043
(MIKAGE‘S EYES)
二階から、一階に来ていた。
俺は、どうしても調べたいことがあった。
それは、一階の展望スペース。
ベンチが置かれていて、そこには鵤が眠っていた。
最初の犠牲者である鵤のそばには、誰もいない。
少し奥には、いくつものベンチが置かれていた。
ベンチのそばには、小さなテーブルも見えた。
このテーブルの先には、大きな窓。
そこから神戸の夜景が、大迫力で見えていた。
(場所的に見て、このあたりで鵤。その近くに柚乃)
俺はアリバイを、一つ一つ確認していた。
柚乃は、ずっと泣いていてそばで鵤のそばにいた。
眠る鵤の顔が、どこかきれいだ。
孫娘でもある柚乃が、きれいに整えたのだろうか。
祖母に対する愛情が、倒れた死体から垣間見えた。
(でもこの場所なら、見えるものがある)
それはベンチだ。このあたりは、カフェからも視界になっていた。
準備をしている砂川には、見ることはできない。
それと、ラウンジ方面に歩くキナ達とも離れていた。
(確かにここで見えるとすれば、ベンチのそばにいた柚乃だけだ。
だとすれば、柚乃にもアリバイがあるはずだ)
視線を追いかけて、俺は首を傾げた。
周囲を歩いていると、そこには植え込みが見えた。
(この植え込み、動くぞ)
あまり大きくない植え込みが、俺のそばに見えた。
でも、植え込みの場所は少しずれているのが見えた。
(位置が少しおかしい。
この場所には…ん?)
それともう一つ、気になるものが見えた。
植え込みには、ひっかき傷のようなものが内側に見えていた。
「なんだ、これは」険しい目で、俺は植え込みを見ていた。




