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そのタイトルを禁句にします。  作者: 葉方萌生
第二章 去年の夏季合宿での出来事

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◾️磯部学 担当作家との電話

「次の新刊のことなんですが、明日の15時にいつもの喫茶店で打ち合わせで大丈夫ですか? 最近お忙しそうにしているので、念のため、確認の電話をと思いまして」


 俺、磯部学(いそべまなぶ)神谷結人(かみやゆいと)に電話を入れたのは、8月19日の昼間のことだ。神谷は俺が勤める出版社『光風社(こうふうしゃ)』でも大活躍中のベストセラー作家。主にミステリーや大人の恋愛小説を得意としている。他社からも多数出版をしているが、元々デビューしたのが光風社(うち)であったこともあり、光風社からの出版が最も多い。俺はデビュー当時から神谷の担当をしていた。

 作家の中には気難しく、対人スキルが欠けている人もいるが、神谷はそんなことない。気さくでレスポンスも早く、仕事相手としてはとてもやりやすい相手だった。急な打ち合わせも、快く対応してくれる。同僚からは、神谷の担当になれるなんて、と羨ましがられるくらいだ。


 そんな彼と、来年の新刊刊行に向けて、打ち合わせをしなければならなかった。神谷は筆が早いので、打ち合わせをしてからものの1ヶ月程度で作品を完成させる。その仕事の速さも清々しく、打ち合わせにもストレスを感じないから楽だ。


「あ、明日で大丈夫ですか。ありがとうございます。いつも迅速に対応してくださって助かります」


 神谷からの返事を聞いて、俺は満足した。

 他の担当作家は電話を入れても作業に没頭しているのか気づかれないこともあり、その度にまたメールを送るという手間が増える。その点、神谷の場合、電話にもすぐに気づいてくれるので、本当に仕事がしやすい。


「それでは明日15時に、お店で待っていますね」


 はい、分かりました。

 という彼からの返事を聞くと、電話を切った。

 明日からまた、神谷の新刊制作で忙しくなるな。

 大変なのは承知だが、神谷の本はまあ売れる。こんなことを言うと下衆と思われるかもしれないが、神谷が光風社に現れてから、業績が伸びているのも事実だ。

 このまま何事もなく、神谷の担当を続けたい。

 本気でそう思っていたんだが。

 神谷は翌日の約束の時間に、待ち合わせ場所には現れなかった。


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