046
しばらくして、一階に人がぞろぞろ戻ってきた。
俺はベンチの裏とか、いろいろ調べていた
植え込みの傷は、謎が解けない。
何かを取り付けて、この電気ケーブルで犯人は移動した。
そんな俺も、いつの間にか上にいたグループと合流していた。
(一瞬で殺せる兵器)
危険極まりないエノシガイオスを、犯人は持っていた。
交換する兵器と、兵器のデータ。
波多野のことを、取引相手だと認識していた。
でも、波多野は一人にならない。
俺の目の届くところにいるということ、それが俺との取引条件だ。
おそらく、バーコイも焦っているころだろう。
(唯一危険なのは、エノシガイオスをエレベーターで使われることだ)
それだけは、避けないといけない。
バーコイは、危険極まりない存在。
そして、ボルシュニクはバーコイにおそらくエノシガイオスの抗体を打っているだろう。
最悪、エレベーターで大量殺人を行うかもしれない。
それは、絶対に阻止したい。
下に戻った全員を、俺は見ていた。
(犯人が分かっても、それでも決め手がない)
最大の問題でもある凶器の発見、それだけが残っていた。
犯人が分からないままエレベーターに入った場合は、終わりだ。
最後の最後で、俺は覚悟を決めた。
警備員の印南が、迅速に話を進めていく。
「えー、まもなくエレベーターが開通します」
エレベーターの表記が、動いているのが見えた。
22:30、閉館時間からちょうど30分後。
彼がそういうとエレベーターが、動き出した。
同時に電波妨害も、それにより解除された。
「みなさん、これで無事に終われます。
長かったですが、ご迷惑をおかけしてすいません」
「ちょっと待ってください!」
そんな印南の言葉に、俺は手を挙げた。
「上原さん?」
「犯人が分かった」
「え?」
戸惑う人間をよそに、俺は胸にあった黒い手帳を取り出していた。
それは紛れもない、兵庫県警の警察手帳だった。
「悪いな、俺刑事なんだよ」
その瞬間、上原という名前を捨てて神影 原基に戻った瞬間だった。
そして、その言葉を出しながらも俺は一人の人間を見ていた。




