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19 チートなマッチとセルア商会と諜報員


 「ねえスズネ。生活魔法が使えない人って、どうやって火を起こすの?」

 冒険者ギルドで、訓練終了時に串焼き片手に聞いてみた。


 「え?火起こしですか?普通に発火石を使ったりしてますが?」

 「その発火石が無かったり。水に濡れたりした場合は?」

 「濡れた発火石は使えませんので、乾くのを待つか、乾いた木を拾って火種を作るしかないでしょうね・・・」


 《 うむ。生活魔法主体の文化ってそんな感じかね?》


 「ふ~ん。発火石って値段どれくらいするの?」

 「小さいので、銀貨1枚くらいでしょうか・・・少々高いですが、丁寧に使えば長持ちしますので・・・」

 「どのくらい長持ちするの?」

 「そうですね、専用の袋に入れておけば2~3年は持つでしょうか・・・」


 几帳面に答えてくれたスズネに、俺は数枚の銀貨を渡した。


 「スズネ。お金渡すから発火石一つ買って来てくれない?メイはギルド受付に行って、クズ魔石貰えないか聞いてみて?1~2個あればいいから・・・あと樹液って手に入る?」

 「樹液ですか? 治療院に行けば怪我の治療用に常時置いてあると思います。」

 「少し分けてもらえるか聞いてみて?無理なら森で採取してみよう。」


 「何?チート?」

 「まあね。試しに作ってみようと思ってね。」


 素材はあっさりと手に入った。



 

  別邸に戻った俺は厨房に入り、発火石をスズネに渡した。


 「これが発火石?どうやって使うの?」

 「このように、ナイフの背や硬い石を当てて擦ると火花が出ます。」

 ナイフの背で発火石を強くこすると、火花が出た。


 「まんま、ファイヤースターターだね。」

 「向こうの世界の火起こし道具だね・・・出来るかな?」

 「何作るの?」


 俺はクズ魔石をゴリゴリ削りながら、短く答えた。

 「マッチ。」

 「な~る!異世界あるあるね。」


 よくご存じでw


 「マッチとは何ですか?」

 前世の記憶が明確に残っている俺とメイの間では ”当たり前” に使われている単語でも、スズネには意味不明な暗号に聞こえるのも無理はない。


 なので会話の中で分からない単語が出て来たら、何でも聞くように言ってある。

 話の腰を折られようとも、なるべく解りやすく説明するつもりだ。

 ハブられる辛さは前世でイヤというほど経験しているからなw

 

 「安価で簡単に火を起こせる道具を作ってみようかと思ってね。」

 スズネに火花が出ないように注意しながら、削って粉状にするように指示した。


 過去に異世界に転移もしくは転生した者がいなかったのか、それともそういった知識を誰も持っていなかったのか?魔法という便利な力に圧倒されているだけなのかは知らないが、この程度の小道具で世界が大きく変わるとは考えにくい。


 『マッチ→爆竹→爆弾』なんて危険性も無きにしも非ずだが、考え出したらキリがないので頭の隅のダストシュートに放り込んだ。



 作り方は簡単だ。

 クズ魔石と、発火石をゴリゴリ削って、別々に温めた樹脂に混ぜるだけ。

 試しに、クズ魔石:樹液を1:2。

 発火石:樹液も1:2 の比率で作ってみた。


 爪楊枝程度の枝の先に、ごく小さい十字の切れ込みを入れ、クズ魔石の粉末を混ぜた液体に漬ける。

 付着先端部分だけを乾かして、また着ける。

 積層法というう奴だ。


 その作業を何度も繰り返して、それらしい形を作った。

 最終工程として発火石の粉末を混ぜた樹脂に浸して固めた。


 西部劇なんかでは、カウボーイは柱やブーツにこすりつけて煙草に火を点けていたが、要は摩擦係数が大きければ発火は容易いのではと思い、パピルスに強く擦り付けてみた。


 「燃えたね~」

 「一発成功じゃん!」

 「は~、こんな方法もあるんですね~」

 「発火点が低いかな?・・・火の勢いが強すぎて、すぐ燃え尽きちゃうね。割合を変えてみようか。」


 何度かトライ&エラーを重ね、およその比率を出したところで、マッチ箱の外装を考える。

 「ムクノキみたいな葉があれば、着火は容易いんだけどな~」

 「ムクノキ?知らない。」

 「紙やすりみたいな葉っぱがあるんだよ。乾かして箱にくっつければ着火しやすいだろ?」


 「ありますよ?」

 「「え?」」

 「ムクノキというのは知りませんが。ヤスリハという葉は、(こす)ると木の表面がキレイになるので、大工や木工職人が使ってます。」

 「「それだ!」」


 早速手に入れてメイとスズネに試供品を作らせ、俺は資料を作成して父の前で実践して見せた。



 「ほう・・・」



 「火魔法が使えない人用で、発火石よりはるかに火が長持ちします。材料は、発火石とクズ魔石の粉と樹液を使っているので、材料費も低く抑えられます。こちらが製法における詳しい資料になります。」


 父は試供品と資料をじっくりと見比べ、やがて頷いた。


 「・・・で?何が目的だ?」

 「王都の動向を知るために、スズネに探ってもらおうと思っています。」


 「うむ・・・で?」

 「政治的な出来事には興味ありませんが、魔族の情報や、他国との戦争の予兆などがあれば逸早(いちはや)く知っておきたいと思います。」


 「戦争か・・・あると思うか?」

 「無いに越したことはありませんが、政治的対立や後継者争いとかで内乱が起きた時、他国がこれ幸いとちょっかいを掛けて来ないとも限りません。その情報料としてお金が必要かなと思いました。」


 「私が得る情報では不満か?」


 多分、貴族同志の情報交換(お茶会を含む)の話をしてるんだろうが、我欲の強い貴族は立身出世や利権にばかり目がいって視野が狭くなりやすいモンだ。

 しかも母は軟禁中の身だ。

 自然、外部の情報が限られてくる。


 最も正確な情報と言えば、王族が頭に浮かんだが、不自然なくらい『それらしい人』に会えなかったんだよな。まるで警戒でもされているように・・・


 《手の内を見せすぎたか?》


 「いえ。決してそういう意味ではありませんが、情報というものはある意味ウワサと一緒で一方向から見た場合のみの話であったり、伝聞の中でワザと事実を捻じ曲げて伝える場合が多いのです。そのため、入手した情報が正しいか否かを検証するには、いくつかの窓口を用意して真偽を()り合わせ検討する必要があります。ところで父上は王都の情報を得る為にスズネを使いますか?」


 「いや、あくまでメイドとして雇ったし、もしもの時は家族を守るように動けと言いつけているだけだ。」


 「ならスズネからの情報も取り入れてみては如何(いかが)でしょう?ただし命懸けで情報を取ってこいとは言えませんので、立ち入ったことは聞けないと思いますが。」


 「・・・信頼か?」


 「それもあるでしょう。三歳の子供ですし。けど僕が最も必要としているのは修行の邪魔にならないように遠くから見守る程度の情報で、それ以外は割とどうでもいいのです。」


 「ふ・・・どうでもいいのか・・・」

 「はい。王宮内のゴタゴタは彼ら自身の手でで解決されることを祈るばかりですが・・」


 「解かった。スズネもいいんだな。」

 父は俺の後ろに控えるスズネに視線を送った。


 「はい。問題ありません」

 「気になる情報が入ったら私にも教えて欲しい。」

 「解りました。」


  “(くさ)” という組織は情報を大事にする組織だと俺は踏んでいる。だからこそ依頼があれば命懸けで情報を持ち帰ろうとするし、依頼達成の為の生存術にも長けている。それが信頼につながるなら、滅多なことでは偽情報を与えることはあるまい。

 故意的な誤情報は組織への信頼を落とし、それは将来的に組織の存亡に繋がる可能性もあるからだ。


 ・・・ってか、そうなったらマジで許さんがな!


 父は再度資料に目を通し、呟いた。

 「うむ・・・商会を呼ぶか?」


 「小さい商会を・・・いくつか他の新商品も考えてますので、大きな商会より、小回りが利いて誠実な商会をご存じないですか?」


 父はニッと笑った。

 「あるな。俺の従弟で男爵家の三男だが、信用できる男だ。」




                      ◆◆




 「売れますよ!コレは!!」

 俺は紹介された商会長の興奮した勢いに、ちょっとだけ仰け反った。


 セルア・トリュデア。

 トリュデア男爵の三男である商会長は、何度もマッチを()って興奮していた。

 「すごい!すごい!!こんなに簡単に火が点くなんて、世紀の大発明じゃないですか!」


 《 異世界チートがバカウケしてますが・・・》


 「このマッチの特許申請は父の名でお願いします。それでセルアさんには借金をして欲しいのですが・・・。」


 「借金?」

 セルアの警戒心が沸き上がったのを感じた。


 《 まあね。三歳児に『借金しろ』なんて言われてもなw》


 「はい。アストラス領にダンジョンが出来たのはご存じですか?」

 「はい。いずれ私もあそこで店を持ちたいと思っておりましたので・・・」

 「 “不毛の地” と呼ばれている所ですが、水脈も発見され、冒険者や商人の注目の的になっています。そこにマッチの生産工場を作って欲しいんです。」


 《 ますます怪しい三歳児w》


 「アストラス領に?王都では作らないのですか?」

 「マッチの原料は・・・今は明かせませんが、燃えやすい材料を使用します。いきなり王都で工場を作ると大火事になる恐れがありますので、万一を考えれば “不毛の地” で生産工場を作り、技術者を育ててから王都進出を考えるべきだと思います。」


 「なるほど・・・う~ん。」


 《 まず領内で売って欲しいんだよね~ 安定した生活基盤の為に・・・もう一押しかね?》


 「それに、これは僕がアストラス領に帰ってからの話になりますが・・・。」


 「何でしょう。」

 「他にいくつかの新商品を考えていますが・・・」

 「やりましょう!!」


 《 (かぶ)せて来やがったよ。まだ何も言ってないのに・・・》


 「失礼ながらグレイ様の御噂(おうわさ)はかねがね耳にしております!その新商品もぜひ我が商会で取り扱わせていただければと思います!」


 身を乗り出して情熱的に語るセルア氏。


 《 目が金貨になってる件について・・・》

 《・・・って、噂ってナニ!?》






 「聞きたいんですが、僕みたいな子供でもギルドでお金を預かって貰えることは可能でしょうか?」


 細々とした打ち合わせの最中に、ちょっと聞いてみた。


 「商業ギルドでですか?可能だとは思いますが・・・」

 「ギルド会員限定とか?」


 「そうですね。お金の引き出しにはギルドカードが必要ですから。」

 「会員になるには年齢制限や身元保証人は必要ないと解釈していいですか?」


 「まあ、そうですね。ただ入会費と年会費は徴収されますから、預けっぱなしだと減っていく一方ですが・・・」

 「分かりました。後ほどまたご相談することがあるかもしれませんが、乗っていただけますか?」


 「勿論。よろこんで。」


 メイモマキコンデヤレ・・・くっくっく・・・





 工場建設地は、一度現地を視察してからということになった。


 「口座を持つ気か?」

 セルア氏が退室すると。父が切り出した。


 「僕と、メイの口座を作っておこうかと思います。」


 「メイもか?」

 「今でこそメイは僕の奴隷ですが、いつかは開放するつもりです。昨日少し話をしましたが、彼女なりにお金の大切さを知っているようなので、今のうちから貯金させようかと・・・」


 「・・・分かった。好きにしろ。」

 「ありがとうございます。」


 ふははは・・・小銭の海で溺れさせてやろうw





 「・・・ということで、メイ。口座持つよ。」

 「なにが『ということ』なのかさっぱりなんだけど?」

 メイが僕の紅茶を煎れながら、きょとんとした。


 「スズネは口座持ってる?」

 「はい。冒険者ギルドの口座は、冒険者資格が剥奪されてもカードがあれば使えますので。」


 「便利だね。でも冒険者は年齢制限があるでしょ?」

 「確か、10歳からだったと思います。」


 「じゃ、やっぱり商業ギルドか・・・」

 「商業ギルドに口座持てっての?」


 俺は紅茶に口を付けた。

 うん。イマイチ・・・


 「入会費と年会費は掛かるけどね。何かチート考えるんでしょ?とりあえず、真面目に働けば “メイド見習い” として少ないけどお給金でるし、ダンジョンに入れば稼ぎもある。特許申請にしてもギルド会員になってた方が有利だよ?」


 「そゆこと。OK♪」

 やる気でナニヨリw


 「あと、魔法訓練もしようか。何使える?」

 「う~ん・・・生活魔法と・・・風魔法かな? 意識して使ったことがあまりないんだよね~」


 《 野生児だからな、そんなもんか・・・》


 「スズネ。あとで ”ウオッシュ&ドライ” と ”魔力循環” 教えてやってくれる?まずは魔法を使うことに慣れていこう。」




                    ◆◆




 ロドリゲス・ヘルナンデ、ザッカ・タラギュースという二人の騎士団員を引き連れて、サルムンド侯爵が別邸に訪れたのは次の日の朝だった。


 「「よろしくお願いします。」」

 「こちらこそ、よろしく頼む」


 父に応接室に呼ばれた俺は。見知らぬ二人をさっそく鑑定。

 ブロンドの髪を短く刈り揃えた美丈夫なロドリゲスはレベル22。

 ぼさぼさのダークブラウンの髪に地味な顔立ちのザッカはレベル25。

 ただし、ザッカには諜報部という肩書が見えていた。


 《まんま諜報部なんて部署があんの? 隠れてないんだw》


 「二人とも、伯爵家の次男と三男でな。家督はそれぞれの長男が継ぐことになっておる。立場としてはホウレイが上だ。剣の腕はそこそこだが、グレイの護衛には丁度良かろう。」


 サルムンド侯爵の紹介に、俺は面接官の気分で質問した。


 「お二方とも僕の護衛ですか?」

 「そうです。」

 「僕の事情をどこまで把握しているか存じませんが、ダンジョンに潜りますよ?」

 「聞いております。」

 「それは “ダンジョンで死ぬ覚悟がある” と受け取って良いですか?」

 「「え?」」


 俺は構わず続けた・

 「ダンジョンに潜るメンバーは僕と、そこにいる “メイド見習い” のメイと、彼女の指導役兼傍付きメイドのスズネと貴方方お二人。あとガイドが一人くらいでしょうか?」


 「あ・・・あのそのメンバーで潜るのですか?」


 《 ロドリゲス君。そのメンバーで潜るんですよw》


 「サルムンド侯爵閣下。僕の称号は教えていますか?」

 「勿論だ。」


 「ありがとうございます。最初は浅層で周回を重ねるつもりですが、いずれ中層。下層へと降りて、踏破を目指します。それを繰り返すつもりです。」

 「・・・繰り返す・・・とは?」


 「そのままの意味です。踏破を繰り返す・・・それだけです。」

 「あの・・・それに何の意味があるんでしょうか・・・」


 《 こりゃ随分と舐められたモンでw》


 「勿論、修行のためですし、他にも “魔物の森の縦断” や北のザブズクルのダンジョン。西のラッテルのダンジョン踏破も視野に入れてますが? 何か質問はございますか?」


 「・・・」


 《 はいはい。言いたいことは判ってますよっと・・・》


 「正直に言いますと、下級貴族が “称号持ち” を二人も抱えるんです。当然、国も警戒するでしょうし、密かに監視もするでしょう。それはそれで構わないのですが、俺達の後を付け回したあげく巻きこまれて死んだりすると後味が悪いんですよね。それなら最初から目の届く所にいてもらった方が諦めもつくし、ついでに、まだ弱い僕等の護衛兼人柱(ひとばしら)になってもらうのが目的です。身も蓋もないでしょう?」


 「「・・・」」


 「サルムンド侯爵閣下。」

 「なんだ。」


 「覚悟のない監視者はいりません。名誉のない犬死覚悟の者か、僕等を見捨ててでも自分の命を優先できる者がいいです。」


 「良いのか?見捨てても・・・」


 「構いません。英霊ソリアン様も、ダンジョンごときで死ぬ者に指導を受ける資格はないとおっしゃってましたので・・・」


 サルムンド侯爵は少し目を剥いたが、やがて納得したように父を見た。

 「・・・解かった。ホウレイ、出立はいつだ。」

 「早ければ明日にでも。」


 「うむ。ロドリゲス。ザッカ。お前達に一日猶予をやる。グレイと行動を共にするか否か、今日中に決めるがよい。」


 「閣下。不躾ながらもう一つお願いがあります。」

 「・・・申してみよ。」


 「もし彼らが、任務を辞退しても責めないでください。僕等がこれからやろうとすることは()()()()()でないことは重々承知の上です。最悪、僕一人になっても歩みを止めるつもりはありません。この国の黄昏(たそがれ)を止めるには、そうするしかないと信じているからです。」


 「あい分かった。お前達も聞いたな。辞退したところで(とが)められることはない。重々考えたうえで答えを出すがよい。」







 翌朝。 


 父と俺達を乗せた馬車は数人の私兵を引き連れて別邸を後にした。


 王都の出口に待っていたのはザッカ・タラギュース一人であった。


 《さすが諜報部w》


 「おはようございます。お一人ですか?」

 馬車を下りた俺は、短く聞いた。


 ザッカは馬の手綱を引きながら答えた。

 「おはようございます。どうやらそのようですね。」


 「僕は構いませんが、護衛としてですか?監視に徹しますか?」

 「ははは。恥ずかしながら監視役に回ろうかと・・・」


 「構いません。その代わり、自分の身は自分で守ってくださいね。お互い()()()()()()に頑張りましょう。」

 俺は返事を待たずに踵を返した。


 これで彼の立場は明確になった。

 俺は馬車に戻り、短く父に報告した。


 馬車はゆっくりと動き出した。






 道中は大した事故もなく・・・ということもなく・・・


 「・・・盗賊ですか」

 「盗賊ですね。」

 「盗賊だな。」

 「テンプレねぇ」


 気配探知で複数の人の気配を感知した俺達は、父を残して馬車を下りた。

 「弓何人?」

 「三人ですね。」

 「スズネ。メイ。そっちは任せていい?僕は残りをやるよ。」

 「はい。」

 「了解。」


 二人のメイドが走り出したのを確認して、俺は馬車を残してテクテクと歩いた。


 《道の真ん中に大木転がして “通せんぼ“ か・・・鬱陶しい・・・》


 盗賊は・・・見える限りでは、十数人。

 派手な魔法でビビらせてもいいが、少しばかり規格外な力で環境破壊も気が進まない。


 手っ取り早くアイツラが何か言う前に “風魔法” で周囲の気圧を一気に下げた。

 いきなり呼吸困難に(おちい)った盗賊達が、バタバタと倒れる。


 《 まとめて寝てりゃんせ ♪》


 ここで一句w

 《♪ 盗賊の~野太い声に~興味なし~ ♪》




 周囲の呆気にとられた視線は無視・・・というワケにもいかず・・・


 「あ、死んでないので縛ってもらえます?」




 私兵が慌てて駆け出した。


 《 何か荷物が増えた・・・ゴメン・・・》




 見るとザッカ氏が馬上で、あんぐりと口を開けていた。


 《 ブッパしちゃうぞw》


 「いま、ナニしたんです?」

 「初級風魔法で一時的に呼吸ができなくしたんです。便利ですよ?」

 「初級風魔法・・・そんな使い方が?」

 「川に溺れたようなもんです。尻でも蹴っ飛ばせば起きますよ?」


 それだけ言うと、俺は再び馬車に戻った。


 「・・・見事だな。」

 「スズネとメイがフォローしてくれたので楽でした。」

 「あの二人もダンジョンに連れて行くんだったか・・・」

 「そのつもりです。あと、セルアさんに頼んである工場に拠点を置くつもりです。」


 「・・・なるほどな・・・」

 「いけませんか?」

 「よい。好きにしろ。ただし、定期的に帰ってこい。ミレイが寂しがるからな。」

 「はい。必ず。」



 「旦那様。失礼します。気になることが・・・」

 私兵の一人が声を掛けてきた。


 「ここでいい・・・申せ。」

 「は。盗賊の(やから)ですが、妙に身綺麗で、装備も上等なものを身に付けているようです。尋問しますか?」


 「そうだな・・・」

 父はそう答えながら、俺を見た。


 頷いた俺は、馬車の窓から顔を出した。

 「ザッカ・タラギュース様。盗賊は誰かに雇われた可能性がありますが、どうします?」

 「ザッカでいいですよ。そうですね、気にはなりますが大した情報は得られないと思いますが?」


 「聞くだけ聞いてみます? お任せしても?」

 ザッカは頭をぼりぼり掻きながら、面倒臭そうに馬から下りた。

 「全く働かないってのも気が引けますし、やってみますか・・・」


 《 あ、コイツ俺と同類かもw》


 顔を引っ込めた俺は父に報告。

 「タダ飯食いは気が引けるそうですw」

 「くく・・・そうか・・・」





 結果として。雇い主は顔を隠しており判らないということだった。

 盗賊の何人か手足の爪が無くなってしまったようだが、首を切られて投げ捨てられるよりはマシだろう。

 魔物も寄ってくるしな。


 大分大人しくなった盗賊等を歩かせながら、次の町へと急いだ。


 「誰の差し金でしょうか?」

 「さあな。私達を快く思わない者だろうが、彼奴等を証人として突き詰めても貴族なら知らぬ存ぜぬで逃げ切るだろうな。」

 「厄介ですね。」

 顔を隠した依頼人も、ただの『傍付き』で黒幕ではあるまい。


 「探りますか?」

 スズネが静かに口を開いた。


 「いや、たぶんだけどザッカさんが何とかすると思うよ。」

 俺は窓の外を確認しながら、呟いた。

 

 「そうなのか?」

 父が警戒した声で聞いた。


 「勘ですが、リーダーらしい男に耳打ちしたとき、賊の顔が青ざめたように見えたので・・・」


 「ザッカ・タラギュースが犯人を知ってると?」

 スズネの目が吊り上がった。


 《 オチツケw》


 「憶測だけで決めつけるのは良くないよ。ザッカさんが話さないのは、王宮が絡んでいるから。そして僕はそういう連中と関わりを持ちたくない事は知っているからね。彼が僕と良好な関係を持ちたいと思うなら何とかするんじゃないかな?」


  町はすぐそこだ。





 町の衛兵に事情を話し、盗賊を引き取ってもらった。

 どうやら賞金首もいたらしく、報奨金は冒険者ギルドを通して支払われるらしい。


 ドンビシャスのギルマスの仕事が増えたw。


 「僕とメイの商業ギルドの入会金が出来たね。年会費も先払いできそう。」

 「日頃の行いが大事よねw」

 「メイ。口のきき方。」

 「失礼しました。」


 《 野生児がなんか言うとるww》





 余談だが・・・


 数匹のオークが商人の馬車を襲っている所に出くわしたすというイベントもあったが、俺が魔法を使う前にメイが「おにく~♡」と飛び出し、瞬く間に倒してしまったのは内緒だ。


 メイサに()()()()怒られてたけどなw

 野生児め。


 もちろん皆で美味しく頂きました。


次回 3月11日更新予定

そろそろネタが・・・

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