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忍者・忍術の研究ノート  作者: 辻風一
忍者の流派
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根来忍者

 根来ねごろ忍者とは紀州根来(和歌山県那賀郡岩出町)にある根来寺の僧兵のことです。


 根来寺は高野山の興教大師・覚鑁かくばんが1140年ごろ開基したと伝えられている。新義真言宗三大道場のひとつとして著名です。

 紀州という地は昔から反権力の向こう意気が強く、戦国時代になってもこの地を治める大名はあらわれませんでした。伊賀や甲賀と同じく紀州各地の土豪たちが「そう」をつくって、対立しつつも領地を守っていました。


 比叡山などの大寺院が僧兵という武装勢力をかかえていたように、根来寺もまた僧兵を所持していました。

 僧兵とは法師武者ともいって、中世から近世にかけて有力な寺社が自衛武装した集団です。源義経に従った武蔵坊弁慶もこの僧兵になります。


 ちなみに根来衆の僧兵は多くの僧兵とはスタイルが違いました。頭は剃髪せずにザンバラ髪、僧服を着ないで野良着に兜と鎧を装備し、鉄砲をかついでいました。

姿だけ見ると僧侶には見えないですねえ……


 根来寺は大きく発展し、戦国の最盛期には、葛城連峰に36万坪もの面積がある大寺院でした。寺領は七十万石もあり、寺院九十八、僧坊二千七百、僧兵は数万人もいました。

 比較してみると、今川義元が三カ国を領して六十九万5千石、武田信玄二カ国と上野国一部で七十万国、織田信長が尾張一国で二十万国……その権勢はしれましょう。 


 根来寺の構成は大別して二つあり、学侶がくりょ方と行人ぎょうにん方にわかれます。学侶方は本来の僧侶らしく仏法を修行し、学問にはげむ僧侶たちのことです。

 そして行人方が寺院の警備や雑役をおこなった僧兵たちのことで、本項であつかう根来忍者のことです。

 その行人方のなかで最も勢力が強かったのが津田一族です。津田一族の杉之坊明算は弟の津田監物を種子島に派遣して種子島鉄砲を手に入れ、根来坂本の鍛冶師・芝辻清右衛門に研究させて量産させたと伝えられます。


 多くの戦国大名が鍛冶師に命じて複製を命じましたが、鉄砲には複雑な技術がつかわれ、成功したのは国友鍛冶と根来の芝辻くらいでした。根来鉄砲の優秀ぶりが知られるエピソードです。

 かくて行人方は四派あったが、薙刀にかわり鉄砲を武器とした津田一族が最大勢力となりました。


 そして根来寺僧兵集団は傭兵として戦国大名に重宝されて傭兵集団して日本各地を転々としました。


 根来衆は織田信長によく雇われて良好な関係でした。信長の紀州征伐にも参加しています。

 しかし、豊臣秀吉とは敵対関係にあり、小牧・長久手の戦いでは雑賀衆と手を結び、大坂城を攻撃しました。そのため、のちに秀吉の紀州征伐で滅ぼされてしまいます。


 かつては戦国大名に匹敵する領土を持った根来の大寺院も焼け野原となり、男だけでなく女子どもも殺戮されました……


 その後、根来衆の生き残りの根来大膳が伊勢に逃れ、徳川家康に招かれました。成瀬正成に属し、与力二十五人、同心百人根来組同心となり、江戸の内藤新宿に移り住んだのです。

 根来衆の生き残りは他にもいて、根来の田中一族は毛利家の藩士となった。その子孫の根来親裕は長州藩の家老になっている。


 さて、根来寺僧兵は鉄砲集団として有名と説明したが、それが忍者であったというのはどういうことであろうか? 


 いろいろな説があるので紹介します。


1、天正9(1581)年の天正伊賀の乱で消息不明となった百地三太夫、藤林長門という上忍が修験者に守られて根来・雑賀に落ちのび根来衆と雑賀衆に忍術を教えたからであるという。


2、同じく天正伊賀の乱で逃れた伊賀忍者が、根来・雑賀に住みつき紀州流忍者を称したという説。


3、津田一族をはじめ根来衆には楠木正成の末裔を称するものが多いので、楠木流忍術がもととなって根来忍術が出来上がった説。


4、熊野三山にはいった白雲道士の白雲流忍術が修験者によって根来寺につたわり、根来忍術となった説。


5、天台宗の天台山伏、真言宗の真言山伏は呪術や山伏兵法をつかったが、彼らに教わって、のちに根来忍術となった説、などがある。

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