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① 婚約破棄らしいです

 

「エリーゼ・グレイス! 僕は君との婚約を破棄する!」


 王城の大広間に王太子殿下の声が木霊する。公爵令嬢の私と婚約者である王子との揉め事に、夜会に集う貴族たちの注目が私たちへと注がれる。


「ケイン殿下、理由をお聞かせ願いますか?」


 私という婚約者が居るにも関わらず、とある女性を抱きしめ私を睨む王太子殿下。私は表情を崩さず静かに声をかける。私たちの婚約にはこの国の未来が掛かっている。王太子殿下とはいえ、簡単に婚約破棄をすることは難しい。彼の発言に、納得した理由を求めるのは当然のことである。


「白々しい真似を……リリアにしたことを忘れたのか!?」

「酷いですわ、エリーゼ様……」


 王太子殿下の腕に抱かれ涙をこえている女性の名前は、リリア・ロイツ男爵令嬢。一年ほど前に王都の学園に特別編入学すると、瞬く間に周囲を魅力した。勿論、私の婚約者であるケイン王太子殿下も彼女の虜である。


「覚えがございません。私、何か致しましたか?」


 私に注がれる視線が鋭さを増す。この場において、私の味方は一人も居ない。皆、リリアの信者である。この一年間で私は『悪役令嬢』と呼ばれるようになった。


「リリアの教科書を破り捨て、階段から突き落とそうとしたり、今夜のドレスも破ったりしたそうじゃないか!?」

「うぅ……私がケイン様や皆さんと仲良くしているのを、エリーゼ様が気に入らなかったのですよね?」


 全く身に覚えがないことを、自信満々に告げられる。嫉妬したからとそんな子どもじみた行為をする訳がない。面倒事を避ける為に、溜息を吐くのを我慢する。


「全く、狭量だな。公爵令嬢としても、将来の国母となる者としての自覚がないのか!?」

「辛かったですが、エリーゼ様を責めないで下さい。私がエリーゼ様よりも皆さんから、愛されているのがいけないのです……」

「大丈夫だ。僕がついているよ。こんな悪役令嬢には何もさせない」

「ケイン様……」


 手を取り合い、二人だけの世界を作り上げる光景は滑稽にしか映らない。やはりこうなったという諦めの気持ちである。


「茶番は終わりまして?」


 私は我慢していた溜息を吐いた。


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