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全員の話が、一通り終わった。
アリバイがないのは、三人という結論だ。
一番疑惑のある成沢。
成沢の彼女で、ベンチのそばにいた柚乃。
そして、警備員として一階を歩き回った警備員印南。
「つまりは、アリバイのない3人が怪しいわけだね」
全ての話を聞いた波多野は、まとめていた。
彼は、今俺の協力者だ。
元々は反乱軍の人間で、取引相手だ。
だが、俺の説得により彼は俺の味方に引き入れた。
(実際のところはわからないが、彼は今のところ俺の味方として動いている)
そんな彼も、バーコイの正体はわからない。
直前で本部に捨てられた彼は、俺と手を組むことにした。
「さて、一番怪しい成沢君」
「なんだよ」
「持ち物を調べさせてもらう」
「お前は警察か?」
「持ち物を出せなければ、君がずっと疑われ続けるわけだが」
波多野の言葉に、それでも成沢は腕を組んでいた。
「断る」茶色のジャンパーの彼は、小さなバックを持っていた。
そのバックには、筆のようなモノが飛び出ていた。
「なんでよ、あんたがやったんでしょ?
やっぱりあなたが殺したのよ、この殺人犯!」
「俺じゃねぇ!」それでも成沢は、強く否定した。
伊丹は、必死に成沢に突っかかっていく。
「でも、どうしてエレベーターの前に行ったのよ?」
エレベーターは、カフェの裏側。
丁度、展望スペースの裏側になっていた。
エレベーターは、現在封鎖されていて全く動かない。
(なんで、彼はエレベーターのところに行ったのだろう)
この行為は、疑惑を招く行動だ。
でも彼の行動が正しければ、彼はやはり犯罪は起こせない。
そんな中一人の女が、俺に近づいてきた。
「ねえ、本当にええの?」
「ああ、少し離れる。ここの状況を、撮っておいてくれ」
「オッケー」
俺は一人の女に会話をして、背中を向けた。
俺が話した人間、それは緑のツインテールの女。キナだった。




