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そのタイトルを禁句にします。  作者: 葉方萌生
第一章 『キラノベ』に現れる不可解なコメント

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◾️雪村萌香 問い合わせ

「萌生さん、『潮に閉じ込めたきみの後悔を拭いたい』におかしなコメントが来てます……><」


 美月から来たリプに、私はしばらく瞬きすることを忘れていた。


「どういうこと……?」


『潮に閉じ込めたきみの後悔を拭いたい』におかしなコメント? それならさっき、削除したはずだ。もしかして美月は、私が夕方に削除する前にコメントを見たのだろうか。


「教えてくれてありがとうございます。コメントならさっき削除しました。だからもう大丈夫だと思います!」


 美月にリプで返信を打つ。彼女からまた、すぐにメッセージが届いた。


「削除……? いえ、また来てるみたいなんです。確認された方がいいかと」


 まさかの返事に面食らう私。また来てる? そんなに頻繁に、おかしなコメントが来るものだろうか。美月から確認を促された私は、キラノベ上のユーザーページを開いた。知らない間に心臓の鼓動が速くなっていることに気づく。落ち着け。もしまたコメントが入っていたとしても、きっと今度もただのいたずらだ。


「『潮に閉じ込めたきみの後悔を拭いたい』に感想が書かれました」


 飛び込んできた赤文字のお知らせに、びくんと肩を揺らす。


 夕方に目にした不可解なコメントがまた頭に浮かぶ。そんなはずない。今度はきっとまともな感想だ。そう信じて感想欄を開いた。


「——!」


 感想ページに現れたのは、美月が言っていた通り、“おかしなコメント”だった。


【ねえさくじょなんてひどいよ。むししないで】


 粘着質な言葉が飛び込んできて、思わず目を瞑った。何よ、どういうつもりよ。書き込みの主の名前はもちろん「69,」だ。ただの記号でしかないその三つの文字が、スマホの画面からぼうっと浮かび上がってくるような錯覚がして、「ひっ」と小さく悲鳴を上げた。


 震える指をなんとか動かして、再度「削除」をしようかと試みる。しかし、削除したところでまた同じような書き込みがされるかもしれないという一抹の不安がよぎった。

「69,」からのコメントは、すぐそばで私に語りかけてくるような、ぞわりとした感触を運んでくる。


「イタチごっこになりそうね……」


 そう予感した私は、「削除」ボタンに触れそうになっていた手を止めた。その代わり、運営への「問い合わせ」を試みる。キラノベでは運営をしているコモレビ出版の編集部とも連絡が取れるようになっている。こういった悪質なコメントに関して、いちユーザーである私が個人的に対処するより、サイトの運営者に対策をしてもらった方が得策だと考えた。



「お世話になっております。拙作『潮に閉じ込めたきみの後悔を拭いたい』に、本日悪質な感想コメントが2件来ていました。1件目は自分で削除したのですが、再び不快なコメントがあったので、運営の方で対処していただけないでしょうか。不躾なお願いではございますが、ご確認よろしくお願いいたします」



 かなり丁寧に事情を書いて送ったつもりだ。対処してもらえない可能性もあるが、あとは運営からの返信を待つしかない。

 その日はもう夜も深まっていたので、いったんキラノベでのコメントのことは忘れて眠りにつくことにした。

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