こおろぎ
コオロギが鳴いている
倉庫の床の隙間から
コロコロと
きれいな音色で鳴いている
毎年の風物詩
ああ秋だなぁと思う暑い夏の終りの頃
コオロギが鳴いている
書棚の奥の辺りから
コロコロと
そんなところで鳴いている
毎年の風物詩
ああ秋だなぁと思う残暑の訪れる頃
コオロギが鳴いている
探しても見つからない
隙間に隠れているのだろうか
壁の裏から鳴いているのだろうか
まさか……
まさか……
進化した新種の黒い悪魔が鳴いているのか
戦慄に震える暑い季節
この震えは
熱中症警戒アラートのせいなのか……
コオロギが鳴いている
先日食べたクッキーの味を思い出す
ちょっとブルー
イナゴもこんな香ばしさだったなぁ
稲穂とイナゴが豊かに実る秋の頃
祖母に連れられて
イナゴを捕りに行った懐かしい日々を思い出す
今よりもちょっとだけ鮮やかな
子どもの頃の楽しき日々に想いを馳せる
コオロギが鳴いている
きれいな音色で




