表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

4/67

4 0歳児事件簿 その3(不幸の祝詞)

屋敷総出で0歳児のSUN値を削る物語、


 《・・・カミサマナニシテクレトンネン》


 ♪ヤバいよヤバいよ魔神がヤバいよ

  ヤバいよヤバいよ大地がヤバいよ

  ヤバいよヤバいよ海の中~

  目覚めておくれよ強き人~

  ヤバいよヤバいよ教会へ~

  ヤバいよヤバいよ来ておくれ~

  ホ~ホケキョ~の季節だよ~

  ヤバいよヤバいよ来ておくれ~♪


 何が気に入ったのか、ことあるごとにマリア姉が謳ってやがる・・・




 翌日、早々に次の領に向かうべく旅立った侯爵。

 護衛やら(ともがら)の準備を無視して颯爽と馬を走らせた。

 両親と共に見送ったサルカス兄は「かっけ~!!」などと興奮しきりだが。


 ・・・護衛の意味・・・


 バタバタを後を追う護衛さん達、お疲れ様ッス。


 《 動物保護法などないんだろうな~》

 《 お馬さん。死なないでね・・・・南無・・・・》




                     ◆◆




 《 嵐の後の静けさというか・・・》


 日常が帰ってきた安堵感に身を震わせていると・・・


 マリア姉の唄声が耳朶を打つ。


 《 何ぃ!?》

 《 この不幸の祝詞は!!》

 《 メロディ付きかよ!!!》

 《 呪いじゃね~か!!!!》

 《 汗が止まらないんだが!!!!!》


 「マリア?それは?」


 《 おお!父上、止めてください!!》

 《 これは神様の嫌がらせなんですぅ!!!》


 「侯爵様の祝詞です。」


 《 いや、ない胸張らなくていいから!》


 「よいのか?軽々しく口にするものではないと思うが・・・」


 《 そうです!》

 《 それはイヤガラセです!!》

 《 全面禁止にしてください!!!》


 「良いではありませんか。祝詞(のりと)とおっしゃってましたから、つまり祝いの言葉。祝福されすれ、不幸を呼ぶものではないと思いますわ。」


 《 母上違ぁぁぁぁう!!!!》

 《 それは “不幸の手紙” も裸足で逃げ出す「神のイヤガラセ」なんですぅ!!!!!》


 「・・・それも。そうか・・・。」


 《 いやめてぇぇぇぇ!!!!》

 《 個人攻撃しないでぇぇぇぇぇ!!!!!》

 《 いじめは犯罪ですぅぅぅぅうぅぅぅぅ!!!!!!!》



 0歳児のむなしい訴えは聞き入れられず

 俺は毎日のように呪いの唄を耳にすることになった・・・


 《 ああ、SUN値が削られていく・・・》




 どうせどこぞの低級神の発案だろうが、あえて言おう。


 

 《・・・カミサマノアホウ・・・》






 

 数日後・・・



 まあ、呪詛(のりと)に関しては諦めるしかない・・・


 何せ、巫女(教会) → 国王(王族) → 上級貴族ときたもんだ。

 弾丸のような個人攻撃じゃない。

 核弾頭のように、広範囲で後世に深い傷跡を残す仕様だ。



 《 特大ホラーかよ!》

 《 サダコも裸足で逃げだすワ!!》

 《 スズキ先生に謝れ!!!》

 《 ついでにSUN値を返せ!!!!》




 「あらあら、グレイ坊ちゃまは大変元気がよろしいですねぇ。」

 慈母の顔したマーサがジタバタとのたうつ俺を抱え上げる。


 窓からの風が顔を打つ。

 庭の木が直射日光を遮り、木漏れ日と化す。

 ・・・心地よい。



 《・・・ああ、削られたSUN値が回復する・・・》



 勇者がなんだってんだ・・・

 魔神がどうしたってんだ・・・

 生まれたばかりの赤子だぞ・・・

 ホイホイと教会に行けるワケあるまいが・・・

 むしろ断固拒否する・・・


 微睡(まどろみ)が思考を有耶無耶(うやむや)にする。


 《 なんて・・・心地よい・・・》






 「グレイ!いる~!?」


 《うおう! ビックリした!!》

 《マリア姉かよ!!!》

 《 反射的に愚図(ぐず)っちまった。》



 「マリア様!お静かに願います!グレイ坊ちゃまは今寝たばかりですよ?」

 「?・・・起きてるよ?」


 無遠慮に覗き込むマリア姉様と目が合った。

 人形のように可愛らしい造形。

 母上の幼少期とよく似ているらしい。

 元気よく庭を走り回る姿は天使のようだと、メイド達に大好評のようだ。


 「マリア様のお声で起きられたのです。(うるさ)くすると奥様に叱られてしまいますよ?」

 「ごめんなさ~い。」


 《 よいよい。》

 《 さしものマリア姉も、年長者には敵わないか。》

 《 素直に謝るのもGood!》

 《 アメちゃんあげよう(笑)》


 「グレイ坊ちゃまは大変お行儀よくしてらっしゃいますよ。」


 《 毎回オムツ汚してるけどな!》

 《 しゃ~ないやん!!》

 《 0歳児にトイレ行けっつう無茶な話だっての!!!》


 《 便器にダイブする未来しか見えんわ!!!!》


 「・・・ふ~ん・・・。あ、ねえマーサ。グレイに祝詞聞かせていい?」


 《 な!・・・なんだとぅ!!》

 《 呪詛(じゅそ)を!? あのドア越しでもSUN値を削りにかかる言霊(ことだま)を!?》


 《 ダイレクトにぃ!!》


 《 や、やめろぉ!!!》

 《 俺を爆心地のど真ん中に投げ込むつもりかぁ!?》

 


 「あら、よい考えですね。グレイお坊ちゃまも喜んでいらっしゃるようです。」


 《 そうじゃない!》

 《 そうじゃないんだ!!》

 《 やめさせてマーサ~!!!》

 《 気付いてぇぇぇ!!!!》



 「それじゃぁいくね~・・・ふ~・・・・」

 マリア姉のつま先がトントントンとリズムを刻む。


 《 伴奏つきかよ!》

 《 進化早いな!!》

 《 なんつ~才能の無駄遣い!!!》

 《 破壊力マシマシじゃね~か!!!!》


 ♪ヤバいよヤバいよ魔神がヤバいよ♪

 ♪ヤバいよヤバいよ大地がヤバいよ♪

 ♪ヤバいよヤバいよ海の中~♪

 ♪目覚めておくれよ強き人~♪

 ♪ヤバいよヤバいよ教会へ~♪

 ♪ヤバいよヤバいよ来ておくれ~♪

 ♪ホ~ホケキョ~の季節だよ~♪

 ♪ヤバいよヤバいよ来ておくれ~♪







 チ~ン♪

 《 あ・・・死んだ・・・》







 「すごいですねマリア様。もう眠られたようですよ?」

 「ホント?よかった~。」

 「はい。マリア様が心を込めて謳われたお陰ですね。後で私にも教えていただけますか?」

 「うん!いいよ!」


 マリアの飛び切りの笑顔が、マーサを含むメイド達の心を和ませた。





 【慈母と小悪魔の呪詛の密約】


 数年後、

 この事実を知った俺の、隠し持っていた日記帳のページに書き殴ったタイトルとなった。


まさかのメロディ付きwww

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ