4 0歳児事件簿 その3(不幸の祝詞)
屋敷総出で0歳児のSUN値を削る物語、
《・・・カミサマナニシテクレトンネン》
♪ヤバいよヤバいよ魔神がヤバいよ
ヤバいよヤバいよ大地がヤバいよ
ヤバいよヤバいよ海の中~
目覚めておくれよ強き人~
ヤバいよヤバいよ教会へ~
ヤバいよヤバいよ来ておくれ~
ホ~ホケキョ~の季節だよ~
ヤバいよヤバいよ来ておくれ~♪
何が気に入ったのか、ことあるごとにマリア姉が謳ってやがる・・・
翌日、早々に次の領に向かうべく旅立った侯爵。
護衛やら輩の準備を無視して颯爽と馬を走らせた。
両親と共に見送ったサルカス兄は「かっけ~!!」などと興奮しきりだが。
・・・護衛の意味・・・
バタバタを後を追う護衛さん達、お疲れ様ッス。
《 動物保護法などないんだろうな~》
《 お馬さん。死なないでね・・・・南無・・・・》
◆◆
《 嵐の後の静けさというか・・・》
日常が帰ってきた安堵感に身を震わせていると・・・
マリア姉の唄声が耳朶を打つ。
《 何ぃ!?》
《 この不幸の祝詞は!!》
《 メロディ付きかよ!!!》
《 呪いじゃね~か!!!!》
《 汗が止まらないんだが!!!!!》
「マリア?それは?」
《 おお!父上、止めてください!!》
《 これは神様の嫌がらせなんですぅ!!!》
「侯爵様の祝詞です。」
《 いや、ない胸張らなくていいから!》
「よいのか?軽々しく口にするものではないと思うが・・・」
《 そうです!》
《 それはイヤガラセです!!》
《 全面禁止にしてください!!!》
「良いではありませんか。祝詞とおっしゃってましたから、つまり祝いの言葉。祝福されすれ、不幸を呼ぶものではないと思いますわ。」
《 母上違ぁぁぁぁう!!!!》
《 それは “不幸の手紙” も裸足で逃げ出す「神のイヤガラセ」なんですぅ!!!!!》
「・・・それも。そうか・・・。」
《 いやめてぇぇぇぇ!!!!》
《 個人攻撃しないでぇぇぇぇぇ!!!!!》
《 いじめは犯罪ですぅぅぅぅうぅぅぅぅ!!!!!!!》
0歳児のむなしい訴えは聞き入れられず
俺は毎日のように呪いの唄を耳にすることになった・・・
《 ああ、SUN値が削られていく・・・》
どうせどこぞの低級神の発案だろうが、あえて言おう。
《・・・カミサマノアホウ・・・》
数日後・・・
まあ、呪詛に関しては諦めるしかない・・・
何せ、巫女(教会) → 国王(王族) → 上級貴族ときたもんだ。
弾丸のような個人攻撃じゃない。
核弾頭のように、広範囲で後世に深い傷跡を残す仕様だ。
《 特大ホラーかよ!》
《 サダコも裸足で逃げだすワ!!》
《 スズキ先生に謝れ!!!》
《 ついでにSUN値を返せ!!!!》
「あらあら、グレイ坊ちゃまは大変元気がよろしいですねぇ。」
慈母の顔したマーサがジタバタとのたうつ俺を抱え上げる。
窓からの風が顔を打つ。
庭の木が直射日光を遮り、木漏れ日と化す。
・・・心地よい。
《・・・ああ、削られたSUN値が回復する・・・》
勇者がなんだってんだ・・・
魔神がどうしたってんだ・・・
生まれたばかりの赤子だぞ・・・
ホイホイと教会に行けるワケあるまいが・・・
むしろ断固拒否する・・・
微睡が思考を有耶無耶にする。
《 なんて・・・心地よい・・・》
「グレイ!いる~!?」
《うおう! ビックリした!!》
《マリア姉かよ!!!》
《 反射的に愚図っちまった。》
「マリア様!お静かに願います!グレイ坊ちゃまは今寝たばかりですよ?」
「?・・・起きてるよ?」
無遠慮に覗き込むマリア姉様と目が合った。
人形のように可愛らしい造形。
母上の幼少期とよく似ているらしい。
元気よく庭を走り回る姿は天使のようだと、メイド達に大好評のようだ。
「マリア様のお声で起きられたのです。煩くすると奥様に叱られてしまいますよ?」
「ごめんなさ~い。」
《 よいよい。》
《 さしものマリア姉も、年長者には敵わないか。》
《 素直に謝るのもGood!》
《 アメちゃんあげよう(笑)》
「グレイ坊ちゃまは大変お行儀よくしてらっしゃいますよ。」
《 毎回オムツ汚してるけどな!》
《 しゃ~ないやん!!》
《 0歳児にトイレ行けっつう無茶な話だっての!!!》
《 便器にダイブする未来しか見えんわ!!!!》
「・・・ふ~ん・・・。あ、ねえマーサ。グレイに祝詞聞かせていい?」
《 な!・・・なんだとぅ!!》
《 呪詛を!? あのドア越しでもSUN値を削りにかかる言霊を!?》
《 ダイレクトにぃ!!》
《 や、やめろぉ!!!》
《 俺を爆心地のど真ん中に投げ込むつもりかぁ!?》
「あら、よい考えですね。グレイお坊ちゃまも喜んでいらっしゃるようです。」
《 そうじゃない!》
《 そうじゃないんだ!!》
《 やめさせてマーサ~!!!》
《 気付いてぇぇぇ!!!!》
「それじゃぁいくね~・・・ふ~・・・・」
マリア姉のつま先がトントントンとリズムを刻む。
《 伴奏つきかよ!》
《 進化早いな!!》
《 なんつ~才能の無駄遣い!!!》
《 破壊力マシマシじゃね~か!!!!》
♪ヤバいよヤバいよ魔神がヤバいよ♪
♪ヤバいよヤバいよ大地がヤバいよ♪
♪ヤバいよヤバいよ海の中~♪
♪目覚めておくれよ強き人~♪
♪ヤバいよヤバいよ教会へ~♪
♪ヤバいよヤバいよ来ておくれ~♪
♪ホ~ホケキョ~の季節だよ~♪
♪ヤバいよヤバいよ来ておくれ~♪
チ~ン♪
《 あ・・・死んだ・・・》
「すごいですねマリア様。もう眠られたようですよ?」
「ホント?よかった~。」
「はい。マリア様が心を込めて謳われたお陰ですね。後で私にも教えていただけますか?」
「うん!いいよ!」
マリアの飛び切りの笑顔が、マーサを含むメイド達の心を和ませた。
【慈母と小悪魔の呪詛の密約】
数年後、
この事実を知った俺の、隠し持っていた日記帳のページに書き殴ったタイトルとなった。
まさかのメロディ付きwww




