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そのタイトルを禁句にします。  作者: 葉方萌生
第一章 『キラノベ』に現れる不可解なコメント

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7/35

◾️雪村萌香 返信

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2024/7/2 15:34

From:support.kiranove@*******

To:hakatamei@******

【お問合せいただきました件に関しまして】


葉方萌生様


キラノベ編集部です。

いつもご利用いただきまして、ありがとうございます。


先日お問合せくださいましたコメントの件に関しまして、

編集部の方で確認したところ、利用者ガイドラインに反する内容であったため、

こちらの方で削除させていただきました。

また、コメントを残したユーザーの利用を一部制限させていただくことにいたしました。


この度は、葉方萌生様にご不快な思いをさせてしまい、大変申し訳ございません。

引き続き、キラノベをご利用いただけますと幸いです。


よろしくお願い申し上げます。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

【小説サイトキラノベ】https://kiranove******【コモレビ出版文庫byキラノベ】https://kiranove******


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「雪村さーん、今日欠席の生徒たちに宿題の連絡お願いしてもいい?」


「はあい」


 7月2日火曜日、午後4時半頃。いつものように上司である青木の指示に従い、欠席している生徒に宿題の連絡を入れる。夕方のこの時間は小学生の授業がちょうど終わったところである。欠席の生徒は社内連絡ツールである「お仕事チャット」で共有されている。スマホを開き、欠席の生徒を確認した。その後保護者に連絡のメールを入れた私は、手慰みにプライベートで使用しているメールの画面を開いた。


「あ、返信が来てる」


 たまたま目にしたメールの一番上のところに、キラノベからの返信が来ていて驚いた。昨日の今日で、かなり対応が早い。仕事中だが気になって早速メールの画面を開いた。


「削除してくれたんだ」


 メールには、「69,」からのコメントを削除したこと、「69,」のキラノベの利用を一部制限したことが書かれていた。ほっと安堵のため息が漏れる。

 利用制限してくれたなら、しばらくは大丈夫だよね。

 さすがに、システムの制限までは破れまい。不可解なコメントが来て昨日は意気消沈していたが、すぐに解決してもらえて良かった。


「雪村さん、宿題の連絡してくれた?」


 青木先生に声をかけられて、はっと顔を上げる。いけない、いけない。自分のスマホを覗いているところは上司にはあまり見られたくない。


「さっき、連絡終わりました」


「ありがとう」


 頼んだ仕事をこなしていたことを知り、それ以上特に用はなかったのか、青木先生は自分のデスクへと戻り、休憩に入ろうとしていた。この後夜になると中高生の授業が始まるので、先生たちはこの時間から1時間の休憩を取る。青木先生はいつも、奥さんが作ってくれるお弁当を持ってきていた。いいなあ。独り身の私は、当たり前のように家族を持っている彼をちょっぴり羨ましいと思う。

 青木先生がお弁当を温めている間、私はふと気になったことを聞いた。


「青木先生、昨日の夏の企画の話なんですけれど」


 昨日、青木先生に聞かれて咄嗟に答えた夏季合宿でのホラー企画の件だが、曖昧な返事をされてから、結局話が進んでいなかった。企画立案を頼まれた身としては、煮え切らない思いなので、もう少し議論がしたい。休憩中のところ申し訳ないと思いつつ、これから青木先生は授業に行ってしまうので、聞けるのは今しかなかった。


「ああ、その件か。ちょうど良かった。雪村さんに話さないとって思っててん」


「はあ」


「企画の件やけど、やっぱり他の人に頼むことにするわ。悪いけど、そういうことやからよろしく」


「え、そうなんですか? ホラー以外でも考えてみようと思ってたんですけど」


「いや、ええよ。雪村さん、今年からやし色々と大変やろってみんなで話してて。来年またお願いするわ」


「……」


 チン、と電子レンジから温め終了の音が鳴った。

 まさか、昨日の今日でいきなり企画立案の担当を降ろされるとは思っておらず、戸惑った。他の先生たちの間でも、私を担当から外すのは決定事項のようだ。どうして? と疑問を抱かずにいられない。もう少し、私の意見も聞いて欲しかった。まるで、私から企画の話を持ちかけられるのを避けているみたいだ。


「勘違いせんといて。雪村さんが企画に向いてないとかやないから。ただちょっと……色々と事情があってね」


「……分かりました」


 含みのある青木先生の言い方に、これ以上突っ込んで質問する気にはなれなかった。企画の話にはもう触れてほしくない——そんな空気を感じ取って、私は口を噤んだ。

 もし機会があったら、他の先生にちょっと話を聞いてみようかな。

 まだ働き始めた職場で、変な気遣いはしてほしくないし、納得のいかないところは解決したい。以前の職場でも、仕事で納得いかないことがあり、退職した経緯がある。今回こそは、同じようなことになりたくない。


 青木先生には対しては素直に頷いたが、ひっそりと胸の中で決意した。

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