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アリス探しゲーム


「アリス探しゲームルール、『主要人物の名を騙るものは殺されるべき』……残念だったね。君の人生はここで終了だよ」


そういって彼は笑顔で私に拳銃を発砲し、私の命もこれでおしまいと決意した……

だが、神はまだ私を見捨てていなかった!

とっさに私は手を引かれ、銃弾を浴びることを避けることができた。

助けてくれただろう人を見ると、眠そうな顔で、何の耳かわからない丸い耳をつけた青年だった。

コスプレしていなかったら間違いなくイケメンだったよ!

そして帽子屋さんはウサ耳をつけた少年に取り押さえられてた。

おうふ、なんてカオスな空間なんだ……


「……ラット、チェリー……何のつもり?僕に逆らうつもりかい?」

「ご主人様、せめてお話を聞いた方がいいのでは?」

「そうそう、俺らは逆らうなんてしませんよ……でもさ、ご主人様ー、そいつ、アリス探しゲームに巻き込まれた一般人なんじゃない?」


ラットと呼ばれた青年はあくびをしながらそう質問する。

ご主人様っておい……

本当にここの脚本どうなってるの?


「……そんなわけないじゃない。君はアリス探しゲームのことを知っててなのったんでしょう?」

「あ、あの……アリス探しゲームってなんなんですか?」


私の答えに『アリス』と名乗った少年はなんも言えない顔をし、ラットと呼ばれた青年はほれみろといいたげな顔をした。


「……やっぱりカルチェさんの被害者みたいですね、ご主人様」

「そうです!カルチェと名乗るウサ耳をつけた人に連れてこられて……」

「……カルチェの被害者だったのか……ミャオもそこを僕に伝えとけっての!」

「あ、あの……『アリス探しゲーム』ってのは結局なんなんですか?」


私の質問に三人は顔を見合わせてため息をついた。

え?本当になんなの?

しばらくの沈黙のあと帽子屋さんが私に説明をしだした。


「アリス探しゲームっていうのはね、この世界の創作者である『アリス』を探すゲームだよ」

「どういうことですか?」


帽子屋さんは私に丁寧に説明してくれた。

この不思議の国を治めているのはハートの女王なんかじゃない。

なんと『アリス』なんだそうだ。

アリスは私の世界でいう『特殊能力者』であったらしく、現実世界の退屈さに、この世界を作った。

アリスは最初は弟と相談してこの国を作っては楽しんでいたらしい。

めちゃくちゃでどこまでも滑稽な不思議の国を目指し、それができると彼女はすべてを放り投げた。


『つまんないわ、弟も含めみんな私を楽しませてちょうだい』


退屈をもて余したアリスはそういうと弟にあるゲームを持ちかけた。


『ゲームをしましょう。あなたに私の名前をあげるわ。あなたが今日からアリスよ』

『僕が『アリス』ならお姉様はどうなるの?』

『私?この住民のなかに隠れてあなたが見つけ出してくれるのを待つわ』

『規模のでかいかくれんぼでもするの?』

『そうね、かくれんぼだわ。あなたは私を探し出して名前を返しなさい。でも、あなたより先に他の住民が私を見つけたらあなたの負けよ』

『僕が負けたらどうなるの?』

『あなたが死ぬの』

『僕が勝ったら?』

『なんでも言うことを聞いてあげる』

『酷いや、僕のリスクが大きすぎる!理不尽だ、お姉様』

『私が理不尽なのは当たり前よ。私は顔も名前も変えるわ。探し出して名前を返してちょうだい』

『お姉様!僕は……』

『制約よ。あなたは今から帽子屋でアリス。拒めば死ぬわ』


この世界は創作者であるアリスが言い出したことは絶対だった。

弟は制約をかけられ、このゲームを降りることはできなくなった。

弟の他に強制的に参加させられたのはアリスに役職を与えられた人物だ。

『アリス』を先に見つけられなければ、殺される弟は邪魔をされたら殺した。

この国の住民はほばすべて製作者・アリスのおもちゃ。

殺されればその住民は新たに作られてはじめからやり直し。

弟を勝たせたくない他の参加者は弟を混乱させるのとにした。

アリスが一番手をかけて作った白ウサギのカルチェ・レプロットがその一人。

定期的に『アリス』の名をつく少女を世界中からさらい、本物の『アリス』の発見を遅らせている。


「……ってところかな」

「はあ、つまり……私はそのカルチェさんの作戦に巻き込まれたのだと……」

「そういうことだね。この世界のルールで『アリス』の名は一人しか名乗ってはいけないんだ。だから、それを違反するやつは殺さなきゃいけない」

「それで私はあなたに殺されかけたと……」

「うん」


な、納得できるかああああ!!!

なんだこれ?

どっきりかと思いきや、異世界にトリップしてました☆ってか!?

それどんなラノベだよ!!


「君もさ、『アリス』を名乗ったら殺されるから、アリスは名乗らない方がいいよ。君のフルネーム、なんだっけ?」

「い、伊須間ありすですけど……」

「じゃあ、イスマって名乗りなよ。それがいい」

「は、はあ……そうします」


下の名前を名乗って殺されるのなら、名字だけ名乗る方がよっぽどいい。

まだトリップしたことを認めたくないけど。

できればどっきりであって欲しいけど……


「契約だ。『君は僕とともにアリスを探す。僕は君が手伝っている間は君の命を保証する』」

「ふえ??」


帽子屋のアリスがそういえば、急に右の手首が光る。

そして帽子のマークが手首に焼き付いた。


「これはなに?」

「君と僕の契約の証だよ。これがある限り、君は殺されないよ」

「本当ですか?」

「その代わり、僕とお姉様を探さないと死ぬけどね」

「はい?」

「そういうことで、イスマ……君は今日から僕とこの家に住んでもらうよ」

「え?嫌ですよ!」

「嫌と言われても契約者とすまなきゃいけないルールがあるから無理だよ。この家には僕の他にもラットとチェリーがいるし、安心だよ?」


そうはいうけど、 男ばかりが住む家に女が住めってか?

襲われるわ!

いや、襲われないかもしれないけど私の倫理的によろしくない。


「なら契約といてくださいよ!」

「契約といてもいいの?死ぬよ?」

「え?それはどういう意味ですか?」

「今まで君を含め九十九人の少女がカルチェによってこの不思議の国につれてこられた。そのうち九十八人の少女はどうなったと思う?」

「わ、わかりません……」

「僕を含め他の参加者に巻き込まれ、殺されんだよ?君もそうはなりたくないでしょう?」


ニヤリと笑う帽子屋のアリス。

くっ……確かに私はまだ死にたくない。

生きて元の世界に戻るんだ!

そうするには私はひとつしか方法がない。

それは……


「契約を続行してください。私はまだ死にたくない」


帽子屋のアリスに頭を下げると彼はにたりと笑ってこういうのだ。



「ようこそ、イカれ帽子屋のアリスの屋敷へ!なんにもないけど歓迎するよ!」



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