こう。」


 その声に、四人の少女が同時に顔を上げる。


 リリアナの白い頬を風が撫で、

 マリアの薄い眼差しに揺るぎない強さが宿り、

カトリーナの姿勢は凛とし、

 ソフィアの瞳には期待と不安が揺れていた。


 学院とは違う空気。

 ここから先は、誰も守ってくれない世界――

 だが、彼女たちはもう怯えなかった。



◆馬車の中


 馬車が滑り出し、学院が遠ざかる。

 周囲は徐々に森の香り、土の匂いが混ざり、

 王都とはまるで違う空気が流れていた。


「……レオン様。」

 リリアナがそっと声をかける。


「わたくしたち、本当に……

 婚約者として、公爵領に向かうのですよね。」


 彼女の声は震えていた。

 不安ではなく、まだ信じられない幸福のせいで。


 レオンは微笑む。


「そうだ。

 君たちは、誰にも奪わせない。

 ここから先は――共に歩む道だ。」


 リリアナは胸に手を当て、

 そっと頬を赤らめた。


「……嬉しい。」



「レオン様。」

 マリアが控えめに続く。

「公爵領の行政、まだ噂しか知りませんが……

 本当に“自由に働ける場所”があるのですか?」


「ある。

 君が本来いるべき場所を、必ず用意する。」


 小さな溜息のように、マリアは微笑んだ。

 学院ではほとんど見せなかった柔らかい表情だった。



「私は……鍛えられる騎士団があるのか気になる。」

 カトリーナが真剣な目で尋ねる。


「あるとも。」

 レオンは即答した。

「美を競うだけの形骸化した軍ではなく、

 “人を守る剣”を持つ騎士団を作りたい。

 君の力はそこで生きる。」


 カトリーナの瞳が揺らぐ。

そして静かに頷いた。



「わ、わたしは……工房、見てみたい!」

 ソフィアが小さく両手を握りしめた。

「新しい道具、いろいろ作りたいの……!」


「存分に使うといい。」

「失敗しても構わない。

 君の発想は、この領地の未来になる。」


 ソフィアの顔がぱっと明るくなる。

 その微笑みは、曇りのない純粋さだった。



◆アルディス領・国境付近


 馬車が丘を越えた瞬間──

 四人は思わず息を呑んだ。


「……え?」


 視界いっぱいに広がる人、人、人。


 白い肌、繊細な顔立ち、薄化粧。

 この国では“醜女”と呼ばれて迫害されてきた女たち。

 しかし現代感覚なら、息を飲むほど整った美貌ばかり。


「公爵様!」

「どうか、どうか私を働かせてください!」

「もう、王都には戻りたくありません……!」


 彼女たちは泣きながら道の両側に並び、

 馬車に向かって深々と頭を下げている。


 中には魔導書を抱えた者、

 農具を担いだ者、

 発明品らしきものを背負った者までいた。


 まさに――

 才能と美の向こう側を見据えた女たちの“行列”。


「こんな……こんなに……?」

 リリアナが驚愕の声を漏らす。


「はい。

 レオン様の噂は、もう王都に留まりません。」

 侍従長が答える。


「他国からも、迫害された才女たちが

 “この領地へ逃げよう”と動き始めております。」



 マリアの瞳が震える。

 カトリーナは息を呑む。

 ソフィアの胸が高鳴り、

 リリアナは涙を指で拭った。


(……同じなんだ。

 わたくしたちと、同じ苦しみを抱えた人たちが……

 ここに来ている……)


 レオンは四人を見渡し、静かに言った。


「ようこそ。

 ここが――君たちが生きる新しい世界だ。」


 この日。

 アルディス公爵領は静かに、しかし確かに歴史を動かした。


 四人の婚約者と共に歩み出したレオンは、

 この国の未来の中心に立ち始めていた。




レオンと四人の婚約者が歩みだす第二章。


公爵領は、もはやただの一領地ではなく、

 迫害された才女たちの“希望の国”へ変貌していく。


次回:第2話

『才女の行列と四人の心』


彼女たちの新しい生活、そして最初の試練が始まる。


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