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第一話 龍より出で来し子

駄文失礼します。

 彼が村から消え去り五年が経ったある日のことである。村人の殆どは彼のことは忘れいつものように貴族による重税や徴兵を我慢し、いつものようにただ何も考えず機械の如く作業をしていた。ただその日は年に数回しかない祭の日であった。それは秋の収穫が無事終わったことを感謝する祭である。そんな日に彼は突然村に帰ってくる。彼の隣には白髪蒼眼を持つ街に繰り出せば十人中八人ぐらいはその姿を見て倒れ伏すであろう美貌を顔面にたたえている女性がひっそりと立っている。最初彼が村に入ってきたとき一人の少年が近くにいた。少年は彼のことを見ると同時に、女性のことも視界に入れてしまった。少年は、鼻から血を吹き出させてしまう。それに心配したのか女性の隣にいた彼が少しだけ溜息をついて少年に“回復(ヒール)”をかけた。魔法に驚いたのであろう。少年は「はっ」と我に返って魔法をかけた彼の方へ視線を向け、そして村の広場にいる村長の元へ走り出していった。


「あ……」

「行ってしまったね」

「そうだな」

「だけど、仕方ないことだと思うよ」

「村から消えてもう五年だからな。死んだとでも思われていたんだろう。」

「そうかも知れないね。君は村の中ではいつもどんな感じだったんだい?いい加減教えてくれてもいいよね?」

「断る」

「えぇ〜。いいじゃん。君と私の仲だろう、教えておくれよ」

「うるさい。それに来たぞ」

「ちぇ、わかったよ。あとで君のことを知っている人間にでも聞くさ」


 そんな話をしていると先程の少年が村長を連れてやってきた。村長が彼のことを見て、


「レンか?」

「久しぶりですね。そのとおり私はレンです」

「おぉ、大きくなったなぁ……」

「そうですね。大体十七センチぐらい伸びたかな」

「元気そうで何よりじゃ。お主の家はまだ残しておいてある。そこで休みなさい」

「ありがとう。じゃあ、そうさせてもらいます」

「今日はいいことづくしじゃのう」

「それは良かったねぇ」

「うぉ!そういえば貴殿はどちらさまですかな?」

「私は天姫(あまひめ)。天龍皇さ」

「天龍皇!?実在したのですか……。いえ、それよりもこちらへどうぞ」

「申し訳ないね」

「天龍皇様が村にお越しいただくのに遠慮などございませぬ」

「そうかい?」


 ここで主人公と天龍皇について説明しておこう。

 まず主人公だ、名前はレン、性別は男、身長は百六十後半だ。年齢は十二歳。魔法適正が異様に高く、その中でも召喚・契約魔法を主に使用する。また、昔から本を沢山読んでいたため、歩く百科事典と言っても問題ないほどの知識量と記憶能力を持つ。体力に難があるため、近接戦闘行為は基本天姫に丸投げだ。だが自衛程度の戦闘ならこなすことができる。得物は刀やダガーなど。そして転生者だ。取り敢えず今出せる情報はこんなところか。次は『天龍皇』天姫だ、性別は女、人型のときの身長は百八十センチ程度。年齢は不明、少なくとも神話時代より生きている龍だ。ちなみに龍形態のときの体長は約百五十メートルほど。炎や爆発系統に対する適正が高く、種族特性としてブレスを吐いたり龍眼による威圧、龍雷の咆哮などを使える。近距離も遠距離もそつなくこなすオールラウンダー。また、レンの召喚契約獣でもある。『天龍皇』には龍族の祖にして守護者である始原の龍であり、力を示したものには自らの力を貸し与えるという伝承が世界各地で伝わっている。


 さて、広場に近づくにつれ賑やかな歓声が響いてくる。村長はレンがいなかった五年間の間に起こったことを説明してくれた。天姫にはレンがどのような人間だったのかも。そして村の広場に到着する。広場では音楽に芸のある村人たちで様々な曲を演奏して歌って踊っていた。それを見たレンは広場の中心に向かって歩いていき、演奏している村人に自分も一人でやらせてもらえないか頼みに行く。村人たちはもちろんぜひやってくれと快諾した。レンは真ん中へ歩いていく。村人たちは次はどんな曲が来るのか、そして誰が歌うのか気になって仕方がないのか野次を飛ばし始める。目を閉じ何を歌うのか考えていたレンは前世自分が好きであった曲を演ろうと決めた。それは世界の彼方へと飛ばすメッセージ。もう二度と届かない彼女たちへの想い。長くもなく短くもないそんな歌を彼は堂々と、それでいて少しでも触れたら均衡を崩して倒れ落ちてしまいそうな様相で高音も低音も透き通った歌声で歌い上げる。それを聞いた大半の村人は落ち着いて聞いていたが村長や一部の村人はその曲に込められた想いを察し涙した。そして曲が終わる。村人たちはしんとした雰囲気の中彼の一挙手一投足に目を凝らす。数多の視線の矢に突き刺されながら、一転して明るい曲を歌い始める。それを見て天姫が乱入してくる。天姫に高音を任せ、自分は低音に集中して歌う。先程と同じ人だとは連想すらできない変容具合であったが、そんなことは関係ないとばかりに村人たちは否応なしに盛り上がっていく。二曲目も歌い終わり、元の村人に返そうとしたときに


「お兄ちゃん!」「お兄様!」「レンくん!」


と三方向から声がした。それを聞いて天姫は面白そうな顔をする。

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