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マッシュルームカットで、一番背の低い女。
システムエンジニアの彼女は、おどろくほど冷静だった。
冷めた目で、俺の方をじっと見ていた。
「なんの冗談ですか?」
「君が、二人を殺した」
「言っている意味が、よく分かりません」
「成沢と柚乃には、アリバイがない。
ついでに言うと、印南にもアリバイがない。
それならば、君にもアリバイがないんだよ」
「私にはあります。ベンチのそばで仕事をしていました」
彼女のアリバイは、ベンチのそばで仕事をしていたということ。
それも、俺は迷っていない。
ラウンジに向かい、植え込みを薬栗に見せていた。
ラウンジには、ベンチと植え込みが置かれていた。
奥には、大きなガラス張りの窓が見えて海と神戸市街がお一望できた。
俺は、一つの植え込みを指さした。
「この植え込みを、動かした跡がある。
植え込みを君が動かして、君を見えなくさせた」
「でも、私は一階にいたんですよ。殺害現場は、二階です。
一階にいた私は、どうやっていくのですか?」
「それはこのコードだ」
持っていたのは、キナが探してくれた電源コード。
自販機のそばに隠されたコードを、俺は手袋越しに持っていた。
「なんですか?」
「これを使用して、君は上に上った」
「どうやってですか?」
「植え込みに、傷があった」
スマホの写真には、植え込みの傷。
時刻は22:25。俺が見つけた傷は、とても新しい。
「この傷は、5分前に撮ったものだ。
なんなら、今もこの植え込みに傷はある。そして、この傷はとても新しい。
一時間以内に、この傷はできた証拠になる」
「爪のような傷ですね」
「上るときに、このコードに金具をつけた。
金具の傷だ、全ては調べてみればわかる。
その金具の一つは、カフェで見つかっている」
俺は、砂川が持ち主を探したワイヤーフックを俺は突き出した。
俺は、薬栗を言葉で突き止めた。
それでも、薬栗は冷静だった。冷めた顔で、ずっと俺を見ていた。
「俺の推理が確かなら、君は反対側の金具を持っている。
そのポーチを調べてもらっていいかな?」
俺は、最後にはっきりと薬栗に言い放っていた。




