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威光

第1話

「こちら、テトラ方面軍第8歩兵大隊!敵陣地より、B級魔導士以下1個師団相当が進撃中!至急援軍を!繰り返す、至急援軍を!」

「うがああああああ!!!!!腕が!」

「隊長、俺たち…今でさえもう限界です…俺、病気の妹がいて…こんなところで…」

「母ちゃん…産んでくれて…ありがとう…」

く…さっきの戦いで、負傷者も大勢出た…俺がもっと早く撤退の判断をしていれば…みんな、すまない


プルルルル プルルルル

着信!もしや、援軍か?

「こちら第8歩兵大隊…はい……はい…左様ですか!?はい、感謝します!」

絶望に吞まれていた兵士たちに、隊長は大声で告げる

「お前たち!1分後に援軍が来るぞ!援軍は一人、エミリア指揮官だ!」

おおおおおおおお!!!!!!

「助かった!」

「俺たち、帰れるんだ!」

敵は兵士たちの顔が見える距離まで来ているが、彼らにまるで危機感は無かった。


「砲兵隊、放て!」

敵軍から、数百の魔弾が放たれる

「踏ん張れ!エミリア閣下が来られるまでの辛抱だ!」

「おおおお!!!」

兵士たちは杖を構え、必死に身を守る。5~10人が一組になり、魔力の薄い膜を張っていた




さて……救援要請があったのはこの辺りね……あ、敵はすぐそこ、みんなもう少し待っててね…

「書き換えよ!」

私は、世界に命令を下す。世界の機構<バース・クロック>に記録された私の座標情報を、敵軍の目の前に書き換えた。

突如として戦場に1人の少女が現れた。風圧で銀の長髪が靡き、自身に満ちた素顔が見え隠れする。

「お待たせ…みんな、もう安心していいわよ」

「おお!!!!」

危機に瀕していたミスタルシア軍から一斉に歓声が上がった。

対照的に、敵軍には動揺が広がる

「あ…あれは!ミスタルシアの英雄エミリア!」

「こんな辺境の戦線に来るなんて…」

「殺される…俺たち、帰れない…」

窮鼠のごとく縮こまった彼らに、華美な軍服を身に纏った男が後方から檄を飛ばした。

「く、みな慌てるな!数で押しつぶせ!」

四方八方から、たった一人の少女に向けて魔弾が飛来する。しかし、彼女はそれを涼しい顔で受け流した

「護れ」

手首で杖を軽く捻ると、重厚な光の壁が彼女を囲んだ

「まだだ!畳み掛け……な!」

爆炎が晴れると、彼女はもうそこにはいない

「現出せよ!」

上空からエミリアの声が響く、すると空から滝のような水流が生まれ、一気に敵軍を飲み込んだ

「がああ!!」

「流される!ああ!!」

「撤退!撤退!水流を逆手に取れ!逃げろ!」

山を登って進撃してきた彼らは、水流に押し流され消えていった。


「ふー間に合って良かった。任務はあくまで陣地の防衛。深追いの必要も無いわね」

戦闘が終結すると、エミリアは兵士たちのもとへ駆け寄った。

「エミリア閣下。この度はお手を煩わせてしまい申し訳ございませんでした!」

「いいのよ、みんなが無事でいてくれたら」

エミリアと隊長が話す後ろで、兵士たちがひそひそと雑談をしている


「あの方が、エミリア指揮官!俺みたいな下級兵が直接お目にかかれるなんて!」

「ああ、強いし、しかもすげえ美人だ!」

「あれで俺らより一回り年下なんだから、神様みたいな人だな…目に焼き付けておこう」


言われ慣れてはいるけど、なんだか照れるわね…もう少しボリューム落としてくれないと、魔力派の揺らぎで大体何を言ってるか分かっちゃうのよね…

私もミスタルシア軍に入って、国中の人に慕ってもらっているけど…昔はこんな生き方があるなんて、夢にも思わなかった。これも、私の世界を変えてくれた大切な親友、リーシャのお陰…

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