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海神  作者: 葉月 優奈
四話:女スパイ
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傷がついていた、植え込み。

それは不自然で、新しかった。

俺はしゃがみながら、きれいに並ぶ植え込みをじっと見ていた。


(意外と軽いな)

土は、ほとんど入っていない。

植え込みされている植物は、軽土で育つ造木だ。


(動かすこともできるが、動いたともいえるか)

俺は、じっと見ていた。

植え込みは、自分で押しても片手で動かせた。

あまり重くもない、いやむしろかなり軽い。


そんな中で、俺は天井を見上げた。

天井は、あまり高くない。


そして、下からも少し隙間が見えた。

二階のフロアの光が、下にも漏れていた。


(あのスペースだと、人が入れる隙間があるな)

大きい人間は難しいけど、小柄な人間ならいけそうだ。


そして、相手はバーコイだ。

ボルシュニクで訓練を受けた、普通ではない女スパイ。

身体能力は、おそらく申し分ない女。


(だとしたら、何らかの方法でここを登って、上に上がった。

そして、上で若杉を殺した)

若杉を殺した理由は、まだわからない。

そんな俺は、あることを思い出した。


(このベンチにいたのは、あの女)

俺は、ずっと考えていた。

だが、ここを上がるにはかなり派手で目立つ。

そもそも、どうやって上がるんだ。

いろいろ疑惑がある中、階段から降りてくる足音がはっきりと聞こえた。


(そろそろ動きが、あるはずだ)

俺は、腕時計を見ていた。

時刻は、22:27を示していた。

足音の方をじっと見上げると、そこには一人の人間が姿を見せていた。



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