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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

オオカミの国の騎士王様

作者: 浅葱 猩々

 むかしむかし、あるところに大きなオオカミの王国がありました。その国には王様とお妃様がいました。王様は子供が生まれると子供のころに聞いた一つのお話を聞かせていました。


 王様の生まれたところは小さな村でした。その村では大人のオオカミは少なく、子供も少なく、年老いたオオカミが多い村でした。村のみんなが森に入ってウサギや小動物を狩り、薬草や食べられる草を採ってきて村全体で分け合っていました。

 村はみんなが家族のように笑いあい、とても温かいところでした。その村の一番年老いたオオカミは長老と呼ばれ、いろいろなことを知っていました。

 村の子供たちはそんな長老から昔のオオカミの国のお話を聞くのがとても好きでした。特に好きなお話は、国を守った勇敢な騎士王様のお話でした。とても面白く、毎回お話の内容が違うのでみんな喜んでいました。

 始まりはたしか…




 とおいとおいむかし、一人の黒々とした毛並みを持つ立派な若者がおりました。その若者は勇敢でウサギや小動物をよく狩ってきて村のみんなと仲良く分けていました。

 あるとき王国から一通のお手紙が届きました。その手紙は若者宛で「城にきて騎士として働いて欲しい」という内容でした。若者は喜びました。村では子供や年老いたオオカミばかりで病気になると満足に薬が買えなかったからです。

 若者は、騎士として城に仕えるとお金がもらえ、みんなに喜んでもらえる。とうれしそうに言いました。それを聞いた村のみんなは「若者が決めたことだから好きにすればいい」とみんなで編んだお守りを持たせて見送りました。

 若者はそのお守りを大切そうに懐にしまうと、さっそうと城に向かいました。


 城に向かう途中、若者は街にたどり着きました。街では村では見ない果実やお肉、香草などさまざまな物が売ってありました。若者は喜びました。村のみんなにいいお土産ができた。たくさん買って帰ろう、と考えました。でも今は城に行く途中です。城からの帰り道にみんなにたくさん買って帰ろうと決心して城への道を歩いていきました。

 すると、街の中心に人だかりができていました。なんと、女の子がいて、その子より数倍も大きい男が何かを大声で言っていました。なにを大声で言っていたかというと、男が「歩いていると女の子がぶつかってきた。ぶつかった拍子に服が汚れてしまった。」という内容でした。

 実際は、女の子が歩いているといきなり男がぶつかってきたのでした。若者は小さなことで大声を上げている男に驚きました。若者は、男のあまり汚れていない服を撫でながら「こんなことはやめよう」と言いました。怒っている男はもっと大声でわめきましたが、若者がスッとお金を渡し「これで新しい服を買ったらいいですよ。」と言うと男は何も言わずに去っていきました。

 女の子がそれをみて「ありがとう」といいながら男に渡したお金以上に立派な宝石を渡してきました。若者は、「けっこうですよ。無事でよかった。」というと城への道を急ぎました。


 ようやく城に着くと若者は騎士の試験を受けました。試験は3種類ありました。筆記試験と技術試験、魔法試験でした。若者は村で学んだ知識を生かしスラスラと筆記試験を解きました。続いての技術試験は村でウサギたちを狩っていた腕をみせ、鋭く素早い突き披露し、相手をひるせました。魔法試験では村で使っていた水汲みの小さな移動魔法を披露しました。会場は大盛り上がりになりました。どうしてかというと、移動魔法というのは高度な魔法でだれにでもできることではなかったからです。

 若者は審査員の満場一致で新しい騎士になりました。騎士の任命式の時に王様から直々に「娘を助けてくれてありがとう。どうか娘の婿になってほしい」と言われました。

 若者は驚きました。いきなり王女様と結婚してほしいと言われたのです。顔をあげると、王様の後ろに街であった女の子がいました。どうやらあの女の子が王女様だったようです。若者は驚きましたが結婚を受け入れました。

 若者は王女様と結婚し、国の王様になりました。



 ここまでが王様になったオオカミの始まりのお話です。お話はまだまだ続いていきます。



 王様になった若者はずっと村のみんなが気がかりでした。前の王様にお願いして、一度村に戻ることにしました。でもその時は、周りの国との戦争がはじまりそうな危ない時でした。急いで帰ってくることをお妃様に約束してから、村に向かいました。もちろん、途中の街でいろいろな果物や薬を買って帰りました。

 村は帰ってきた若者を喜んで迎えてくれました。王様になったことを報告すると、とても喜んでくれました。2~3日を過ごした王様は急いで城に戻りました。


 帰ると前の王様があわてていました。隣の国が攻め込んできたということです。

 王様は焦りました。そして前の王様に、「私は王様には向きません。こんな時は、前王様に城を守ってほしいです。私は国を守る騎士に戻りましょう。」といいました。前の王様は考えました。王様は軍の後ろで指揮をするより、戦いの中心に立って指揮をする方が上手だったからです。前の王様は「では王位をしばらく外し、騎士に任命します。城は私が守るからしっかり戦ってほしい。」といいました。


 騎士になった王様は急いで戦いの地に向かいました。

 戦場は黒い煙があがり、木がなぎ倒されていました。騎士になった王様は戦場の状況をきちんと理解しました。そして戦士たちを励まし、一気に隣の国に攻めました。

 隣の国の戦士はすごい勢いで突撃してくる騎士に驚きました。休憩中で戦う準備ができていなかった隣の国の戦士は戦うこともできずに降参しました。

 そして騎士に「ごめんなさい。干ばつですべて水源が涸れてしまったので、水が欲しかったのです。」といいました。騎士は快く「そういうことなら、水源はいっぱいあるからどうぞ自由に出入りして持って行ってください。」といいました。隣の国の戦士は謝りながらうれしそうに国に水を持って帰っていきました。

 騎士はこれで大丈夫だと城に戻りました。城では前の王様が「ありがとう。騎士は返上してまた王様をしてくれないか?」といいました。騎士は喜んで王様に戻りました。

時々、戦がおこると王様は騎士になり、戦に向かっていきました。王様は時々騎士の生活を気に入りました。そしてお城でお妃様と幸せに暮らしました。



 それはこんなお話でした。村の子どもたちは騎士になったり、王様になったりと忙しい王様のお話をうれしそうに聞いていました。


 昔からこのお話を聞いていた王様は、国の騎士を募り小さな騎士団をいくつも結成させました。近隣の村や街を見回ってもらい危険がないか、困っていないかなどを確認してもらっていました。小さな村では騎士たちが村のオオカミたちを助けて橋を修理したり、治療に必要な薬草を採ってきてもらったりしてもらっていました。

 王様は毎日、そんな騎士たちのお話をきいて、その村や街に何が必要なのかを考えました。そして、実現できるように必死に考え、騎士に頼んで困っている村や街に必要なものを与えました。国のみんなは、村や街を進んで助けてくれる騎士団を作ってくれた王様に感謝しました。

 王様がこうしていろんな村や街を気にすることで国が明るく、豊かになっていきました。


 王様は毎晩、子供たちに騎士王様のお話を聞かせました。お妃様もそのお話を気に入り「まるで私たちのようではないですか。」と喜びました。お妃様は、騎士王様のお話を本にしました。その本は王様から、お妃様から、子供たちから、侍女からとだんだん街へと広がっていきました。そして国で一番有名なお話になりました。国中の子供たちはこのお話の若者のように国に仕えることを夢見るようになりました。


 そんな騎士王様のお話はずっと語り継がれていきました。国のみんなは騎士王様のお話を語りながらずっと幸せに暮らしていきました。




初めて童話を書いたので至らない点は多々あったと思いますが、ここまで読んでいただいてありがとうございました。

誤字脱字等ありましたら一言いただけるとうれしいです。

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